2010年 04月 27日
第7回のつづき。 [2日目・午後2時] ホテルからすぐの、前衛的な建物。 通りかかるたびになんだろうと思っていたが、アートカレッジであった。 ステキ。 いろんな建築があるものだなあ。 インド人占星術師による星占いが終わると、さっそく次の「シンガポールに来たらやりたかったこと」をするべくまた出かける。 次にやりたかったこと、は、非常にシンプルに「マッサージ」なのだが、2回やりたい、1回は足裏かふつうの全身、もう1回はインドのアーユルヴェーダ式で、ごま油をアタマに垂らすのとかを、やってみたーい! 日本でもできるけどあまりにも高いし、日本人のキレイなエステティシャンじゃアーユルヴェーダの気分が出ないもん。 とりあえず、ブギスにあるFu Lu Shou Complex フルショウ・コンプレックスに向かう。 これさえ飲めば、元気のないお父さんも今夜はばっちり! ……、と、いうようなコトをマイクでしゃべっているのだと思う。 干した草、干した根っこ、抹茶のような色の粉末などを地面に並べて口上を述べていた。 「ホントかよ?」 「あやしいもんだなあ」 「あれでいくらくらいするのかねえ?」 買う気がなくても、口上だけは聞きます。 これさえ飲めば、元気のないお父さん以下同文。 リトルインディアからブギスへ歩いていくうちに、いつの間にか、チャイニーズ比率がさっきより高くなっていることに気づいた。 あっ……! Flu Lu Shou フルショウというのは、「福禄寿」のことだったのね……! たしかに。 日本でよく見かける、頭頂部の長い顔ではないけど、入り口には大きな銅像があり、ちょっとした礼拝所のようになっていた。 このショッピングセンター内のマッサージ店を探しに来たが、そのあまりのピカピカぶりに驚いて思わず礼拝所に入ってしまう。 徹底的に、赤と金です。 めでたいです。 なんでガネーシャまでいるの! 赤と金でピカピカと飾られているうえに、部屋の壁は鏡張りになっているので、広いのかせまいのかもうさっぱりわからない。 華人の世界に、入ったなあ。 朝のうちに廻った、オーチャードのショッピングセンターとはまるでちがう野暮ったさ。 そして毒気たっぷりの礼拝所を夢中で撮る野暮ったいアタシ。 香港っぽいね。 ここには、足裏マッサージ店がたくさん入っているというので来てみたのだが、本当にたくさんあって、どこに入っていいものかまったくわからない。 どうせどこも似たような料金設定だということは表の料金表を見ればわかるが、適当に飛び込むのも芸がない。 乾物屋や占いの店などが並んでいる店内をうろうろ歩いていると、チベット仏教の神様のブロマイドカードを売っている店が目に入った。 赤と金のいかにも中国ピカピカ風はあまり得意ではないのだが、チベット仏教なら少しは神様の名前もわかるので、そこに飛び込んだ。 「カーラチャクラある?」 「カーラチャクラは、これ。」 私と同年配の、スリムな中国系の女性が、回転式のカードホルダーから探してくれた。 ちょうど10年前に行ったインドで、14世ダライ・ラマ法王によるカーラチャクラの法要に参列して以来(詳細はAPAKABA?インド旅行記の欄へ)、カーラチャクラの曼荼羅や像が一番好きなのだ。 「えーとー、ヤマーンタカも好きなんだけど、ある?」 「ヤマーンタカは、これ。」 薄いピンクのパフスリーブのTシャツにベージュのサブリナパンツという軽い服装の女性は、たくさんある神様カードから迷いなく私の言った神様を出してくれる。 気さくな感じの人だ。 「じゃああと1枚ね。マハーカーラは?」 「マハーカーラはこれね。これで全部ですか?」 「3枚でいいわ。ありがとう。 ところでちょっと聞きたいのですが、ここにあるフットマッサージで、腕のいいとこ知ってたら教えてくれませんか?たくさんあるから迷っちゃって。オススメ、どこかありますか?」 「もちろんわかりますよ。この並び、つきあたりの近くにあるところ。私の親戚なの。上手よ!私もいつもやってもらってるの。」 あっさりと店が決まった。 私は、こういうときにはあまり余計な警戒心を持ったりしない。 どっちにしろサービスに大差はないのだろうから、それならちょっとでも会話を楽しんだほうが、いい思い出になるもの。 神様カードが絶対にほしかったわけでもないけど、ただしゃべるきっかけにしたかっただけ。 長旅だと会話に飽きることもあるが、なにしろ2日半ですから。 推薦されて入ってみたマッサージ店は、まるで垢抜けないボロい店だった。 中国本土に行ったことがないけれど、中国にある庶民の店は、きっとこんな感じなんだろうなあというような雰囲気だった。 お客はひとりもいなくて、年配の男性と、中年の男性が、客用の椅子にふんぞりかえってボケーッと14インチのテレビを見ていて、中年のほうは私が入っていってもしばらく気がつかないかのようだった。 しかし足裏マッサージが始まると、腕はたしかだ。 私は、中国には疎いのでなんにも話すことがないな……と思っていたが、つけっぱなしのテレビではDVDで香港映画を再生していて、映画ならちょっとだけわかるから 「このヒーロー、アンディ・ラウに似てるね。」 とか 「ヒロインはコン・リーに似てる。」 とか言ってみる。 案の定、年配も中年も、ふたりとも 「いやあこりゃアンディ・ラウに似てるがアンディ・ラウじゃないんだよ。」 「このDVDのパッケージを見せようか?これだよこの俳優。」 と話に乗ってきた。 グリグリと足裏を押されて、ほんとはとても痛いのだがにこやかに映画スターの話をする。 しまいには、 「このDVDのパッケージをあげるよ!」 と、いかにも学のなさそうな面構えの中年のほうに言われて、いらないよこんなB級俳優ばっかりの映画……と苦笑してしまった。 足だけかと思ったら全身ひととおりやって、最後に、冷たくも温かくもない漢方の香りのするお茶をもらった。 ついビールやジュースに手が出る旅行中こそ、こういうお茶は沁みる。 お店に入ったときはまるっきり愛想のなかったふたりだが、しゃべってみればけっこう楽しい。 星占いとマッサージで、心と身体と両方が軽快になった。 さあ、すっかりリフレッシュしたし、次に「やりたかったこと」をめざそう! (第9回へつづく)
by apakaba
| 2010-04-27 12:40
| シンガポール2010
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Comments(8)
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minmei316 at 2010-04-28 13:39
こんにちは 早速やってまいりました
アーユルヴェーダ式 あのごま油マッサージ・・・ わたしもいっぺんやってみたいと思っていました 頭にタラーーー・・・ 気持ちよさそー それと小麦粉を捏ねたもので目の周りに土手を作ってその中にごま油を垂らすのもやってました お目目がスッキリするらしいですね いいな~・・・ ガラシャがパイレーツオブカリビアンのタコに見えてしょうがないです(汗)
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apakaba at 2010-04-28 14:05
おおーご訪問ありがとうございます。
(マーヒーブラヴォー。と、書いておく……) アーユルヴェーダのシローダーラ(ごま油だーらだら)は、インドのお値打ちテキトーサロンでやると、ごま油まみれにされてそのまま帰宅しないといけない、とか聞いて、それだといかにごま油のかほりが好きな私でもツライわ……その点、シンガポールならシャワーくらいありそう……と踏んでのことでした。 目の周りに土手というのは初めて知りましたが、もんじゃ焼きのようだなあ。 決して目を開けてはならないわけですね。すごいわ。 ガネーシャ(ガラシャだと細川ガラシャになってしまうので)は、たくさん供物の花輪をかけているのでタコみたいですね。 あれ?パイレーツ〜〜は、イカだったかも……? もはやどっちでもいいやと思ってしまうお年ごろです。
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ぴよ
at 2010-04-29 12:41
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金ぴかガネーシャが・・・一瞬「細木数子」に見えた(滝汗)
ヒンドゥー神様衆の中でガネーシャが一番好きなんだけどな。 足ツボは台湾でやってもらった事があるけど・・・悲鳴上げた(涙) 一緒にやってもらったママも悲鳴上げてて「この人(ママ)はどこが悪いんですか?」 と聞いたら「脳」と即答された。事実ぢゃねーか(薄涙)
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apakaba at 2010-04-29 23:26
ガネーシャレス。
ぴよさん、あの人は不幸なことをわざとはっきり言うのがねえ。 ゴパールクリシュナ氏とは雲泥の差ですな。 ガネーシャはインド人も大好きですよ! なにしろ万能の神だもんね。 足つぼは悪いところがあるほど痛いっていうけど、強く押せば痛いわな。 でもそれこそ占い師みたいに、悪いところを正確にぴたりぴたりと当てるよね!あれはビックリ! ↑ あ、ママの件……
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f--kforever at 2010-05-03 00:30
赤と金のおめでたさ満載な感じといい、いちいちマイクで口上たれるほどでもない客との距離感など、いかがわしさが漂う画像がたくさんあって楽しかったです^^。
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apakaba at 2010-05-06 10:49
第8回レス。
f--kforeverさん、キム・ギドクという韓国の映画監督の作品に『鰐』というのがあるのですが、その主人公が、まさにマイクでいんちきな精力アップの薬の口上を述べるシーンがあり、「どこでも似たようなことやってるな……」と感慨深く見ました。 まだまだ写真満載でいきます。
みなさん、金ぴかガネーシャへのコメントを挙げられているので、拙も。
美輪明宏さんを連想しました。 神様には正も邪も無いですもんね。 しかし、オール アジア ゴッド大進撃みたいな感じですね(どんな感じやねん?往年のゴジラ映画のイメージ) しかし、オリジナルはインドに在り、ですね。 行ってみたいな、シンガポールにインド。
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apakaba at 2010-05-15 22:26
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アバウト
以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
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