あぱかば・ブログ篇

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2012年 12月 31日

年末のご挨拶

今年もこのブログを読んでくださってありがとうございました。

これからも、ゆっくりペースですが更新していきますよー。
ボルネオ旅行記を年内中に仕上げたかったなあ。
あと数回分あるので、見捨てずに読んでね!

昔に較べてだんだんと更新頻度が下がってきたのは、震災以降、気持ちが暗く沈むことが多くなってしまって、書く意欲が湧いてこないからです。
2011年3月11日が一番つらくて、そのあとは徐々に上り調子になっていく(私も、日本も)と思っていたけれどその予想は大変に甘くて、ちっとも明るい気持ちになどなれません。

とはいえ、個人的には、いろんなところへ行けたし、いろんな人と知り合ったり、会ったりもできたし、読書や映画や美術展などのカルチャー系も充実していました。
そんなときは楽しくて幸せいっぱいなのだけど、帰ってきて、ここになにか書こうとすると、また暗く元気がなくなってしまって、なにも書かずじまいという繰り返し。
鬱ベースの1年でした。

楽しいことがあったらその場で写真を撮ってサッとアップする、TwitterやFacebookのほうが、今の私のような気分には合っているのかも、と思い始めました。
Twitterは読んでいるほうがいいから(なにか書くととたんにがたがたとフォロワーが減る)、もしもあなたがFacebookをやっていたら、是非友達申請してください。
(こことはちがう名前だから注意してくださいね。)

ではよいお年を。
あぱかば・ブログ篇を末永く、ごひいきに!

by apakaba | 2012-12-31 19:12 | 生活の話題 | Comments(2)
2012年 12月 25日

ドッチデモイインダヨと言われるクリスマス

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“メリークリスマス!”
小さい人から声をかけられた、と思ったのはもちろん空耳だ。
石の地蔵さんだ。
地蔵さんが“メリークリスマス!”はヘンだな……行きかけて戻ってみると、おもちゃのロザリオを首にかけているのだった。
通り過ぎながら目の端で十字架の光を捉えていたのだ。

まわりをぐるぐる回ってみた。
まさか地蔵さんじゃなくて、キリスト教の修行僧か?
風にひるがえる袈裟は、キリスト教の法衣にも見える。
でも胸の前に笠を持っているし、やはり地蔵さんか?

“ドッチデモイインダヨ!”
「うん、そうかもね。どっちでもいいね。メリークリスマス。」
“メリークリスマス!”

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なぜ顔を失ったのだろう。
顔だったはずの石の面を見つめて考えていた。
「もしかしたら、最初からこうだったのかもしれない」
割れたり、削られたりしたのではなくて、この欠落した部分を「顔」に見立ててつくられたのではないか、と思い至る。
「顔」は、正面ではなく右のほうを向いている。
まるで……永観堂の見返り阿弥陀じゃないか。首の向きが逆だけど。
そう思ったとたん、カタカナシャベリの小さい人のような地蔵さんの声は消え、「永観、遅し」と聞こえた気がした。

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ロザリオをかけた修行僧で見返り阿弥陀で顔なしの地蔵さんを、休憩時間のたびに見に行くようになった。
実は、きのうから四日間、私は一人である研修施設に泊まり込んでいる。
なんの研修なのかはいずれ改めて書くが(高価な壺を売るとかのあやしいコトでは決してありませんよ)、毎年この時期にはなんだかんだと律儀にごちそうを作って家族全員で盛り上がってきたのに、今年は初めて、こんなことになってしまった。
四日間、80人の知らない人に囲まれている。
孤独だ。
一人旅なら「孤独だ」なんて思いもしないのに、クリスマスシーズンに家族と離れているのはこうもつまらないのか。

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施設の食事はおいしい。
でもつまらない。
つまらない人には地蔵さんがしゃべってくれるんだな。

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明日からもがんばろう。

by apakaba | 2012-12-25 21:58 | 生活の話題 | Comments(4)
2012年 12月 24日

LIGHTING OBJECT 2012

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ほおずきを使ったオブジェ

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ペットボトルを使ったオブジェ

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FB友達の山田博之さんも出品していると伺ったので、東京駅周辺で開催されている(LIGHTING OBJECT 2012に行ってきた。

もう7回目になるが、昨年からは震災復興を目標とし、多くのアーティストの作品をチャリティーのオークションとして出品している。
山田さんはイラストレーターで、今回は福島産の和紙を使ったランプシェードを製作したという。
オークションなら、私にもチャンスはあるわね……と虎視眈々で山田さんの作品を探したが!

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ありましたー!
だが、た、高い。
最低価格で40000円から。
オークションで最低価格を書く人はいないし、第一、さすがに我が家の経済規模では手が出ない。
毎日、画面で山田さんのイラストは見てはいても、実物を買えるかもしれないという一縷の望みが断たれた瞬間!

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買うのが無理なら、せめて網膜に焼き付けよう。
本当はグリーンとオレンジの色合いがすばらしいのだが、こうやって内側から光を当ててしまうと、せっかくのカラーがすべて黒に見えてしまうのが限りなく無念だ。
でも、カラーがあるとポップな雰囲気なこの半円が、闇の中でライトに照らされて浮かぶと、このように、惑星みたいな別の表情にがらりと変化する、というのも、昼と夜の顔を使い分ける小悪魔風でかわいい。
そして、うっとりするような線描の部分!
ああ、やっぱり山田さんの線はいいなあ。
ほしいけれど仕方がない。

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悔しいので、灯籠のオークションに行ってみる。
これは3000円から入札できる。
生まれて初めてのオークション体験。
といっても「3000円!」「3050円!」なんて声をかけるようなオークションではなく、自分が希望する金額を紙に書いて投函するだけ。
自分が最高値をつけていれば落札できる。
まったく知らないアーティストの作品でも、心惹かれるものがたくさんあって、目移りした。

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なんと、朝倉摂さんの灯籠。
群を抜いて、きれいだ……!!!!!!!!

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朝倉摂さんの生の絵を見られるなんて、心の底から感激した。
山田さんの絵もそうだが、なぜ、印刷や画像で見るより、生の、実物の絵はこんなに美しいのだろう。
私は下のネコに5000円つけてみたが……まあ、絶対に無理ですね。
だって朝倉摂さんのナマエだよ!
でもオークションって、ほんの一瞬でも夢を見られるなあ。
年末にふさわしいな。

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暗く細長い会場は、半屋外のような場所で冷えきっている。
波が天井や壁に映ってゆらゆらと絶えず揺れている。

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こんな装置で、波を起こしているのであった。
写真に載っていない作品が、まだまだたくさんあって、思っていたよりもずっと楽しかった。
会場が寒くて暗いことも、この季節を楽しむイベントとして似つかわしい。

それにしても縦構図が多いのはiPhoneだからついつい、というわけで、なぜちゃんとカメラを持ってこなかったのか私ってばほんとにバカバカバカ。

山田さんのオークションに乗りそびれ、朝倉さんのオークションは落札絶望……それでも、歳末助け合い気分で、なにかしらいいことをしたくなる。
ボルネオの森を助ける、ボルネオ保全トラストジャパンのカレンダー販売があったので、買うことにした。
缶バッジも買った。
缶バッジは200円で、これだけで畳一畳分の森に植林することができるという。
ボルネオから帰ってきたばかりの私には(ゴーゴーボルネオ!旅行記連載中。是非。)このチャリティーが最もふさわしいのではないか!
売り子の女性に
「この前、行ってきたばかりなんですよ……」
と、聞かれもしてないのに語るそばから、あの、森の中でテングザルを見上げたときの感動が胸に押し寄せ(その回の写真)、また涙が込み上げそうになり、かえっていきなりふてくされたような態度になってしまったから、売り子の女性はさぞ戸惑ったことだと思う。
とにかく、あの森を救うために、買えてよかった。
そしてあのときのネイチャーツアーが、自分にとって、自覚しているよりもずっと大きなものになっていることがわかった。

夜の長いこの季節ならではの、美しく心の温まるイベントだった。
誰でもみんな、幸せに年を越したい、という当たり前の気持ちを、灯りという方法で表現していた。
カップルで行けば確実に愛が深まるよ。
会期25日まで。
急いで、チャリティーに参加しましょう。

by apakaba | 2012-12-24 00:45 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(0)
2012年 12月 19日

影絵人形劇のこと

取り柄のない主婦だが、いくつか人より上手にできることがある。
子供に勉強を教えること。
文章を書くこと。
限られた条件下でもおもしろおかしい旅行をすること。
あと一つが、声の演技をすることだ。

今日は私の所属する影絵人形劇団の公演の本番だった。
もとは小学校の図書室を整備したり、読み聞かせをしたりするボランティア集団だったが、いつの間にかエスカレートして、劇団を名乗るまでになった。

絵本から題材をとり、オリジナルで台本に起こし、オリジナルで作曲した曲をつけ、影絵の人形も関節が細かく動く立派なものを一から手作りする。
私は不器用だし音楽もできないので、唯一できそうな「声優=人形に声を当てる」をやっている。

演目は「たつのこたろう」だった。
私は主演で、児童の皆さんはもとより、オトナの観客の皆さんもだいぶ感動してくれた。
来賓の、区の教育長が涙を流してくれ(たくさんの大人が泣いてくれていた)、「予算をつけよう予算を!」と約束してくれた。やったー!

この影絵劇に参加しはじめてから、ずっと気になっていたことは、「みんな自分の担当の仕事に精一杯で、全体の連帯感を持てない」ということだった。
大所帯だし、知らないお母さん同士が集まっているだけの集団なので、話をする努力をしないと、すぐ隣にいる人でもなにも言葉を交わさずに終わってしまう。
練習の間も不安、終わってからも満足感がない状態だった。
それが嫌だったので、今回はできる限り周りに声をかけていた。

声の担当には新しい人が多かったため、今日はミーティングをもうけて、アドバイスを二つした。
一つは「失敗して当たり前だと思っていた方がいい。」
失敗は、たいていあります。
問題は、失敗をおそれすぎて、実際に自分が失敗をしてしまったとき、ショックを引きずってさらに大きな失敗に結びついてしまうこと。
セリフをつっかえても、気にしているのは自分だけ。
1秒後にはみんな忘れて次の人のセリフに聞き入っているものです。

もう一つは、「顔が、声を作る。」
恥ずかしがって、無表情のままで感情をこめたセリフを言おうとしてもできません。
うれしいときのセリフは顔も思い切り笑って、泣いているときのセリフはまず自分が泣きながら。
(私も泣くセリフは涙をこぼしながら声を当てます)

皆さん、これだけを話しただけで、格段によくなった。
カンのいい人たちだ。

すばらしい劇になった。
映像がアップロードできたらいいのだけど!

by apakaba | 2012-12-19 23:20 | 生活の話題 | Comments(0)
2012年 12月 13日

ゴーゴー・ボルネオ!〜ガラマ川クルーズ編 その3

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ボートが交通手段

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その2のつづき。
テングザルは、思っていたよりずっとたくさん見ることができた。
群れが高い木の上を飛んでいたり、枝に実った大きすぎる木の実のようにじっとしていたりするのを見かけた。
何度見ても、かわいい。
そしてうれしい。
生き延びるために厳しい環境をあえて選んだテングザル。
がんばって頭数を増やしていってほしい。

ボートクルーズはつづき、昔は多くの人が住んでいたという、ほぼ廃村のようなところも通った。
「あれはモスクです。もう使われていませんが」
と言われてみると、なんの変哲もない掘建て小屋のように見えても、たしかに玄関のあたりのデザインがイスラム風である。

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ジェイソンさんが岸辺の木の実をさしながら、
「これはポンポンの木といいます。」
と、かわいいことを言うので一同で和んでいると、
「別名“自殺の木”と呼ばれています。」
とおそろしいことを言い始める。
木の枝で首つりでもするのかと思ったらそうではなく、実に猛毒があるという。
ネズミ捕りの毒餌に使う、というところまではまだわかるとしても、
「インドのケララ州では、この10年間で537人がこのポンポンの木の毒で自殺しています。」
と、あっさり言われると、つやつやした実がとたんに不気味なものに見えてくる。

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トホホ、ピント外れ

白い花はあくまで可憐だ。
昔、ケララを旅したときは、豊かで教育レベルが高く、現地になじんだキリスト教会が味わい深い、のんびりした州だという好印象を持っていた。
それだけに、この実を使って自殺をする人が後を絶たないというのは、のどかなリバークルーズの途中ながらやるせない気持ちになった。
我が日本にも自殺者はたくさんいるが、そこらへんにある木の実の毒で死のうと思いつく人はきっときわめて少ないだろう。
所変わればというか。
ポンポンの木という呼び名はおそらくこの辺りでの通称だろうが、正式にはどう呼ばれているのかわからない。
ご存じの方がいらしたら教えてください。

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我々のボートよりずっと速いモーターボートが背後から近づいてきたと思うと、乗ってきたおじさんにジェイソンさんがお金を払ってチケットを渡してもらっている。
ここは自然保護区なので入場料を支払うのだが、川で徴収するとはのんびりしている。
ツアー代金に含まれているため、入場料がいくらなのかよくわからなかったが、数百円くらいだった気がする。
この森の保護保全や広報活動に役立ててほしい!

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逆光だがシルバー・リーフ・モンキー。テングザルやカニクイザルに較べてシャイな性格で、なかなか姿を見せない。生まれたばかりの子猿はオレンジ色の体毛、3〜5か月くらいからシルバーの毛並みに変わるという。カメラのおじさん撮影。

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同じく。ミズオオトカゲ。長くて立派な尻尾が目を引く。

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奥地まで行って、来た道(道というか川)をUターンしてもとの船着き場に戻ってくる。
全部で12キロくらいの距離である。
我々が戻ってくる途中、何回かほかの会社のボートとすれ違った。
私はこういうときはいつも「ハロー、ハロー」と手を振るので、向こうの乗客も無邪気に振り返してくれているが、内心では「あんなにお客を満載して、融通も効かないだろうなあ。ガイドさんに質問したり、撮影ポイントで停めてくれたり自由にできる、少人数ツアーの会社に申し込んでよかったなあ。」と、優越感にひたっている。

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これが我々の有能なガイドのジェイソンさんである。
ちょっと笑いすぎているが本当はもう少しハンサムである。
帰り道(道というか川)は徐々に雨が激しくなってきて、やや沈滞ムードになってきたが、ジェイソンさんは
「ここは雨ですけど、西の空が晴れていれば、夕焼けはちゃんと撮れますからね。」
と励まし、やがて木々がひらけると、言ったとおりに絶好の夕日ポイントだった。

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やった!
絶対に無理だと思っていたのに、夕日まで見ることができた。
でも興奮して身を乗り出すと、カメラが雨に濡れてしまうー。
ジェイソンさんは、「(カメラの設定は)“夕焼けモード”?」と言って茶化してくる。

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川面を中心に撮ってみると、大粒の雨が降っていることがよくわかる。
ああ、日が暮れていく。

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そして、もとの船着き場に上陸した。
だいたい1時間半くらい、この舟に乗っていただろうか。
まるで飽きることなく、あっという間だった。

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素朴ながらもなかなかしゃれている桟橋

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あー暮れていく……

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あー暮れていく……

桟橋にちょっと立っているうちに、いろんな生き物を抱える森は、みるみる真の闇になってしまった。
ここで夕食となる。
これもツアーの内容に組み込まれている。
ツアーに申し込むとき、私は、「せっかく屋台っぽい食事がおいしいマレーシアなのに、お仕着せの夕食はつまらないなあ。どうせバイキングの冷めた中華とかだろうし。」と思っていた。
とにかく束縛されるのが嫌いで、パッケージというものが大の苦手なのである。
だが先ほどのマレー式おやつが思いのほかおいしかったので、少しだけ期待する。

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運ばれてきた食事は、マレー料理で、感動的なおいしさだ!
このツアーに参加して本当によかった。
もう思い残すことはなにもない……!と満足しているところへ、ジェイソンさんは
「じゃあ、蛍を見に行ってみましょうか!」
と言ってくる。
こんなに雨がひどいのに、蛍なんか出ているの?
にわかには信じられず、とまどっていると、桟橋で真っ暗な森と雨の様子をいっとき見てきたジェイソンさんは
「まあ、大丈夫でしょう。行ってみましょう。」
とにこやかに誘う。
この大雨で蛍が見えるとはどうしても信じられないが、ここのことを知り尽くしているガイドが自信満々なのだから言うことを聞くか。

びしょびしょのボートに、再び乗り込んだ。
ついさっきと同じ川をもう一度進んでいるだけなのに、暗闇の中ではちがって見える。
というか見えない。
なんにも見えない。
ジェイソンさんは懐中電灯で川面のあちこちを照らしている。
照らしても蛍は見えないんじゃないの……と思っている矢先、突拍子もないことを言う。
「あっ。ワニがいますよ(!)(←なぜ「!」が括弧に入っているかというと、注目させるために力強く言っているが大声を出すと……以下略。テングザルと同じ)」
「えーっ!どこですか!どこですか!」
私は大騒ぎをして尋ねるが、「ほら、あそこあそこ」と言われても、ちっともわからない。
「あそこです。目が赤く光っているでしょ。」
大騒ぎしている私を落ち着かせようと、ジェイソンさんは何度もライトで指し示す。
やっと、赤い小さな光がわかった。

「あれがワニなの!?すごい、よくわかりますねえ!」
そのまま、遠くを通り過ぎていくのだとばかり思って言うと、
「そうです。ちょっと近づいてみましょう。」
「うええー!ちょっと!待ってよ!だってワニでしょ!大丈夫なんですか!」
「大丈夫ですよ、もうちょっと、もうちょっと近づいてみますね。」
「い、いいですから!ワニなんてそんなに近づいちゃあまずいでしょ!ちょっと!ジェイソンさん!やめてよ!」
すっかりパニックである。
だって暗闇の川にワニの目が光るなんて、怖くないほうがおかしいでしょう!
ボートなんか簡単にひっくり返されたりしたら、どうするの。

船頭さんに言いつけて赤い点にどんどん近づきながら、
「ワニは縦に細い瞳をしていますね。目に光を当てると、網膜を通して、その奥にある輝板に反射するのですが、ワニの目は光を吸収せず反射しやすいため、赤く光るのです。だから夜にワニを探すときはライトを使うのです。」
と説明する。
カメラのおじさんも、
「ああそうですね。ちょうどカメラと同じ原理ですよね。」
などと、いかにもこの人が言いそうなことを言っているが……ジェイソンさんの日本語能力の高さに驚きつつも、私は怖くて緊張していた。

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出ました!ワニです!!!!!!!!!!!!
……ち、小さい……頭から尻尾まで30センチくらい?赤ちゃんじゃないかー。
「イリエワニです。これはまだ生後一か月くらいです。大きくなると6メートルになるものもいます。」
怖がって損したなあ。
この川には、赤ちゃんのワニしか棲まないという。
これくらいのころには小さな虫などを食べて、もっと大きくなってくると、大きな餌を求めて別の川へ移動する。
だから暗闇の中でワニの目を見つけても、ちっとも怖いことはないのだった。

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カメラのおじさん撮影。さすが、全体がよくわかります

「逃げないんですね。子猿みたいに、好奇心に勝てないんですかね?」
「いや、これは好奇心というより、そういう気持ちが出てくるよりももっと小さいので、ちょっとどうしていいかわからなくてぼんやりしているだけですね。」
ジェイソンさんの答えにすっかり和む。
私は感激しやすいたちで、こんなけなげな生き物を間近で見ると、もうかわいくてたまらず、またもや泣きそうになってしまう。
「ワニの子供はだいたいは、鳥などに食べられてしまいますね。」
みんな成長してしまったら川はワニだらけになってしまうが、やっぱり赤ちゃんはどんな動物でも憐憫の情をもよおすものだ。
ライトに照らされてしばらくぼんやりしていた赤ちゃんワニは、のそのそと茂みに隠れていった。
ぼんやりしないで生き延びて、立派な6メートルのワニに育ってほしい。
そしてそんな巨大ワニが悠々と暮らせる自然が残っているといいなあ。

見られるわけがないと思っていた蛍も、ちゃんと見ることができた。
日本の蛍とちがう種類で、点滅が非常に速く、1秒間に3回明滅するという。
光も、日本の蛍のように緑がかった色ではなく、ひたすら白い。
LEDの電飾みたいである。
オスが光ると、メスがそれに応えて光るので、蛍がびっしりついている木はオスとメスが呼応してまさしく電飾っぽい(ジェイソンさん曰く「婚活パーティー」……なんでもよく知っているのね……)。
このツアーの謳い文句で、しばしば「クリスマスツリーのよう」と表現されている意味がやっとわかった。
ジェイソンさんは一匹つかまえて私の手の中に入れてくれた(きっと女性客へのサービスだろう)。
体長は5ミリと大変小さい。
手の中でピカピカ光っているのはかわいらしい。
日本の蛍は幽玄を感じさせるが、ここの蛍には、風情よりも、光り輝く生命をダイレクトに感じた。

ガラマ村へ至るまでの道筋で見たサバ州のさまざまな風景、ガラマ川で生きるたくさんの生き物、大雨の中の夕日とおいしかった食事、そして名ガイド、なにもかもがパーフェクトであった。
ふだんは一人で勝手に歩きまわるだけの旅行をしているが、たまにはネイチャーツアーも楽しいものであった。
キナバル公園編 その1・ナバル村につづく)

by apakaba | 2012-12-13 15:16 | ボルネオ | Comments(0)
2012年 12月 12日

ゴーゴー・ボルネオ!〜ガラマ川クルーズ編 その2

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その1のつづき。
ガラマ川の「ガラマ」とは、蟹という意味だそうだ。
川沿いの畑に蒔いておいた野菜の種を、蟹が食べてしまったからというのが由来だという。

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このあたりでテングザルを見るためのリバークルーズをやっている川は、ガラマ川・クリアス川・ウエストン川があり、このツアーではガラマ川が選ばれていた。
川幅がせまいため、舟から岸辺の生き物を近くに見ることができるという。
2時間のドライブのあと、ボート乗り場に着いたとたんにトイレとおやつの休憩を入れる。
たくさんのツアー会社があるが、どこでもこの運びは同じである。

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休憩所に向かう道で、アブラヤシの熟した実が落ちていた。長靴や袋が散乱して乱雑きわまりない

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この家も乱雑きわまりないが旅の者なので見過ごそう。だがもう少し片付けた方がいいと思うぞ

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ギャラン?色もすごい

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大きくなったらキミが家を片付けたまえ

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豆のお汁粉と、揚げ菓子と、サバティーというこの地の特産の紅茶でおやつになった。
揚げ菓子はおなじみのピサンゴレン(バナナの天ぷら)と、丸くてかわいい形の「ウエイ・ピンジャラン」というものである。
ピサンゴレンとちがって中に何も入っていない。
タピオカでんぷんだろうか、もちもちしている。
どれも大変おいしかった。
「地元のおやつは別にいらないや」と思っていたがあっという間に平らげてしまった。

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マレーシア人は国旗が好きですね

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船頭さん支度中

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船頭さん。ガイドのジェイソンさんと阿吽の呼吸であちこちに舟を停めたり寄せたりしてくれる

雨が激しくなってきて、川の行く手はいかにも前途多難に見える。
船頭さんは雨よけの幌を立て、私はさらにカッパを膝に掛けて、出発した。
涼しいのは助かるが、ワクワクと「出発進行!」という気分には到底なれない。
こんな暗い空の下、タンニンを含むせいで黒い水もますます黒く見えて、はなはだ心細い。
まあ、もし生き物がなんにも出てこなくても、道中のドライブはおもしろかったし(その1へ)、おやつもおいしかったしまあいいか……と、早くも自分を納得させようとしていた。

ところがボートを出してすぐに、「カニクイザルです。」とジェイソンさんが教えてくれる。

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うわーこんなに簡単に最初の動物が見られるなんて!
サルはよく国内外の観光地にいて珍しくもないし、むしろ物を奪ったりして憎たらしいものだが、こういうところにいて無心で木の実を食べているのを見ると、とたんに愛情が湧いてくる。

「逃げないですね。このサルはまだちょっと若いですね。警戒するよりも、好奇心に勝てないのです。」
ジェイソンさんの流麗な日本語解説がつくとますますサルがかわいく感じられる。

だが、このサルはすぐそばまで近づけたから撮れたが、私のカメラは望遠レンズをつけていないため、遠くになるとお手上げである。
ツアーで一緒になった日本人男性の一人が立派なレンズをつけているのを見て、すばやく仲良くなりあとで写真を譲ってもらうことにした。
これで安心してウォッチングに集中できる。
以後、動物撮影はそのカメラのおじさんによろしくお願いしました。

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カメラのおじさん撮影。私が撮ったのより、表情がきょとんとしていてかわいい!

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言われていたとおり、ここは川幅がせまく、まさにジャングルクルーズ(@ディズニーランド)そのものだ。
しかしディズニーランドはすべてが作り物だからなんの緊張感もないが、このようにすべてがホンモノの舞台では身が引き締まる。
ボルネオ奥地に住むという首狩り族や猛獣が襲いかかってくるかもしれない、などとは思っていない。
そういうことではなくて、ただニセモノがどこにもない——ボートを取り囲む黒い水も、両岸のふくれあがるような緑とその真っ暗な陰も、そしてその陰に確実に生きていて、私たちをじっと見ているにちがいない無数の目も皆ホンモノである——ということは、たとえようもなく快感でもあるが、同時に、脅威も感じるのだ。
ぎゃあぎゃあと鳴き交わすサルや鳥はいうまでもなく、もっと小さな動物、目に見えないほどの虫、それらを覆い隠す植物のただなかに、突っ込んでいっている。
運転も観察も人任せな安穏としたボートクルーズであってさえ、ふだん弛緩している感覚を覚ますには十分だ。
このボートに乗ってなお、テレビの紀行番組やディズニーランドのアトラクションと同じ目で周囲を見ているだけの人がいたとしたら、よっぽど自然に対する感性が鈍磨しきった馬鹿者だ。

そんなことを考えていると、ジェイソンさんが
「オスのテングザルです(!)(←なぜ「!」が括弧に入っているかというと、注目させるために力強く言っているが大声を出すとサルが驚いてしまうため実際は小声であると言いたい)」
と呼びかける。
ええっ、まだスタートしたばかりなのにそんなに簡単にいるの?と驚きつつ、言われた方向を見てみると。

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ほんとにいる!
興奮で息を呑み、とりあえず写真を撮ってみる。
どうせ遠過ぎて豆粒になるとわかっていたから、これもあとでカメラのおじさんから画像をもらった。

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垂れ下がった長い鼻は成熟したオスの証だ。
メスの鼻は、逆に上を向く。
見事な太鼓腹は、毒性の強い植物を食べて消化するために腸が長くなったからだという。
「あのオスはボスザルですね。体も大きいし、私たちを見ても逃げないですからね。大丈夫だと知っているんです。」
とジェイソンさんが言うとおり、ボートのモーター音を聞いてメスや子供のサルはあちこちの枝に飛び移っているのに、このオスは落ち着き払ってこちらを見下ろしている。
そう、姿を見ようとしたり写真を撮ろうとしたりして浮き足立っているのは、私たちのほうなのだ。
私はとっくに撮影をあきらめ、カメラをおろしてボスを見上げた。
ボスはなにもしないで私を見ている。
感動で少し涙が出る。
この距離だけれど、たしかに“目が合っている”と思った。
錯覚かもしれない。
錯覚でもいい。
不思議な形の大きなサルが、目の前で、ああやって絶滅の危機を生き延びている。
ふわふわした毛並みや特徴的な顔立ちには率直に「かわいい……!」とも思ったし、静かなたたずまいには、この森の生態系のひとつの頂点を見るような神聖さも覚えた。
川に出たときに感じていた、つかみどころのない“自然への畏敬”は、このように最良の形で像を結んでくれたのだった。
(クルーズはその3へつづく)

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オマケ。おじさん撮影の別バージョン。横向きになると急に威厳がガタ落ち……!ペニスがつねに赤くて元気な状態なのはメスへのセックスアピールだという。木の枝とかに引っ掛けないかとちょっと心配(大きなお世話ですね。)

by apakaba | 2012-12-12 14:59 | ボルネオ | Comments(2)
2012年 12月 11日

こないだの地震のこと

(Facebookに書いた日記を転載)


先週、東北中心の地震があった。
東京も震度4だった。
その日は朝5時にも千葉震源の地震があって、気分の悪いスタートだった。

新宿に飲みに行くために家を出る直前、ゆさゆさと、長々と揺れた。
震源から遠いなというのは地震のベテランになった今ではすぐにわかったが、この長さと、この酔うような横揺れは、東北震源、しかもかなりのレベルだと直感した。
家を出てからずっとTwitterを見っぱなしで、電車に乗っても見っぱなしで、「宮城に津波警報」とか、「福島原発で作業員避難開始」とか流れてきて、おそろしくてたまらず、iPhoneにかじりついていたら新宿に行くつもりが渋谷に着いてしまった。

まちがえて渋谷に着いたことにも気づかず、人波に乗ってふらふら歩きながら、しばらく呆然と(iPhoneにかじりつきながら)、周りの人々が「津波だって!」「また地震来るかな、こわい」「さっきの地震大丈夫だった?なにしてた?」とか話しているのを聞いていた。
おかげで30分も遅刻してしまった。

福島第一が爆発したら、福島は完全にアウト、東京も20分以内に関西まで逃げないと被曝するとなにかで読んだばかりで、そんなのワープ以外にないじゃん、運命を受け入れるしかないってことですね〜と呆れ笑いをしたばかりだった。
また津波が来たら東北はどうなるのだろう、原発はほんとに大丈夫なのかな?こうしている間にも、次の一発が来るのか?などと考えていると、電車や駅の人ごみがとても不思議なものに感じられた。
この中で、私と同じ心配でつぶれそうになっている人はどれくらいいるんだろう?
さっきの地震にまるで気づかず歩いている人もいるだろうし、ニュースを知らない人もいるだろう。

そして、自分にとって東日本大震災がいかに大きなものであるかもあらためて実感した。
あれは過去でもあるが、これからのことでもある。
たかが震度4でも、ネットニュースでここまで自分が動揺するなど、震災以前には考えられなかった。
駅を乗り過ごしていることも忘れて、どこを歩いているかも忘れてニュースに見入ってしまうなど、他のことではありえない。

震災はぜんぜん終わってない、記憶の風化なんてとんでもない。
生々しく、喩えではなくてほんとに生死を分ける、現在進行形の現実なんだ……と再認識した。
東日本は、体感しようとしまいと、毎日揺れまくっている。
ウソだと思うなら、Twitterの「地震速報@earthquake_jp」を見てみたらいい。
私は滅入るからたまにしか見ないけど。

こわくないほうがおかしい。

by apakaba | 2012-12-11 22:09 | ニュース・評論 | Comments(0)
2012年 12月 06日

ゴーゴー・ボルネオ!〜ガラマ川クルーズ編 その1

ジェッセルトンホテル&コタキナバル散策編 その2のつづき。

今回のボルネオ島行きの目的は、豪華ホテルステイでも街歩きでもショッピングでもグルメでもなく、実はただひとつ、ネイチャーツアーなのである。
正味二日間しかないので、日本語の現地ツアーに乗ることにした。

一日目は、「テングザルウォッチング」が目玉のリバークルーズだ。
野生のテングザルは絶滅の危機に瀕していて、ボルネオ島にしか生息していない。
サバ州の保護のおかげで近年はだいぶ頭数が増えてきたという。
それだけクルーズでも確認できるチャンスが増えているということだ。
香港のランタオ島では、ピンクイルカウォッチングで収穫なくものすごくがっかりしたが(その写真→香港・マカオ家族旅行写真一挙掲載!)、生き物好きなので性懲りもなくウォッチングツアーにチャレンジするのだ。
バスツアーかと思ったら、ごく少人数のツアーのためか四駆の小型車であった。

今日のガイドさんは、なかなかハンサムなうえに、日本人以上に日本語が上手なジェイソンさんという中国系マレーシア人である。
昔、インドやネパールなどで現地ツアーバスに乗ったことがあるが、やはり日本語ガイドだと何を見ても理解の深さが段違いである。
きわめて有能な頼もしいガイドであり、この際なんでもかんでもジェイソンさんに尋ねまくる。

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走る車の窓から走る鉄道を撮るのは大変。これが限界だった

コタキナバル中心部のジェッセルトンホテルをスタートし、南西方向へ走る。
途中、何度か「サバ州立鉄道」が走っているのを見かける。
サバ州立鉄道は、ボルネオ島唯一の鉄道路線である。
ジェイソンさんは、
「あっ!サバ鉄道です!走ってます!」
と非常に得意げに紹介してくれる。
次回、ゆっくり来ることができたら、是非乗車してみたい。

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道中、さまざまなものが目に入ると、というか私の目には入っていなくても、ジェイソンさんは次から次へといろんな解説をしてくれる。

「あれは、アブラヤシのプランテーションです。あれはまだ植えたばかりで小さいですが、すぐ大きくなります。植えて2年目から油が採れます。そして20年くらいは採れ続けます。
プランテーションにはとても効率のいい植物です。
収穫した油は、パームオイルとして食用や洗剤、そしてバイオディーゼルに利用されます。」

私は、「サルだー!ヒャホウ!かわいいー動物バンザイ自然バンザイ」というつもりでこのツアーに参加したが、このように道々プランテーションを目の当たりにすると、日本との関係や環境問題などを考えずにはいられなかった。
マレーシアのパームオイル生産者にとって、日本は大口の輸出先だ。
あんなに森林を皆伐してプランテーションを作ってしまったら、もうもとの森林に戻ることはできないだろう。
途上国につきものの低賃金労働という問題もあり(帰国して調べると、より低賃金で働くインドネシア人を雇っているという)、その責任の一端を日本は負っているのだと思うと、暗い気持ちになる。

農産物は工業製品ではない、という当たり前のことを、先進国は忘れてしまう。
機械で機械ものを作るのならまだしものこと、このアブラヤシのように、原料は農産物なのに使い道はおもに工業関係となると、安定供給のために農薬散布や森林皆伐・大量植樹などの無理を強いることになる。
森を切り開けば当然、川は汚染され、川に住む生き物も減るだろう。
このあと川で出会う(と、信じている私!)サルの平和のためにも、ボルネオの森の保護はしなければならないと思った。

また、こんなこともあった。
ジェイソンさんが、一見なんの変哲もない3階建ての鉄筋コンクリート製マンションのような建物を指差し、「あれはなんだと思いますか?」と聞く。
それは、燕の巣の巣、なのであった。
アナツバメの巣は中華料理の高級食材になるが、断崖絶壁にある巣を採取するのは危険であり、多くの人が命を落としている。
このマンションでアナツバメが巣をかけるように仕向けると、初代の作った巣は食べられないが、ここで生まれた二代目のツバメが作った巣からは食用になるという。

大規模プランテーションには疑問を持ったが、この「燕の巣の巣マンション」には和んだ。
たしかにちょっと景観は悪いが、ビルを建てるだけで勝手にツバメが巣を作ってくれて、高級食材が安価で食べられるようになればそれに越したことはない。
ベテラン採取人の就労機会を奪う……とかいう問題もあるか?
でも時代の流れだし。
命がけよりはマシでしょう。

天然ガスの採掘場も通った。
天然ガスの埋蔵が新しく見つかって、大規模な開発がおこなわれている最中である。
マレーシアは天然資源が豊富で、うらやましくなる。

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さて、ジェイソンさんが
「今は雨期で果物の季節ですから、寄ってみますか?」
と、露店に立ち寄ってくれた。
マンゴスチンやランブータンは、まあ珍しくないが、今まで見たことのないものを売っていた。

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ひとつは、このぶら下がっているたわしのようなもの。
タラップといって、ボルネオの特産品だというが、ジェイソンさん曰く「まだ熟していない」とのことで見送り、もうひとつのほうを食べてみた。

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ドリアンダリ、別名ドリアンカンポン(田舎のドリアン)という。
いわゆるドリアンと、色も味もちがう。
交配種ではなく原種のドリアンだという。
ねっとり甘くて、でもなぜかクッキーのような、こんがり香ばしいような風味が残る。
手で食べると、いつまでもその香ばしい匂いが手に残っている。
果物なのにわずかにほろ苦い(焦げたような風味)のは、南国フルーツの特徴なのかもしれない。
だから苦みに対して敏感な小さい子供は、南国フルーツが苦手なことが多い。
私はオトナなので、そのほろ苦さを堪能した。

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キミは幼いころから南国フルーツを堪能したまえ

道路沿いに簡単な店を出し、大家族でただぼんやりと、雨宿りというか店番というか、いつ来るとも知れないお客を待っている。
一日でどれくらい売れるのだろう。
売れなかったらみんなで食べればいいのか。
ジェイソンさんに聞くと、この人たちはムスリムでミサイヤ族といって、フィリピンのセブに住む人々と同じ民族だという。
つい、同じ国ということで半島部マレーシアにばかり意識が向くが、地理的にはここからクアラルンプールよりもセブのほうがずっと近いのだ。

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もう少しでリバークルーズの川に着くところで、中国系の人々の寄進で建ったという廟を通りかかった。
マレーシアは多民族国家であり、多くの宗教が信仰されているが、サバ州を走っていて目につくのは圧倒的にキリスト教会である。
正確には教会そのものよりも看板である。
幹線道路の奥、山の奥地に教会が建っているのである。
こういう国に来ると、こんな南のジャングルに分け入って布教をした宣教師の熱意にはいつも驚いてしまう。
かなり奥地の少数民族も、今では土着の信仰よりもキリスト教を信じているそうだ。
禍々しささえ感じる空の下、幹線道路に建つド派手な道教の廟は、熱帯の気候風土には似つかわしくないように見えたが、ではこの地に似合う宗教はなんだろう?
キリスト教でもないような気がする。
信仰を尋ねると、ジェイソンさんはあっさり
「仏教……いや、道教かなー。あんまり真面目に信仰していなくて、アハハ。まあ一応、聞かれたときは仏教と答えるようにしてます。」
と、まるで大多数の日本人のようなテキトーな答えで、親近感が湧く。

そうこうするうち、コタキナバルを出発して2時間ほどで目的地のガラマ川に到着した。
2時間も走っていたら飽きるのではないかと思っていたが、名ガイドのおかげでまったく飽きることなく、楽しく、勉強になる道中であった。
ロードムービーを一本見たような気分だ。
(クルーズは、その2へつづく)

by apakaba | 2012-12-06 13:25 | ボルネオ | Comments(4)
2012年 12月 01日

ゴーゴー・ボルネオ!〜ジェッセルトンホテル&コタキナバル散策編 その2

その1のつづき。

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熱帯雨林散策ツアーの帰り道、ガイドさんが
「コタキナバルで一番有名な食べ物、なんだと思います?」
と聞く。
なにかの果物かなあ、ちがうのかな、なんだろう、と思っていると、
「カ・イ・セ・ン、海鮮ですよ!」
と、思ってもみなかった答え。
コタキナバルの海鮮レストランはおいしいだけでなく、香港はもちろん、マレーシア半島部と較べてもずっと安く食べられるので、近隣の国から来た観光客に大人気だという。
ツアーで一緒だった人同士で、行ってみることにした。

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だだっ広さにびっくりする。
いくつもの店舗が入っているのだった。
ガイドさんのおすすめに従って、「双天(ツインスカイシーフードレストラン)」というところに決める。
静かで、エアコンの効いた屋内の席もあるが、喧噪の屋外席を選ぶ。

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私はこういうゲテ系が好きだがみんながみんなそうとは限らない

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それでもおずおず「シャコが食べたい」と言ってみる。おばちゃんは「シャコはこれ!」とペットボトルを指差す

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ペットボトルに一匹ずつ入っていた。こんなに大きなシャコは初めて見た!

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とりあえずタイガービール!と決めていたのに、お店のおばちゃんはDesterをごり押ししてくるのであった。キャンペーン中か。

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お通しの、瓜らしきもの(若いメロンのような感じ)の甘酢漬け

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あまりにも大きなシャコなので、はさみで切ってもらう

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カラはパリッパリ、身は分厚くトロッとしてタマゴが中からホロリと。こんなおいしいシャコは初めてだ!

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サユール・マニス。サバ州特産品なので通称サバベジ(サバ州の野菜)。
野菜が好きなのでうれしい。これだけでビールには十分


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「深海虎斑」という魚を蒸したのは、身が引き締まっていてよかったなあ。
家でもこの料理はよく作るが、この魚を使ったことはない


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「この店おいしいの?」「ええ。おいしいですよ。」
店員の自信に満ちた表情


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「うまい!」

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「うまいなあ!」

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「うまいみたいだぜ。じゃ、ここにする?」

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カブトガニかな。これも食べてみたかった……

ガイドさんが強調するほどには「安い!」とは思わなかったが、それでもやっぱり香港に較べたら安かったな。
いけすとか周りのお客さんを眺めるのも楽しいディナーだった。
歩き疲れていたので足マッサージに立ち寄る。

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キヨシローに似たあごひげの人が担当だった。
マッサージのおかげで、翌日はもうぴんぴんしていた。

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翌朝、ジェッセルトンホテルのあるガヤストリートを歩く。
やっぱりひとけが少なく車が多い。
今ひとつ、写真を撮っても盛り上がらない。

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それでもこの道を行くのは、目当ての店があるからだ。
道路にびっしりと駐車されている様子は、フランスの路駐を思い出させる。

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マレーシアに来たら絶対に食べたいのはラクサ!
ここはコタキナバルのラクサの有名店。
辛味は小皿のスパイスで調節できるのがありがたい。
コクがたっぷり。来てよかった。
アイスミルクティーも好きだが、香港にちょっと負けてたな。
香港のミルクティーは、どこで飲んでも悪魔的においしい。

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名店だけあり、満席でスタッフは大忙しである。

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お客さんたちはさっと食べてさっと帰っていく。

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YEE FUNGという名前の店だった。
今、気づいたが、まんなかの藤色のシャツの男性は私にピースしている。
どうもこのあたりの人は、カメラを向けるとピースをするのであった。

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後ろからならピースされない

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ガヤストリートをホテルに向かって戻っていくと、いかにも歴史の深そうなミシン屋があった。
ベタベタと店先に貼られた写真は、どれも植民地時代を偲ばせる。
この街を、もっとのんびりと散策し、植民地時代の面影など追いかけてみたかった。
しかし、私にはやることがある。
それは……

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朝食をもう一回食べることである。
朝食付きプランのホテルだけど、ラクサに行ってしまった。
幸い、ラクサが私にはまったく足りない分量だったから、戻ってからまた食べることにしたのだった。

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よくわからないフレッシュジュース。ゆうべのお通しに似ている。
若いメロンかなにかか?瓜の味。さわやか


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朝食に甘いパンケーキというのはけっこう好きです。
しかし!さすがにこれは大き過ぎて甘過ぎた!


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今回は自然観察だけに的を絞って来島したのだが、サバ州はさまざまな人種と宗教が入り交じって共存している、奥の深い土地である。
また来ることがあったら、もっともっと、人の観察もしてみたい。
ガラマ川クルーズ編 その1につづく)

by apakaba | 2012-12-01 16:27 | ボルネオ | Comments(5)