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2014年 06月 24日

台湾で、日本を考えていた インデックスとあとがき

旅行に行ったのが2013年3月で、帰国後すぐに連載を始めたのに……ああ、書き終わるのに1年以上もかかってしまいました。
例によってインデックスをつけました。
導入として本文中の文も抜き出しておきます。
写真もいっぱい載せたので、ぜひどうぞ。

1.佳佳西市場旅店
<1日目>3月10日
〈東日本大震災で多大な復興援助をしてくれた台湾。
だが多くの日本人のほうは、あまり台湾のことをよく知らないのではないかと思ってきた。〉
〈歩きながら、“建築という体験”にただただ驚いていた。
内と外が、絶えず入れ替わりになる。
どこまでが内側でどこからが外側か、境界が曖昧になる。
だめなもの(冴えなかった昔の建築、窓の外の風景)を取り込み、敢えて見せることでますます内側の空間を心地よくさせ、またこの場所への愛着も生み出す。〉

2.西門市場
〈八丈島の夜逃げあとの家と、この市場と、原発事故の避難はまったく無関係な事柄だけれど、“かつて確実にそこに暮らしがあったのに今はもぬけの殻になってしまった”という事実の切実さが、共通して胸に迫るのである。〉
〈経営の傾いたいかさないホテルと、手入れを忘れられた金魚鉢のような市場——ともに、この地の記憶を濃くとどめている。
前回紹介したとおり、JJ-Wホテルは、いかさなかったころの建築の記憶をそこここにとどめつつ真新しく生まれ変わっていた。
すぐ隣に建つ市場は、このホテルの魅力と合わせ鏡のように、歴史を語る役割を負い続けている。
あくまでもおしゃれでコージーなホテルの中。
一歩外に出れば、積年の臭気に胸苦しくなる市場。
ふたつの建築は、セットで体験してこそ両方が輝く。〉

3.藍曬圖 Blue Print
〈台南での目的地のひとつは、泊まっているJJ-Wホテルの建築であり、もうひとつが、これから向かう「藍曬圖(ランサイトウ。英語名 Blue Print)」というアートである。
両方とも台南出身の建築家/アーティストの劉國滄氏の代表作であり、ネット友達の写真を見たとたん、「どうしても実物を見たい」と切望した作品なのである。〉
〈第一級のアートを見たときの、最上の反応——
まず仰天する。
なんじゃこりゃー!と思う。
目が離せない。
写真や本などの予備知識を、見た瞬間に凌駕する。
解釈を手ばなす。
へたな解釈などするより、無限の自由なインスピレーションが生まれることを、アートが許容し、歓迎する——
この一連の反応をさせる力を、ブループリントは持っていた。〉

4.神農街
〈古い町がどんどん現代化になっていく。
現代と昔とともに暮らしている私たちは幸せだ。
われわれが生活していた痕跡を大切にしながら、
今の暮らしが続いている。

昔ながらの窓のシンボルを取りはずし、
新しいシーンに取り替える。
新旧文化が共存できるよう望みながら、
世代の記憶を伝承し続けていく。

……、か、感動……!!!!!!!!!!!!〉

5.サヨナラJJ-Wホテル〜三地門へ
<2日目>3月11日
〈朝担当のスタッフの女の子は、朝食のサーブに忙しいのに見送りに出てくれて、(日本人の女の子風に)両手をちょこちょこっと振って「じゃあねー」と日本語で言ってくれてかわいい。
日本のホテルで「じゃあねー」は決してありえないが、日本語よりも英語のほうがずっと堪能な若いスタッフにそう言われると、かわいくてメロメロである。〉
〈今日の目的は、山に入って原住民のルカイ族を訪ねることである。
台湾にいる原住民のうち、ルカイ族はネット友人の訪問記を読んでとくに魅力を感じていた。
台南から屏東(へいとう/ピンドォン)まで鉄道で行き、屏東からバスに1時間ほど乗って内陸へ向かう。山岳地帯の三地門(さんちもん/サンディーメン)まで行ったら、そこから先は……どう進むかわからない。〉

6.日本語・美人・三地門
〈台湾の原住民の中でもとくに興味を惹かれたルカイ族に会うため、屏東(へいとう/ピンドォン)からバスで三地門まで来た。
三地門からさらに奥地へ入りたいが、どうしていいか手段がわからない。〉
〈三地門に来たら、いきなり美人率がアップしてビックリする。〉
〈老婆が少女だったときに、“適切ではない”という言葉を教えた日本人がいた。
その日本人はとっくに死んだだろうし、このおばあさんもどう見てももうすぐ死ぬだろう。
そうしたら、無鉄砲な日本人旅行者に向かって、「それは、適切ではない」という言葉を発する人間は、台湾には永久にいなくなるだろう。〉

7.屏東の慈鳳宮〜高雄シングルイン
〈いや別にサービスに限らなくても、個人的に肉体的な関係でもいいのだが、マッサージにしても性的なことにしても、相手への気遣いや誠実さがダイレクトに良い結果や悪い結果を生むものだ。
そう考えると、この哀愁漂う厚化粧のおばさんの男運のなさそうなたたずまいもうなずける。
まあ大きなお世話だが。〉

8.高雄観光〜澄清湖海洋奇珍園と衛武営都会公園
〈1959年に蒋介石が中国からの核攻撃を避けるためにつくった核シェルターの一部を、水族館にしている。〉
〈美しい生き物やグロテスクな生き物、すばらしいコレクションに本気で感心する。〉

9.蓮池潭、ライトアップの魔力
〈大型ネコ科の躍動感あふれるしなやかなボディーの曲線、獰猛そうな横顔、今にも闇夜に飛び出し疾駆してゆきそうではないか。〉
〈だが夜の力、ライトアップの力はすごい。
ツルツル・ごてごての作り物に、命が吹き込まれ、ほんものの虎の躍動や恐ろしさまで宿らせる。〉

10.台湾の真ん中の街・埔里へ
<3日目>3月12日
〈ここまで英語が話せない人だらけな旅は、ウズベキスタン以来か?〉
〈面倒になって警察署に飛び込み、「困ったなあ」というそぶりをすると、英語の話せない警官たちは「どうする?」と顔を見合わせ、一人がパトカーに乗せてゲストハウスまで連れて行ってくれた。
やっぱり、旅は女だと得することのほうが多い。〉

11.埔里バスターミナル〜日月潭サイクリング
〈こんなに小さい街のバスターミナルのコーヒースタンドで、こんなに堂々と原発反対を主張していることにグッときた。
旗を指差してニヤッとしながら「NO NUKES.」と言うと、ラテを渡してくれた女性はにっこり微笑んで「Yes.」と言った。〉

12.日月潭ビジターセンター
〈コンクリートという現代的でチープで深みと無縁な素材を自在にうねらせて、湖の景観をこわさないように寄り添うように建てたビジターセンターを、とても慕わしく感じる。
カメラを向け、どこを切り取っても、岸辺に打ち寄せるさざ波のようなうねりを思わせる。〉

13.紙聖堂(ペーパードーム)
〈東日本大震災からまる2年というタイミング(2013年3月12日来訪)ということも、日本人のひとりとして胸に迫る。
地震国である台湾との交流がこういう形で実を結んでいるとは、知らなかった。〉
〈台湾では、こういう公の施設でも、原発反対をすごく堂々と表明しているのだね。
日本をふりかえると、台湾のほうがずっと先鋭的でありつつスタイリッシュに原発反対を表している。
奈良美智の大きな絵もある。ここでも日台交流が進んでいたのだった。〉

14.埔里の夜と朝
<4日目>3月13日
〈もっとゆっくり滞在していたら、もっと埔里が好きになったことだろう。
しかし3泊の詰め込み旅行では仕方がない。
あと一箇所、建築を見て日本へ帰ろう。〉

15.(最終回)中台禅寺
〈私は、それでもなお、建築家というものは、心の根っこは皆とんでもないロマンチストなのではないかと思うのだ。〉
〈軋轢や弾圧は当然あっただろうが、旅行者の無責任さでそのことはいったん抜きにしてみると、この国に残るものに触れるのは本当におもしろい。〉
〈この名称の裏で、押しも押されもせぬ現代台湾建築界の巨星・李祖原氏を、あきらかに「ビッグブラザー(これも『1Q84』にある)」として位置づけているにちがいない。〉

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あちこちキュートな松山空港

一人旅だと、テーマに沿ってどんどん禁欲的に進んでしまう。
私の旅は、これからもずっとこんな調子だろう。
いつまでこれでいけるかなあ。

by apakaba | 2014-06-24 17:12 | 台湾2013 | Comments(0)
2014年 06月 24日

台湾で、日本を考えていた 15.(最終回)中台禅寺

14.埔里の夜と朝のつづき。(初回は台湾2013からどうぞ)

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この旅行の最後に行ってみたのは、埔里のゲストハウスから約7㎞ほど山あいに入った禅寺「中台禅寺(日本語サイトこちら)」である。
「台北101」で知られる台湾建築界の巨人・李祖原の代表作だ。

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台北101も巨大だが、タワーとして見ればまだ理性的に受け止められる。
しかしこの寺院の途方もなさは、常人の理解を超える。
建築自体が、座禅を組んでいる修行者の姿を模しているというから、あのてっぺんの金色の部分はアタマというわけだ。
あの金色のところだけ切り離されて、宇宙に向かってゴゴゴゴーと飛び立っていってしまいそうである。
東洋的といえなくもないが、それより先に受ける印象は「スペクタクル」だ。
ポストモダンが潤沢な資金を手にすると、ここまでやれるのか。

以前、『巨大建築という欲望—権力者と建築家の20世紀』という本を読んだ。
そのときに書いた自分のレビュー中の一文を思い出した。
権力者たちは皆、「人間が本能的に快適と感じる空間としての建築」をはるかに凌駕する規模の大建築を夢想してきた。
そして、権力者らに命じられるままに、もしくは命(めい)に刃向かい、もしくは権力者以上に権力志向のインスピレーションとサジェスチョンを武器に、その時代時代を生きた建築家たちがいた。


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この寺院のトップと李氏の結びつきは強く、両者はもちろん台湾政界とも深くつながっているという。
そんなことは外国人の素人が見た瞬間にもわかる。
ここまでストレートにお金のにおいがする建物もなかなかない。
建築には大きなお金がかかるものだから、利権と結びつくのはたやすいだろう。
私は、それでもなお、建築家というものは、心の根っこは皆とんでもないロマンチストなのではないかと思うのだ。
この悪趣味寸前の寺院だって、見ようによっては“ロマンの塊”にも見えてくる。
それは、やはり写真ではなく、見に行ってみないと感じとれないことなのだ。

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堂内に入ってみると、視界に制限がかかる分、さらに建物の巨大さがひしひしわかる。

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観光地ではなく、あくまで宗教施設なので、日本ではあまり観光ガイドに紹介されていない。
だが台湾や中国から、熱心な信者の団体ツアーが頻繁にやってくるらしい。
この四天王に天井を支えられた最下層階は人間界を表している。
人間界はまだけがれているので壁の色はグレーだ。
上階に上がるにつれ壁石の色がきれいになり、最上階は真っ白だというが、一般の見学者はそこまで入れない。
なにしろ部材のひとつひとつが、ものすごく高そうだ。

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私も団体ツアーに交じってまわってみた。
彼らの、「立派だなあ!」「ありがたや!」「ご利益ありそう!」「すばらしいねえ!」といったストレートな感嘆を間近に感じる。
熱気がすごい。
一緒にいるのに、感覚がとても遠い。

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堂内と博物館をひととおりまわって、再び外へ出てみると、来るときには気に留めていなかった周囲の豊かな自然が目に飛び込んできた。

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世界中どこへ行っても、自然というのは、ともかく等しく美しい。
そこに人間がどんな痕跡を残すか。
このことで、その場所は意味を付与される。
ここは「仏様の存在に近づくにふさわしい霊性」を帯びた場所として、選ばれたのだろう。
やっぱり来てみる価値はある。

この中台禅寺の桁外れな巨大さに関して、李氏へのインタビュー記事を読んだことがある。
「お寺をここまで大きくする必要があるのか」との問いかけに、李氏はこう一蹴していた。
「仏の世界というものは、我々人間の想像をはるかに超えるスケールだといいます。ならば、その仏の世界を表現するお寺が大きくなるのは当然。しかしほんものの仏の大きさに較べれば、我々人間だって、この寺院だって、ほんの取るに足らないちっぽけなものだと思いませんか?」

さすが、巨人の余裕だ。

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警備員さんは一言も英語が通じないながらもこの上なく親切だった。帰りのタクシーを呼んでくれた

2013年の台湾旅行はこうして終わった。
あとは、台北に戻ってパイナップルケーキの名店「微熱山丘」で買い物をしただけだ。

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松山空港から私はタクシーで行ったが、徒歩でも15分くらい

連載が長くなってしまったが、初回に書いたとおり、この旅行は“原住民”と“現代建築”の二つをテーマにしてきた。
“原住民”については、たくさんの原住民の美しい顔を見ることができてよかったけれど、ルカイ族の村にたどり着けなかったことが悔しかった。

“原住民”と“漢民族”と“日本統治”、この三者をいいとか悪いとか、今の人間がひとことで断じることはできない。
軋轢や弾圧は当然あっただろうが、旅行者の無責任さでそのことはいったん抜きにしてみると、この国に残るものに触れるのは本当におもしろい。
たとえば原住民文化や、彼らの漢民族とかけ離れたルックス。
年配の人が話す律儀な日本語や、各地に残る日本式家屋など。
近代化によって人々のありようが変化していった結果が、現在の台湾の姿だ。
それらを一つずつ知っていくことを、これからももっとしてみたい。

“現代建築”は、汲めども尽きぬテーマだ。
なにしろ台湾には日本人建築家と台湾人建築家の作品はまだどっさりあるし今も増え続けている。
加えて、現在世界的なムーブメントとなっている「アートと建築の融合」の潮流に、台湾もしっかりと乗っている。
古びていた建造物をかっこよくリノベーションするのは、とにかく柔軟なアイデア勝負。
私もとても好きだ。
こちらもまだまだずっと追っていきたい。

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店員さんの女の子たちは皆ビックリするほどかわいいが、撮影できず無念

これも初回に書いたとおり、現代建築を見に行こうと決めたきっかけは、台湾で活動する若手建築家グループ・リトルピープルアーキテクツの代表である謝宗哲という人の論評(そのページ。写真はイマイチだがすごくおもしろい)だった。
「リトルピープル」という社名がそもそも村上春樹の小説『1Q84』に出てくる言葉だ。
社名につけるくらいだから、謝氏はこの小説に大きな影響を受けているのだろう。
みずからを「リトルピープル」と名乗っているのがいい。
この名称の裏で、押しも押されもせぬ現代台湾建築界の巨星・李祖原氏を、あきらかに「ビッグブラザー(これも『1Q84』にある)」として位置づけているにちがいない。
「その巨人に太刀打ちできなくても、小さな自分たちはべつのやり方で、これからの台湾の新しい建築を考えていくのだ」という気概を、社名ひとつから感じた。
だからこの旅行の終わりに、巨人の巨大建築を見納めにしたことはよかったと思う。
ビッグブラザーの笑い声がこだまするような、あの異常な建物を。

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グルメに乏しい連載になっちゃったけど、このケーキは大好き!表参道にもオープンして、建築はなんと隈研吾。行かねば→サニーヒルズのサイト

(おわり)

by apakaba | 2014-06-24 15:22 | 台湾2013 | Comments(0)
2014年 05月 27日

台湾で、日本を考えていた 14.埔里の夜と朝

13.紙聖堂(ペーパードーム)のつづき。(初回は台湾2013からどうぞ)

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紙聖堂から埔里のゲストハウスへ戻るのに、どうにかバスをつかまえることができた。
あまりにもバスが来ないのでなかば本気でヒッチハイクを考え、家族連れなど安心できそうな車に存在をさりげなくアピールしていたが、乗らずに済んだ。

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日月潭でチーズケーキを食べたのにすでにお腹が空き、ゲストハウスにたどり着く前に血のスープを食べた。
豚の血を蒸して豆腐のように固めたもので、豬血湯という。
私は貧血が深刻なので、中華圏で見つけると食べることにしている。
飛び上がるほどおいしいわけでもないが、栄養満点で、新鮮な血でないと作れないという。

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ゲストハウスに戻ると、日本人オーナーさんに近所のおいしい店を聞く。
お勧めは徒歩15分くらいの、蒸し餃子の店だった。
屋台街のような地元民中心の屋台街があるから、そこへ行けという。
途中でコンビニに寄り、台湾ビールを2本買って餃子に臨む。

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餃子はもちろんおいしい。
だがとくに飛び上がるほどでもない。
一人で食べていると、これ一品だけでお腹いっぱいになってしまうのが少しつまらない。

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ゲストハウスのドミトリーは、30代と見える日本人の女性二人組と、50がらみの女性と、香港から来たという20代の女性が同室である。
まっすぐ帰るのは早すぎるので足マッサージに行く。
私は足がとても疲れやすくて、足マッサージは毎晩でもやりたいくらいだ。

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探し歩いて一軒だけ見つかった足マッサージ屋。
たいへん上手であった。
英語も日本語も通じないのでほぼ黙っていたが、中華圏のマッサージ屋は腕が確かだなあ。

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下段のベッドから見える女性用ドミの風景

ゲストハウスに戻ると、日本人二人組はベランダに出てビールで盛り上がっているらしい。
おばさんはすでに熟睡。
香港の女の子もイヤホンをつけて眠っていた。
私のベッドはおばさんの下段で、おばさんがかなりいびきをかくのが気になってちっとも眠れない。
ほんとのドミは久しぶりだ。

<4日目>3月13日

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4日目、今日が最終日だ。
ゲストハウスは朝食がないので外に食べに出る。
もともとのどかな埔里だが、バスターミナルから離れたこの界隈はさらにのどか。
しかし一歩外に出ると、目を奪うタワーがそびえている、シュールなコントラスト。
あれは台湾建築界の巨人・李祖原氏設計のビルである。
台北101と似ていて一目で李氏の作品だとわかる。
今日は午後の帰国便までの間に、李氏の作品をひとつ見に行く(あのタワーじゃなくて)。

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なぜか公園にダチョウが放し飼いされているシュールなのどかさ

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地元の人々がテイクアウトしている食堂に入った。
一人メシなのでひたすら安く。

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なんか旅の間じゅうこんなようなテキトーな食事ばかりしていたなあ。

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きのうの夕方にも同じ場所を通っていたのに、朝の光の中だとみんなフレッシュに見える。
埔里は酒造りや製紙工芸も有名な街である。
そして台湾映画『セデック・バレ』の舞台となった「霧社事件」の霧社にも近く、温泉も散在している。
もっとゆっくり滞在していたら、もっと埔里が好きになったことだろう。
しかし3泊の詰め込み旅行では仕方がない。
あと一箇所、建築を見て日本へ帰ろう。

15.(最終回)中台禅寺につづく)

by apakaba | 2014-05-27 09:43 | 台湾2013 | Comments(0)
2014年 04月 22日

台湾で、日本を考えていた 13.紙聖堂(ペーパードーム)

12.日月潭ビジターセンターのつづき。(初回は台湾2013からどうぞ)

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道端に現れた、空き瓶を使ったトンボのオブジェ。他にカエルや蝶もあった。

次の目的地は「紙教堂」と呼ばれる、紙でつくられた聖堂である。
この場所への行き方はぜんぜんわからなかった。
バス停からなんとなく歩いているうちにそれらしき感じになってきた。

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日本の地方でもよくこういうごちゃごちゃの案内板を見かける

予備知識がほとんどないままに来てみたのだが、この「紙教堂」は意外にも広くて整備された公園になっていた。
ここのことは台湾のサイトをあれこれ見ていて目に留まり、興味を持ったのだった。

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雨に濡れないよう聖堂がしっかり覆われている

1995年の阪神淡路大震災が起きたときに焼失した、神戸の「鷹取教会」のあとに、建築界の異才・坂茂(ばん しげる)氏が紙の教会をつくった。
といっても本当の教会ではなく、住民が集まる“コミュニティホール”としての場である。
“紙の教会”“紙聖堂”とも呼ばれているが正しくは宗教建築ではない。

1999年に台湾で起きた大地震で被害を受けた台湾と神戸とが交流をおこなう中で、この紙の聖堂を台湾へ移設することが決まった。
移設にともなって、この自然の豊かな地域をまるごと見学園区としても整備し、2008年に正式にオープンしたという。

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この外側のケースのような建物の中に、紙の聖堂がすっぽり入っている

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これが本体だ!

紙といっても、ぺらぺらの紙ではなく堅牢な紙管だが、触ってみると柱もベンチも、やはり本当に紙である。

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たしかにここは宗教色はなく、“ホール”だ。
「ペーパードーム」の愛称もうなずける。
「紙の教会」というロマンチックな響きに惹かれて来てみたが、思っていたより質実剛健な“たてもの”である。
この旅行のテーマの一つが、台湾にある台湾と日本の建築家の作品を見るということだった。
またひとつ、おもしろい場所に来られた。
しかも、東日本大震災からまる2年というタイミング(2013年3月12日来訪)ということも、日本人のひとりとして胸に迫る。
地震国である台湾との交流がこういう形で実を結んでいるとは、知らなかった。

そしてさらに歩いていくと、また新しい日本との結びつきを知った。

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台湾では、こういう公の施設でも、原発反対をすごく堂々と表明しているのだね。
日本をふりかえると、台湾のほうがずっと先鋭的でありつつスタイリッシュに原発反対を表している。
奈良美智の大きな絵もある。ここでも日台交流が進んでいたのだった。

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遠くからだと紙聖堂の本体は見えない

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自然を象徴するカエルの像があちこちにある。どれも祈りのポーズをとる。

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紙聖堂に使われていたのと同じ紙管

それにしても、台湾に来て何度も感じているが、こういう展示の仕方がとてもオシャレでこなれている。
力んでいるところや泥臭い感じがぜんぜんしない。
日本は、繁栄に向かって進むのは得意だけれど、(震災や原発事故など)ダメージを受けたあとの思想の表し方が、さまざまな場面でどうにもかっこ悪い。
なにがちがうんだろう?

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やたらときれいに整備された公園

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そしてやたらときれいな人(絶対原住民だ)

なんとなく敗北感を覚えつつ紙聖堂をあとにした。
震災2年後、来てみてよかった。

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ところがこのあとこのバス停で、バスがいつまでたっても来なくて、かなり泣きべそになった。
いよいよヒッチハイクか……

14.埔里の夜と朝へつづく)

by apakaba | 2014-04-22 21:27 | 台湾2013 | Comments(0)
2014年 01月 26日

台湾で、日本を考えていた 12.日月潭ビジターセンター

11.埔里バスターミナル〜日月潭サイクリングのつづき。(初回は台湾2013からどうぞ)

台湾のちょうど真ん中に位置する埔里(ほり/プゥリィ)のゲストハウスにチェックインすると、すぐバスに乗って日月潭へやってきた。
日月潭は中部の観光名所であるが私の目当ては湖そのものよりも、新しくできたビジターセンターである。
レンタサイクルで湖の周りを漕ぎ、やっと到着した!

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旅行に行くとき、毎回テーマを設定しているが、今回の台湾旅行のテーマは「原住民」と「建築」である。
この向山ビジターセンターは、日本人建築家の團紀彦氏の設計で、2011年に落成し、同年に台湾建築賞を受賞している。
ここの写真を見て強く惹き付けられた。
コンクリートの、波のように優美な曲線を見たくなった。

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小中学生が山ほど来ていた

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インフィニティプールのような人工池。湖に流れ落ちているように、水面がつながって見える

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ただの通路がただならぬ通路になる

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通路を見上げると、天井の最奥部はこんなに鋭角。でも曲線。

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大陸からのお客様たちは、ここが日本人建築家の作品だと解説を受けただろうか

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水際のクールなテラスには、雰囲気をぶち壊しにする人形が。團紀彦氏もこれを見たらうれしくないことだろう

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うねるような建物をいくらまわっても飽きない。どこを切っても美しい曲線

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コンクリートだが場所によっては木目模様を刻んでいる。これにより、とっつきにくい現代建築に温かみが生まれる

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まさかほんものの木なのか?と、何度も目を近づけてたしかめてしまった

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うーっ、この曲線!スロープを上がると屋上庭園に出られる。芝生が植えてあって、館内を涼しく保つ

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最も鋭角に曲がっている部分アップ。この曲線……!美しい!

コンクリートという現代的でチープで深みと無縁な素材を自在にうねらせて、湖の景観をこわさないように寄り添うように建てたビジターセンターを、とても慕わしく感じる。
カメラを向け、どこを切り取っても、岸辺に打ち寄せるさざ波のようなうねりを思わせる。
気がついたら、このビジターセンターだけで山ほど写真を撮っていた。

興奮醒めやらぬまま、カフェテリアに入って名物の無農薬台湾コーヒーを飲んでみた。

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おいしいです。
チーズケーキもおいしいです。
そしてここの店員さんたちが皆驚きのハンサム原住民のお顔立ちで、きびきびしていて客あしらいにも慣れており、大変気分のよいひとときであった。
一息入れてまた写真を撮って歩く。

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たまたまネットでヒットして興味を持った建築に、こうして実際来られることができてうれしい。
これも日本から近い場所であるおかげだ。

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レンタサイクル屋の凶暴な犬。こんな顔のくせに、近づくとギャウギャウと吠えまくる

またもと来た道をサイクリングで戻って、自転車を返却した。
すばらしい見学だった。
しかしまだ日が暮れるまで間がある。
もう一つ、行きたかったところへ行ってみる。
私の行きたいスポットはあまりガイドブックが役立たないところばかりなので、どうやって行ったらいいのかほとんどわからないながらも、とにかくバス停まで来てみた。

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バスを待つ人なんて一人もいないので、ただただじっとバスを待っている。
ほんとにここで待っていていいのか、道を尋ねようにも歩いている人間が皆無、流しのタクシーも絶無だ。
こういうとき、一人旅は心細い。
私が次に行きたいのは、やはり建築で、この近辺にあるらしい「紙でできた聖堂」というものなのである。

13.紙聖堂(ペーパードーム)へつづく)

by apakaba | 2014-01-26 22:50 | 台湾2013 | Comments(0)
2013年 09月 22日

台湾で、日本を考えていた 11.埔里バスターミナル〜日月潭サイクリング

10.台湾の真ん中の街・埔里へのつづき。(初回は台湾2013からどうぞ)

台中からバスで50分ほど内陸に入った、台湾本島のちょうど中心にあたる街が埔里(ほり/プゥリィ)だ。
ここからさらにバスに乗り、今日の目当ての場所へ行く。
バスターミナルではさまざまな人々が、のんびりバスを待っている。

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いかにも原住民の顔立ちなハンサムさんもいれば

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なんにもしていない人たちも

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「そろそろ来るかね?」「眠くなっちまうよ!」

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「ワシはバスに乗る前に牛乳を飲むんじゃ!」

おじいさんの後ろにあったコーヒースタンドで、私もカフェラテを買ってバスに持ち込むことにした。
暑いのにホットのカフェラテはしんどい気もしたが、若い真面目そうなカップルがやっているので好感を持ったのだ。
ジュースではなく、ここのカフェラテを飲んでみたいと思った。

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こんなに小さい街のバスターミナルのコーヒースタンドで、こんなに堂々と原発反対を主張していることにグッときた。
旗を指差してニヤッとしながら「NO NUKES.」と言うと、ラテを渡してくれた女性はにっこり微笑んで「Yes.」と言った。

さてバスに乗って向かう先は、台中最大の観光スポット日月潭(にちげつたん/リーユエタン)である。
日月潭はダム湖で、湖の形が太陽と月を組み合わせたような形をしていることからその名前がついているという。
といっても、湖は日本にもたくさんあるし、湖というのはイメージこそロマンチックだが、行ってみると波打ち際が汚かったりして案外飽きてしまうものだ。
私の目当ては日月潭そのものの風景ではなくて、湖のほとりに新しくできた「向山ビジターセンター」なのである。
ロープウェイあり原住民の文化村あり、ステキなリゾートホテルあり、その気になれば一日かかって観光するような場所だが、時間のないタビビトは他には目もくれず、レンタサイクルで湖の周りをビジターセンターまで力走する。

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サイクリングスタート地点。思ったとおり、湖はロマンチックとはいえない

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今ひとつな風景だぜ……

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水の少ない湖を横目に見ながら、心の中でブツブツ文句をいうが、サイクリングロードがしっかりとつくられていて漕ぎやすいのは気分がいい。
そうこうするうち、やっと水量が増えて見応えのあるポイントまでやってきた。

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なるほど、これくらい水が満々としていたら、朝夕の景色は幻想的であろう。
止まると暑いので力走を続けていると、またも水量の少ない場所に入ってしまった。
しかしそれまでよりも明らかに周辺の整備が新しく、力が入っている。
これはビジターセンターが近づいてきた証拠だな!
もう一息だ。

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まだつくったばっかりな雰囲気

12.日月潭ビジターセンターにつづく)

by apakaba | 2013-09-22 17:58 | 台湾2013 | Comments(0)
2013年 05月 22日

台湾で、日本を考えていた 10.台湾の真ん中の街・埔里へ

9.蓮池潭、ライトアップの魔力のつづき。(初回は台湾2013からどうぞ)

<3日目>3月12日

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高雄のカプセルホテル「シングルイン」の朝食会場

朝食を外に食べに行くのもおっくうになり、宿で済ませる。
ホットサンドははさまっているハムがおいしくなくて、せっかくの熱々のパンの味がぶちこわし。
そしてこの分量では私なら2時間でお腹がすくであろう。

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つづき。シングルインからさらに安宿のドミトリーへ、移動しますよ

by apakaba | 2013-05-22 12:34 | 台湾2013 | Comments(0)
2013年 05月 11日

台湾で、日本を考えていた 9.蓮池潭、ライトアップの魔力

8.高雄観光〜澄清湖海洋奇珍園と衛武営都会公園のつづき。(初回は台湾2013からどうぞ)

高雄の観光スポットである「龍と虎の公園」は、ほんとは「蓮池潭(れんちたん/リエンツータン)」という湖にあるのだった。
龍と虎がそれぞれ口を開けている派手な作り物があり、龍の口から入って虎の口から出てくると善人になれるとされているのが、写真で何度も見ていた「龍虎塔」だ。
今までちっとも行きたいと思っていなかった。
写真では、作り物がただけばけばしいだけで安っぽく見えた。
ところが、いきなり気が向いて行ってみたら、これが驚きのすばらしさだったのである!

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つづき。蓮池潭観光は、夜に限るね!その理由は……!!!!!!

by apakaba | 2013-05-11 18:09 | 台湾2013 | Comments(0)
2013年 05月 09日

台湾で、日本を考えていた 8.高雄観光〜澄清湖海洋奇珍園と衛武営都会公園

7.屏東の慈鳳宮〜高雄シングルインのつづき。(初回は台湾2013からどうぞ)

原住民のルカイ族が住むという霧台行きが叶わなかったために(参照)、高雄での滞在時間がいきなり増えた。
どこへ行ったらいいのかわからず、蒋介石がつくったかつての核シェルターというところにタクシーで行ってみることにする。

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堂々たる建物に期待するがここじゃなかった。中にはコイしかいない

つづき。核シェルターの中に、初めて入りましたー!

by apakaba | 2013-05-09 15:27 | 台湾2013 | Comments(0)
2013年 05月 03日

台湾で、日本を考えていた 7.屏東の慈鳳宮〜高雄シングルイン

6.日本語・美人・三地門のつづき。(初回は台湾2013からどうぞ)

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屏東(へいとう/ピンドォン)は通過するだけのところという予定でいたが、三地門から山奥の霧台に行くことが叶わなかったために時間ができた。
そこで、屏東でも一つだけ観光する気になる。
それは「慈鳳宮(じほうきゅう/ツィーフォンゴン)」という古刹である。
ネット友人の写真を見て、その装飾に圧倒されて是非見てみたいと思った。

つづき。慈鳳宮を見たら高雄のカプセルホテルに行ってみるよ

by apakaba | 2013-05-03 15:21 | 台湾2013 | Comments(4)