あぱかば・ブログ篇

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2012年 01月 28日

ファン歴25年の蔵前仁一さんと『旅行人』のこと

西荻カルチャーカフェでのトークイベントに行ってきた。
場所は西荻窪のアコースティックカフェ
昨年12月で休刊となった旅行雑誌『旅行人』編集長の蔵前仁一さんが講師である。
蔵前さんが関心を寄せる、インド先住民の美術の探訪を中心として、観光スポットをはずれたインドを語った。

蔵前さんのファンになって、25年くらい経つのか……最前列でインドの田舎のスライドを見ながら、いろんなことを思い出していた。
大学1年生のときに刊行された『ゴーゴー・インド』には友人一同“騒然”だった。
『ゴーゴー・インド』は、光り輝いていた。
我々大学生の目に映った光り輝く蔵前さんは、同年に刊行された『深夜特急』にも、70年代の旅志向の若者が読んでいた『印度放浪』にも決して描かれていない、軽々としたタビビトだった。
あれを読んで、友人はこぞって旅に出た。
私も行った。

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カジュラホに行こうとしたのに特急を寝過ごして、なぜか降り立ってしまったボパール(インド)の村にて。

『旅行人』の前身である旅のミニコミ誌『遊星通信』のころから、雑誌の定期購読をしてきた。
早くに結婚して子だくさんになり、友だちが誰もいない密室育児となってしまった90年代を通じて、『旅行人』は私の心の唯一の糧だった。
毎号かならず、感想や旅の話の投稿はがきを書いて出していて、ほぼ毎号、私の投稿は採用されていた。
ひとつの号に名前が3箇所くらい載っていることもあり、読者プレゼントにもしょっちゅう当たった。
『旅行人』があったから、子供3人が小さくて思うようにならない毎日を乗り切れたのだった。
家族をみんな置いて一人で旅行していたことや、ゼロ歳だった次男を連れて行ったネパールや、6歳の長男を連れて行ったヨルダン・シリアの旅のことなど、話す相手も、今のようにネット上に書くこともなかったから、ひたすら『旅行人』に投稿して自己満足していた。

旅行中は、いつも「旅行人バンダナ」をバッグにつけていた。
旅行人のオリジナルデザインの黄色いバンダナで、これをつけていたら誰かが目を留めて「あ、旅行人読者の人ですか?」なんて会話ができるかも……と期待していた。
そういう出会いは、結局一度もなかったが、でもつけているだけで愉快だった。

私があまりにもしつこく頻繁にはがきを書くものだから目に留まったのだろうけど、2001年くらいに、「旅する女」を特集した号のときに、インタビュー記事が載った。
編集部に出向いてインタビューを受け、旅行に使っていたバッグと、顔の写真も撮った。
そのとき蔵前さんも編集部にいらして、私は「ぎゃああ蔵前さんだ!ホンモノだ!うわあ歩いてる!」と興奮して心の中で叫びまくっていたものの、実際はちょっと目礼しただけだった。
「昔からファンでした!いつも読んでます!」
くらいのことは言えればよかったのに、私はとにかくファンである人には緊張してしまって顔が真っ赤になってなにも話せなくなるのである。

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ペシャワール(パキスタン)の長距離バス乗り場で

そのあとも、何度もトークイベントや旅行人関係の集まりでお見かけはしていたが、自分から話しかけるなどとうていできっこなく、いつもあいまいにアタマを下げるだけであった。
蔵前さんは、私の数少ない弱点なのである。
いや、初めて本を読んだのが大学生のときだったから、どこかでいつまでもそのときの気分を引きずっているんだな。
精神年齢さば読み過ぎだろう、私。

90年代・ゼロ年代ほどには『旅行人』に心のよりどころを求めなくなっていた私にも、休刊はショックだった。
長年おつかれさまでした、ありがとうございました、と蔵前さんにきちんと言いたい。
蔵前さんにとってはただの一読者だけど、私にとっては、精神的にふさいでいた時代を照らしてくれた光だったから!

「インドの奥へ」と題された今日のトークは、見るものすべてがおもしろかった。
インドのいろいろな地方で、脚光を浴びたり浴びないままだったりしながら制作されてきた、愛らしくカッコよくソボクで奇妙で前衛的で土着的で先鋭的で懐古的な……いいようもなくおもしろい“芸術品”の数々が映し出されると、今すぐ椅子を蹴っ飛ばしてそこに行かなければならないような、灼けつく気持ちになる。

精神年齢をさば読むのをやめて、「長年ありがとうございました」と言いたかったけれど、やっぱり緊張してだめだった。弱い。トホホ。
でもどうにか、持参した最後の『旅行人』にサインだけはしていただけた。
ファン歴25年にしてやっと手にしたサインなのである。

旅のことを考えるとき、そして実際に旅の途中で、蔵前さんの本『ホテルアジアの眠れない夜』に書かれていた言葉を、数えきれないくらい思い出してきた。
旅というものは、ようするにふだんの自分自身の姿が旅によって引き出されてくるだけだから、なにもない人間からはなにも出てこない。だから逆にそういう人間にとっては、旅の長さや行き先くらいしか自慢するものがなくなる——というような言葉だ。
今さら言われるまでもない旅の真理ではあるが、私はこの本のこの言葉を読んで、ほんとにそのとおりだ!と激しくうなずいたのである。
たとえば堀田善衛や小熊英二のインド旅行記を見よ。
インドになんの興味も知識もなかった彼らは、旅行記の中でみずからの知性をいかんなく発揮している。

誰でも言えそうな言葉を、すらっと気負いなく印象づけてくれるのが蔵前さんなのである。
親しみやすそうだけど飄々とした雰囲気は、昔とちっとも変わらない。
今日は幸せだったなあ。
やっぱり次はインドかなあ。

by apakaba | 2012-01-28 22:14 | 旅行の話 | Comments(18)
2012年 01月 26日

押し寄せ、あふれ出す“イメージ”〜〜ジャン=ミシェル・オトニエル MY WAY

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原美術館にガラスの作品を見に行くなら、晴れの日の昼間がいいなあと思っていた。
雪がキラキラ光る昼下がり、館内には期待通りに光が差していた。

つづき。原美術館を歩いて、見学してみる

by apakaba | 2012-01-26 23:14 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(4)
2012年 01月 25日

“南の楽園”はいくつあったの  15.ウダヤナ・エコロッジのディナーと、バードウオッチング

14.ウダヤナ・エコロッジにチェックインのつづき(1.はこちら)。

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さらにロッジを歩いてみる。
スイミングプールは完全放置である。
水深2メートルほどあってなお完全放置とはうれしい。
これなら余計な人間は来ない、というかそもそも宿泊客が……いない?
小さいホテルなのですぐいっぱいになるとホテルサイトで読んだ気がしたのは記憶の捏造か?
もう一室、白人の二人連れがいたがすぐチェックアウトして、私だけのホテルになっている。

つづき。ディナーそして翌朝のバードウオッチングへ!!がんばろう!

by apakaba | 2012-01-25 23:04 | バリ&シンガポール2011.11 | Comments(6)
2012年 01月 23日

1年以上ほったらかしていたセーター

フード付きセーターが、完成しましたーーーーーー!
2010年10月から編み始めてほぼでき上がっていたのに、たった5センチくらいの綴じ付け部分とボタンつけを残すのみという地点まで来たら、いきなりぱったりとやる気が失せてしまって早1年以上。
(その証拠日記→編み物再開の日

母に「もうメンドクサーイ、できないーできないー」と力の限り甘えて、最後5センチとボタンつけをやってもらった。

なぜ、その最後のひとふんばりができないのか?
でも編み物ってけっこうそうなのよね。

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見てくださーい!
簡単そのものだけどオーバーサイズなので意外と編みでがあるのです。
すでに娘の「コシヒカリ」が虎視眈々とねらっていて、「おかーさん、いいなあ。たまにわたしにも貸して。」と言ってくる。

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しかし。
「オーバーサイズといっても、いくらなんでも、大きすぎませんか?」
ためしに、娘に着せてみると、私より体の大きい娘にはぴったり。
デザインも若いし、どう見ても私より娘に似合うよ。

でも、あんなにがんばって編んでいたのに、娘にあげたくないー。
自分が着たいー。
あなたなら、どうしますか!

1.ここは潔く、似合っているし欲しがっている娘に渡してやろう。第一、若い人向きですもの。あなたが幸せなら、おかーさんも幸せよ。ほほほ。
2.冗談じゃないよ、自分が着たくて編み始めたんだから。あげるものか。だぶだぶでも、着ちゃうよ!
3.貸し借りが平和的解決ですかね。そして自分が飽きてきたら、娘の着用率が上がり、徐々に譲る、と。

同性の親子だと、こういう葛藤も生まれるわけだ。
でもこの年になっても、手伝ってもらえたりする(痛恨の、綴じ付けとボタンつけ)。
異性の親子だとそのへんはあっさり。

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うちのシェフ「アキタコマチ」が作った、今夜のおかず。
さつまいも餅のこんがり磯辺焼き風。
facebookのサッポロビールのページで見かけたレシピで作ってくれました。

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シェフ作製の、先日のおかず。
焼き豚、700グラム作ってみたけどまったく足りず、皆が満足して翌日に刻んでチャーハンに入れるには2キロは必要という結論でした。
ついでに今日の写真を撮ったのはすべて「アキタコマチ」です。

異性の親子、同性の親子、どっちもおもしろいです。
完成したらうれしくて、またまた編み物をやりたくなって、今日、毛糸を買って編み始めちゃった。
できあがるのは何年後でしょう……
娘に編み方の本の完成写真を見せると、「わーいいな。これわたしも欲しい」と言い、次男に見せると「あー。これはオレとは関係ないね(マフラーとか帽子なら欲しがったところだが)」とのこと。

by apakaba | 2012-01-23 22:14 | ファッション | Comments(10)
2012年 01月 22日

“南の楽園”はいくつあったの  14.ウダヤナ・エコロッジにチェックイン

13.バナナペーパー工房見学のつづき(1.はこちら)。

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Masakan Padang=パダン料理は、西スマトラの料理のこと。からいのが特徴

3人になると、レンタカーの中はきゅうに静かになった。
サヌールでパダン料理の店に入った。
そこはムスリム経営の店であった。
パダン料理はからいイメージがあって、おそろしくて今まで(20年以上前の一人旅のとき以来)入っていなかったが、あれだけたくさんおかずがあれば、からくないものもある。
とてもおいしかった。
暑い国の特徴なのか、常温のおかずがあたりまえなのか。
熱いものは熱く!みたいな感覚ってないよなあー、と、初めてインドネシアに来たとき思ったものだ。
あの味付けなら常温でもおいしいしね。

つづき。とうとう一人旅に戻る、そのわけは

by apakaba | 2012-01-22 00:51 | バリ&シンガポール2011.11 | Comments(8)
2012年 01月 21日

“南の楽園”はいくつあったの  13.バナナペーパー工房見学

12.王道な観光(ショッピング・寺院見学・マッサージ)のつづき(1.はこちら)。

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早朝時。ウブドゥのスリ・バンガロー。ここのプールで泳ぐチャンスがなかった……

つづき。スリ・バンガローをチェックアウトして、バナナの紙を見に行こう

by apakaba | 2012-01-21 23:21 | バリ&シンガポール2011.11 | Comments(6)
2012年 01月 20日

ポンガル@国分寺カフェスロー

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もう一週間も経つのか。
楽しかったイベントの余韻で、あれからあっという間に時が過ぎてしまった。

ポンガルとは、おもに南インドでおこなわれている収穫祭の名前であり、また、そこでおせち料理のように食べられる料理の名称でもある。
甘いものと甘くないものがあり、ミルク粥を煮詰めたような甘いほうのポンガルは、ポンガルの時期にしか(ああややこし)食べないので、まさにおせちと同じ位置づけである。

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中央のマッシュポテトみたいなのが甘くないポンガル

去る1月14日に国分寺のカフェスローで、南インド料理を楽しみながら芸能を楽しむ「『 南インドのお祭り ポンガル 』 ~ポンガローポンガル!!」がにぎやかに開催された。
オーガニックなムードのすてきな会場で、絶品の南インド料理を、案内ページにあるように文字通り“食べさせられ放題(=永久におかわりできる、本場インド方式ですね)”にして、デザートにはもちろん、日本でめったに食べるチャンスのない甘いポンガルもいただくことができた。

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料理人のおふたり、マサラワーラーさん。おいしい!明るい!彼らには、からくて酸っぱい南インド料理を食べたあとのような爽快感がある。極寒の中、このスタイルでココナッツを割る儀式をするところ

私は、演奏者のひとりである作家の田中真知さん(なんで作家が演奏をするのかという話はまたあとで)からご案内をいただいてうかがった。
このイベントはすごい人気だったらしく、あっという間に定員に達したため、友だちに声をかけるヒマもなくひとりぼっちで参加することになり、頼みの真知さんは出演してるしひょっとしてさびしいかもなあ……と思っていたが、それはまったくの杞憂であった。
ほかのイベントでちょっとお会いしたことのあるかたが何人かいてお話もできたし、それ以上に、私がひとりでカレーまみれの手(手で食べるから)を洗いに行ったり写真を撮ったりしているだけで、どんどんまわりの人から話しかけられるのである。
「そのカメラ、よく写りますか?いいなあそれ。」とか。
「これおいしそうですよねえー。」とか。
「ここの手洗い場、ホントに真っ暗ですね!ふふふ。」とか。
このたまらなくなつかしいフレンドリーな感じ……!
ああこれは、どこかの国の宿や食堂に集まった日本人のタビビト同士の感じだ……!
やっぱりこういうところに集まる人は、タビビトの雰囲気を持っている。

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おせちにあたるスイートポンガル煮込み中。鍋から盛大に吹きこぼれるとその年は吉兆だという

主催者の井生(いおう)さんご夫妻も、初対面ながらまるっきりインドの旅の途中でばったり出会った人のような雰囲気の方たちでもう最高。
ご主人の明さんとは、このブログで連載中のバリ&シンガポール旅行記で登場するバリの成瀬さんのおたくにもご夫妻で行ったことがあるということで、バリの話をしたり、奥様とはインド映画の話をしたりしたが、もっともっとお話したかった!
日本でこれほど旅を感じることができたのは久しぶりで、ここのところ下火になっていた自分の海外旅行熱がボワーッと燃え上がってしまった。

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これがスイートポンガル!

演目は、ハピドラム・バラタナティヤム・ガタムとモールシンである。
え、なにがなんだかわからない?
ハピドラムとは、2008年にアメリカで発明されたという、きわめて新しい楽器である(田中真知さんのブログ記事「あけましてハピドラム」へ)。
バラタナティヤムは南インドの古典舞踊である(堀友紀子さんのサイトへ)。
ガタムはインドの打楽器である(久野隆昭さんのブログへ)。
モールシンはインドの口琴である(竹原幸一さんのサイトへ)。
皆さんのパフォーマンスはいずれも壮絶にすばらしくて、これを絶品のお料理と司会の井生さんの楽しいトークとタビビトゴコロ満載の人々とひとときを過ごすことができるなんて、このイベントはあまりにもお得である。

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壮絶にすばらしいという表現は奇妙だけれど、皆さんの演目を至近距離で見て、聴いていると、その強い魅力に引き込まれて呼吸をすることを忘れてしまいそうになるくらいなのである。
堀さんの全身の動きのあざやかさと、メイクを落としたあとのかわいらしい素顔には腰を抜かしたし、久野さんと竹原さんの超絶技巧と、二人そろってかなりのハンサムであることにも腰を抜かした(着席していたのでまめに腰を抜かしても大丈夫です)。
彼らの魅力については、真知さんのブログ記事「ポンガル@国分寺カフェスロー報告」をお読みになっていただきたい。
だが真知さんの記事を読んでも真知さんの魅力については書かれていないので、ここではハピドラムの音色について少し触れておく。

私は、その音色を聴いたことがないままにポンガルイベントに行った。
見たことも聴いたこともない楽器、しかもどんな音色か予想のまるでつかない楽器を生演奏で聴く、という体験は、そうそうあるものではない。
だからYouTubeなどの動画もあえていっさい見ないで行ったのだった。

真知さんは文筆業が本業でありながら、音楽の才能に秀でた人でもあり、以前から、作曲したりディジュリドゥという民族楽器を演奏したりしていた。
こんどはいったいどんな音を聴かせてくれるのか、と思っていたが、生演奏を聴いて腰を抜かした。
またなのか。
表現が一辺倒で本当にすみません。

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驚いて目を見張ったというか耳を見張った?(なんかヘン)のは、真知さんがわざわざ、ハピドラムの音にわずかな“ノイズ”を発生させる仕掛けを施していることであった。
もともとのハピドラムの音色は澄んだ音なのだが、それはつまらないと感じた真知さんは、本体にいろいろ工夫を凝らして、叩くたび澄みきった音色に「ザーッ」「ジャーッ」「ザッ、ザッ、」というような共鳴音が交じるようにしているのである。
これにより、真知さんのハピドラムは通常のハピドラムにはない奥行き(“陰”といってもいい)を帯びた音色を獲得する。

聴きながら、頭の中でノイズを取り除いてみる。
すると澄み渡ったキレイな音色、一日中どこかのお店にBGMとして流れていそうな癒される音色になる。うっかり眠り込んでしまえそうな。
ところがノイズの交じった真知さんの音だと、眠れる音にならない。
ちょっとだけ耳障り。
ちょっとだけ不快。
そこが魅力になる。
この、あえてわずかに人の心を引っ掻くような音をご自身でつくったということにまた腰を抜かし……ともあれ、演奏中に私はしきりと、真知さんの敬愛する辻邦生さんの小説『西行花伝』を思い出していた。
西行が、生涯でたったひとりだけ命を懸けて愛した「女院」の声。
澄みきった美声とはほど遠い、高いと低いの二つに割れたように聞こえるお声。
西行はその悪声に、身悶えるほどの魅力を聞き取ってしまうのである。
真知さんのハピドラムは、あの女院の“二つに割れたお声”だなあ……。

すばらしい一夜だった。
是非、是非、またこんな集まりに行きたい!
当日の様子は下の動画で是非、是非、どうぞ。



by apakaba | 2012-01-20 11:01 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(0)
2012年 01月 16日

「コシヒカリ」の京都旅計画

きのう(旅を志向する)の続報。

「コシヒカリ」はやっぱり一刻も早く京都に行きたいらしい。
司馬遼太郎の『燃えよ剣』をかたときも手放さないし、TSUTAYAで三谷幸喜の『新選組!』を借りてきては「山南さん、もうすぐ切腹……(堺雅人ですね)」とかつぶやいている。

「とりあえず、近所の新選組ゆかりの地といったら、調布とか高幡不動とかじゃない?(高幡不動には私も数年前に行って、おもいがけず日本最古の歓喜天像を発見して感激した。そのときの記事はこちら。世界陸上のセメンヤ選手のことにも触れている。すっかり忘れてた)」
「うん、それは近くだから来月くらいに行ってみる。で、京都は、一人旅と思ってたんだけど、そうなると中学生じゃ泊めてもらえないし、高校生とか大学生になるまで待たないといけないのがなあ……。」
「アキタコマチ」が「日帰りでもがんばればけっこうまわれるよ。それなら中学生でも大丈夫」とアドバイスするが、娘は
「やっぱり日帰りじゃなくて泊まりたい。浴衣を着て布団で寝たい。」
という希望があるらしく。

「コシヒカリ」 :うーん、おかーさんなら、いっしょに行ってもいいよ。
私 :なんなのその言い方は。
コ :この前、台湾に行って、おかーさんとはけっこう意気投合するとわかったし。
私 :そ、そうなの、でもあのーそれは、私があなたに、とっても合わせてあげていたからなんですが。
コ :えっそうだったの。
私 :朝いつまでも寝てるとか。イカばかり食べるとか。観光も、一人ならもっとあちこち回りたかったけどあんたがもういいと言えばやめてたし。
コ :そうだったのかー。でも一人旅だとだいぶ先になっちゃうから、できればおかーさんと行きたいな。わたしが旅のお金は出してあげるから(現在、新選組に夢中で猛然と貯金中)。
私 :えっほんと。だったら行こうかなー!うれしいな!
コ :京都に行って泊まったら、いくらくらいかかるんだろう。50万くらいかかるの?
私 :えええっ。それは……豪華温泉旅館に泊まって芸妓さんをお座敷にあげるとか。それくらいしないと使いきれないと思うよ……
コ :そうなんだー。じゃあ大丈夫。お年玉があるからおかーさんを連れて行きますねわたしが。

3月に私を京都へ連れて行ってくれるのだそうだ。

by apakaba | 2012-01-16 22:45 | 子供 | Comments(15)
2012年 01月 15日

旅を志向する

「ササニシキ」は、3月に友だちと1ヶ月くらい東南アジアを旅行しようとしていて、現在、旅費を稼ぐためのバイトに励んでいる。
浪人時代に広島へ一人旅して以来の、旅らしい旅になる。

「アキタコマチ」は、来年の高校卒業のときに、やはり友だちと海外に行こうとしているらしい。
だが年末の金沢旅行で、家族から離れて単独で白川郷を旅行したのが楽しかったようで、「国内も楽しい。一人旅は楽しい!」とも言っている。

「コシヒカリ」は、最近“幕末”に凝っていて、大河ドラマの『新選組!』を今さら一生懸命見て、司馬遼太郎の『燃えよ剣』を読みふけり、
「お年玉やお小遣いを貯金して、京都とかに行って新選組ゆかりの地を旅したい。一人で自由に行ってみたい。一人旅ができるのって、いつからかな?高校生で大丈夫?」
と聞いてくる。

血は争えないというか、3人とも私の影響を濃く受け継いでいる。
夫は私といっしょに旅行をしたいタイプで、一人で行きたいという気持ちは皆無だ。

みんな、どこをめざすの。
若さがうらやましいな。

by apakaba | 2012-01-15 23:45 | 子供 | Comments(2)
2012年 01月 11日

麻薬的魅力なガエル先生の『私だけのハッピー・エンディング』

(多少ネタバレあり)

ガエル・ガルシア・ベルナル出演作はなんでも全部見ることにしているが、なにをやらせてもエロがしたたってるなあ。

過去に書いたレビュー↓
「dot the i(ドット・ジ・アイ)」——ガエル・ガルシア・ベルナルのエロをあなたは自制できるか

においのある映画、ガエル・ガルシア・ベルナルの「天国の口、終りの楽園。」

モーターサイクル・ダイアリーズ

彼のしたたるエロっぽさって、いったいどうしてなんだろう?
カッコいいとか悪いの次元を超えて(実際、背は低いしアタマはでかいしマッチョでもなく若いのに生え際はつねにあぶない)、とにかく一刻も早くベッドインしたくなる人。
スクリーン上の人なので私とはベッドインできませんが。
彼がスクリーンに出た瞬間に、「は、早く相手役の女優とベッドインしろ!早く服を脱がせるんだ!!!」と身悶えする感じ。

今回の相手役は、末期ガンを患い、余命がほぼ残されていないことを知ったばかりのケイト・ハドソン。
彼は担当医。
だから生真面目な白衣姿がたまりません。
ふだん着のTシャツ姿もたまりません。
パーティー会場のフォーマルスタイルも、それがダンスで乱れる姿も、もちろんベッドシーンの全裸姿も、どの瞬間もたまりませんなあ!
そして、モノを食べているシーンのセクシーなこと。
モグモグと咀嚼しているだけなのに、ガエル先生!なんであんなにエロっぽいんだああ!

……ああ、彼が出ると理性的なレビューがまったく成り立ちません。
いや今から真面目に書こう。エロにばかり振り回されては進まない。

主演は彼ではなくケイト・ハドソンのほうで、残された日々を悔いなく生きたいと願いつつ、つい身近な人たちに八つ当たりしたりしながら、ガエル先生との愛を深めていく。
ケイト・ハドソンが大写しになると「年取ったな。あまりきれいじゃないなあ」と、かなりがっかりしたが、演技はやはりうまい。
とくに夢の中で神様(ウーピー・ゴールドバーグ)と初めて出会うシーンと、愛する人に看取られながら死んでいく最期の瞬間の表情は圧巻の演技力(本当に「あ、今、命の火が消えた」と思える)。
演技がいいのはウーピー・ゴールドバーグと母親役のキャシー・ベイツも同様で、それぞれ「やっぱり大女優だ!」と満足する。

凡庸そのものなストーリーなのに、俳優たちの名演にはほれぼれする。
でも、でも、私はガエル先生に夢中。
「ユダヤ系メキシコ人」という設定で、彼女がいきなりパーティー会場で声をかけて彼を驚かせるシーンでは、びっくりした彼がうっかりスペイン語で独り言を口走ってしまうところ、かわいくてかわいくて気絶しかけました。
彼女と親しくなってから、お手玉三つでジャグリングを披露するちょっとしたシーンの真剣な表情も、エロがバクハツで気絶しかけました。
どんなに小さいシーンでもこまめに気絶しかけてしまうので忙しかったわー。

あっしまった、またガエル先生の魅力に引きずられてしまった。

余命いくばくもないヒロインを力づける周りの人々が、また陳腐そのもので苦笑する。
とくに、アメリカ映画に欠かせない“どこまでも心優しいゲイの隣人”や、“賢者のセリフを吐く異形の人(ここでは小人症)”。
恋や病気に打ちひしがれて、友だちや恋人に素直になれないヒロインでも、ゲイの隣人には心を開いて抱擁し合う……アメリカ映画では枚挙に暇がないほど、この設定がありますね。『セックス・アンド・ザ・シティ』のテレビシリーズにもいたね。
ヒロインにとって、肉親は愛憎が深過ぎるし、男は恋愛の対象になりうるものだし、女はライバルになりうるものだけれど、ゲイの隣人なら、ひとつも利害の対立がなく親友になれるから。
ゲイ・黒人・神様・小人症など、“スタンダードから外れた者”に真実を語らせるのは、よくいえば古典的、悪くいえば安直なアメリカ映画の手法だ。
そして今の日本のテレビ番組での手法だ。
威勢のいいことや、世の中の真実を語るキャラは「オネエ」ばかり。
彼らはどんな爆弾発言をしてもセーフ。
異形のものだから、治外法権なの。

かように、どこをとってもハッとする新しさのない作品だが、ガエル先生の魅力だけで十分もとがとれる、異様な作品でもあった。

by apakaba | 2012-01-11 22:09 | 映画 | Comments(6)