あぱかば・ブログ篇

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2017年 05月 28日 ( 1 )


2017年 05月 28日

「アキタコマチ」の最後のディナーへ


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ウニとコンソメジュレ、にんじんのムース。次男作。
ウニを敬遠しがちな「コシヒカリ」もぺろぺろと平らげた


ご無沙汰でございます。
新しい仕事を始めてから、ブログを書く時間がぜんぜんなくなってしまった。
いろんなことがあるから書きたいけど、その気力と体力が残ってない〜。
せめて子供の話題だけでも。


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宮古直送のサクラマスは、片面だけを軽く焼く。
レンズ豆にはコリアンダーなどのエスニックな風味づけが似合う。



次男「アキタコマチ」はフランス料理のコックだが、勤め先のレストランが、諸般の事情により5月いっぱいで閉店することになった。
4月に告知が出ると、閉店を惜しむ常連のお客さんや、「興味はあったけど閉店するなら一度行ってみよう」という新規のお客さんがどんどん予約を入れてきて、ランチもディナーも殺人的な忙しさとなった。


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このお店のスペシャリテ、コンソメスープ。
他店ではまず口にすることはできないであろう味。


実は、閉店の今なのでカミングアウトすると、このレストランは掛け値無しのすばらしい料理を出すのだが、コックの数が異常に少なかった。
息子が就職した2年前の春には、シェフとスーシェフ(二番手シェフ)の二人の下、3人目として働き始めたが、スーシェフは1年もたたないうちに退職してしまった。
そのため、この1年以上、ずっとシェフと息子の二人きりで料理を作ってきた。
街のラーメン屋や洋食屋などの店に何人の料理人がいるかを考えたら、36席のフレンチレストランを二人で回すのがいかに過酷かは想像がつく。
たとえばホテルのレストランなどだったらパセリのみじん切りから始めていたはずのひよっこが、「オレが実質スーシェフとか!」


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アマダイ。腰を抜かすおいしさ。
うろこを逆立ててぱりぱりに焼き、身の方はやっと火が通るだけに仕立てる。
身の厚みに関わらず均一な(やっとの)火通し、神業だ。
ソースの濃さ、味わいの奥行き、採算度外視。


シェフは、まるで息子を育てるように、この2年間ですべての技を「アキタコマチ」に注いでくれた。
他のどこでも味わえないコンソメスープの作り方は、他の誰にも教えてこなかった。前のスーシェフにさえ。
まさに一子相伝の教育には、心から感謝している。
そして、新しい勤め先もしっかり用意してくださった。
こんどのお店は、私のお小遣いでは手が届かない、日本でも屈指のフレンチレストランだ。


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口直しのグラニテは、ルビーグレープフルーツ?
ここまででだいぶ飲んで、忘れてしまった。


ゆうべ、家族で最後のディナーへ行ってきた。
息子が作ったものを、コック姿の本人から直接説明を受けて食べるという機会も、もう最後かもしれない。
いつ来てもおいしかったが、ゆうべは特に、気迫のこもった調理場からのメッセージをダイレクトに受け取るような時間だった。


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乳飲み仔羊。
煮込み、コンフィ、ステーキの3種類の調理法で(ピエール・ガニェールか!)。
今流行りの、やたらと盛り付けがファンタスティックなレストランとは一線を画す質実剛健な料理。
このあとは、食べ物とは思えない香りを発するチーズと、ポートワイン。



小学生から高校生までの間は私が料理を教えたけれど、そのあとは、調理学校とバイト先の人気パブ、そして就職先のレストランで育ててもらった。
ありがたいこと。
すべての関係者に、お礼を言いたい。

5月いっぱいで閉店したら、7月から新しいレストランに移る。
6月は、ひとりであちこち海外旅行へ行くという。
幸あれ。
あ、長男の司法試験も終わってます。まあ受かるでしょう。
ということは……6月の我が家は、無職の男が二人か!
ありゃりゃあ〜〜〜〜。


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ぐるぐるとまわっているように見える人生も、実はちょっとずつ、進んでいる。



by apakaba | 2017-05-28 12:47 | 子供 | Comments(0)