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2017年 02月 09日

映画音楽演奏会と、影絵人形劇団のこと

きのうの朝、NHK総合テレビ「おはよう日本」の中で、「FILM SCORE PHILHARMONIC ORCHESTRA(フィルムスコア・フィルハーモニック・オーケストラ)」が取り上げられていた。
2月5日にこの楽団の創立記念演奏会が開かれた。
行きたかったのだが、私は所属している影絵人形劇団の公演の本番があって、行くことができなかった。

今回のコンサートの特徴は、映画音楽の演奏、それも映画音楽界の巨匠ジョン・ウィリアムズの楽曲を演奏するということだったらしい。
テレビで指揮者のヤマトススム氏の話を聞いて感じ入った。
「映画音楽は、クラシック音楽に比べて軽く見られている。演奏会でも、映画音楽の演奏会をやるというと、『なーんだ』という反応になりやすい。
しかし映画音楽は決してクラシックよりも劣るものではなく、耳にしただけで、その映画がよみがえったり、そのシーンが鮮やかによみがえったりしてくる大事な音楽だ。
映画音楽のすばらしさを、お伝えしたい。」
氏は大体このような内容のことを語っていた。
映画を夢中で見た人間なら、誰だってうなずくだろう。
とくに、ジョン・ウィリアムズが音楽をつけた映画は、超有名な作品ばかりだ。

そのコーナーを見ながら、音楽というものが俳優の演技や風景描写にいかに大きく関わってくるかを考えていた。
映画を撮るとき、通常、俳優は音楽のない状態で演技をする。
音楽家は、音楽のない映像を見て、その場面に沿う音楽や、テーマ曲を作曲するものだ。
音楽のない状態で演技する俳優たちは、さぞ気分が盛り上がらないだろうなあなどと思った。
映画を見ていると、まるで俳優は音楽を聴きながら演技をしているかのように、演技と音楽が不可分なもののように見えているからだ。
それほど、音楽の力は大きい。


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本文とまるっきり関係ありませんが。
ある日。大久保、「ムット」


なぜ朝からこのように思いが巡ったかというと、実は、このオーケストラの楽団員の一人、Sさんは、影絵人形劇団の音楽担当者だからなのだ。
2月5日はふたつの公演が重なってしまい、彼女は今回は影絵の方を不参加にして、オーケストラに参加していた。
影絵の公演は、今までになく上演時間の短い「ミニ公演」だったとはいえ、私はとても心細かった。
彼女はすべての演目の音楽と効果音を担当していて、主題歌もBGMもすべて作曲・演奏してきた。
図書ボランティアという小規模な団体として発足したのが12年前、本格的に影絵人形劇団を名乗り始めてから5年。
その5年間のほとんどすべての声の主演は私がやっている。

Sさんと、とりたててママ友というわけでも旧友というわけでもない。
しいて名付けるなら「盟友」といったところだ。
影絵の練習期間中、私と彼女はぼつぼつと打ち合わせをする。
彼女は「アナタの声を聞いて音楽がイメージされるんだから、早いとこ声を仕上げて!」と思っている。
私の方は「アナタの音楽を聞いて演技がイメージされるんだから、早いとこ音楽を仕上げて!」と思っている。
どちらかが圧倒的に早く仕上がるということはまずない。
いい言い方をすれば刺激しあって、悪い言い方をすれば寄りかかりあって?、本番に向かって徐々にブレがなくなっていく。

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さらにある日。イングリッシュ・フルブレックファスト


ずっと一緒にやっているので、あまり細かく説明しあわなくても、音(向こうからすると声)を聞くとだいたい方向性がつかめる。
阿吽の呼吸でやっている。
ラストに感動的な楽曲ができあがると、「この作品に対して、こういう解釈か。だったらこの曲のイメージに合うように演技を変えよう」と、今まで出してきた声を変えたりする。
効果音やBGMの入るタイミング、盛り上げるタイミング、切れるタイミングを、声を出しながら「オッ、そうきたか」「やっぱりね。ここでぴったりストップすると思ってた」と、内心にんまりする。
にんまりするのは、本番中が一番多い。
つまり本番に一番阿吽の呼吸が働いている。

映画と影絵、することは別だけれど、テレビのコーナーを見て、自分のしてきた活動を思い返していた。
自分はとてもおもしろいことをやってきたんだなあと思っていた。
そして、映画音楽も影絵も、音楽がその作品を忘れがたいものにすることは同じだなとも思っていた。

それにしても、100人規模のオーケストラに参加したSさんは、私とはまったくちがう場に身を置いて、かけがえのない体験をしたのだと思う。
おつかれさまでした!
次回こそは、聴きに行きたいなあ。
影絵の公演と重ならないといいなあ。


by apakaba | 2017-02-09 22:30 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(0)