2010年 05月 12日
第10回のつづき。 [2日目・午後9時] 『月はどっちに出ている』 岸谷五朗が好演してたな。 チョイ役の萩原聖人も。 異国で月が出ていると、反射的に「月はどっちに出ている」と、口をついて出る。 (『月はどっちに出ている』・・・在日コリアンタクシードライバーが、しばしば自分の走っている位置がわからなくなって会社に電話すると、上司から「空を見てみろ。いま、月はどっちに出ているんだ?」と聞かれてそれで東西南北を確認する。カーナビなんてなかった時代、1993年作品の映画) ホテルに戻ってきたがまだ9時過ぎだ。 中庭のレストランでは、美形インド人ファミリーが食事をしている。 こっちはお腹いっぱいなので、ジントニック一杯だけ。 若いハンサムなパパ、美人でスレンダーなママ、動く人形みたいに愛らしいお嬢ちゃんたち。 新興インド人富裕層の典型みたいなご家族。 「追加のご注文は?」 まだまだ、遅いディナータイムはつづきそう。 クロスのかかったテーブルで一度も食事をしていない私からすると、なんでも高く感じる。 まる一日、よく動き回ったが、まだやり残したことがたくさんある。 明日はアーユルヴェーダオイルマッサージの店に予約を入れに、もう一度行ってみる。 知人から頼まれたシリアルナントカをさがす。 お土産もののショッピングもしたい。 それから、あれを食べるこれを食べる……おやすみなさい。 [3日目・午前7時] さっそく、シンガポールでやりたかったことをしに行こう。 それは朝ごはん。 ブギスまで歩く。 え、朝ごはんってマクドナルドのこと?まさかー。 このお兄ちゃんがせっせと作っています。 新しそうだけどレトロ風の内装、この辺りではイケテるスポットなのかも。 朝早くから、たくさんのお客さんが入っている。 シンガポールでやりたかったことのひとつ、それはこれです! 「カヤトーストを食べる」 カヤジャムという、ココナッツと卵を混ぜたジャム(というかなんというか、甘いペースト状のモノ)を塗ったトーストが、シンガポールの軽食の定番なのだと。 初心者の私にはなんでもめずらしいので、トライしてみたかった。 実は近所の高級スーパーでも、「ラッフルズホテルのカヤジャム」というものを売っていて、この旅行の前に買ってみようかとさんざん迷ったのだけど、やはり旅先で初めて食べてみたいし、なにしろお値段がね。 ちっこい一瓶が2000円くらいするんだもんねえ。 ラッフルズホテルのラベルが重要なのでしょうか。 パンよりもカヤジャムよりもはるかに存在感を主張しているのは、チーズではなくバターです。 バター比率のすごく高いトーストだけど、旅先なのでまあよろし。 砂糖ミルク入りの甘いコーヒーと、温泉玉子がつくのが定番のセットらしいので私もそうする。 しかし周りを見回すと、誰もこの定番セットを頼んでいなくて、朝からフライドチキンみたいなものにかじりついている。 なんだよーみんな。定番を食べようよー。 温タマに、ゆうべの大根餅の「黒」のほうと同じ味の醤油をかけたところ。 初体験のカヤトースト、おいしうございました。 かわいい味、とでもいうか。 ココナッツの味が好きなので(きのうもブギスでココナッツジュースを買っていたでしょ)。 サワヤカという味でもないのだけど、単純な、なごむ感じの味。 若手香港スター風色男。 本場の香港には、香港スター風色男は絶無だったのだが……(詳しくは香港・マカオ旅行2006へ)。 月曜早朝、私のような外国人旅行者もいれば、出勤前の地元の人も来ているみたいだった。 観光客相手のリキシャ(とは呼ばないのか?)も、まだ朝早いのでヒマそう。 カードに興じている。 よく脇を通りかかる、アートカレッジの学生風。 この通りには、いつもいかにも美大生らしい、個性的な感じの若者がたむろしている。 最終日、雨に降られないといいな。 それにしても、あれしきのパンでは足りないよねえ。 なにか、もうちょっと食べたいなあ。 ブギスから、リトルインディアまでぶらぶらと戻ってきてしまった。 またまたテッカセンターのフードコート。 さて、なにを作っている店でしょう。 まだ、開いている店が少ない。 食べに来る人もまばらだ。 ヨーダのようだ 朝から働き者の奥さん。 さあできたわよ。 おかゆちゃーん!!! ラヴでちゅよーッ! 中国粥も、シンガポールで食べたかったもののひとつだ。 私の父は9歳のときに他界したが、横浜大好き、中華街大好き(シナまちと呼んでいたが)、おかゆにこのヤウチャッカイ(浮いている揚げパン)を入れるのが大好きだった。 「ヤウチャッカイ」という言葉を知っている人は意外と少ないのだということは、大人になってから知った。 横浜の実家ではしょっちゅうヤウチャッカイを買ってきては食べていたから。 数少ない父の思い出の中で、ヤウチャッカイはまじないめいた語感といい、強烈ななつかしさを覚える。 ダイレクトに父の思い出、というより、幼いころの記憶全般へとつながる、なつかしさだ。 まあこんな油っこいものが好きだったのだから、早死にするわな。 私もバターどっさりトーストとヤウチャッカイで、完全にアブラ摂り過ぎですな。 「遠足だからといって、調子に乗って食べ過ぎてはいけませんよ!」 「ハーイ!!」 (第12回へつづく)
by apakaba
| 2010-05-12 15:00
| シンガポール2010
|
Comments(11)
Commented
by
キャヤジ
at 2010-05-12 17:10
x
>ヤウチャッカイ
ん? ヨウチャオ(油条)だよね。 そういう言い方は初めてだよ。
0
Commented
by
apakaba at 2010-05-12 18:12
Commented
by
キョヤジ
at 2010-05-12 20:30
x
Commented
by
キョヤジ
at 2010-05-12 20:32
x
Commented
by
apakaba at 2010-05-12 21:28
油条と書いて「ヤウチャッカイと読みます」とわざわざ書いてあるのもあるのね。
……でも、読まないよな(ぼそ)
Commented
by
タカモト
at 2010-05-12 21:31
x
あー当然俺もここで晩飯食ったよ。
隣のテーブルに座ってたねーがこれ見よがしに手でタバコの煙をパタパタと。 ちっ! 味の記憶は・・・・・ねーなぁ。。 朝飯は「付き」だったんでホテルで食ったわ、定番の。 よく海外で見る光景なんですが。。。 昼間から成人男性がたむろしてるのよく見るんですけど。 テーブルに座ってしかもほぼみんな道路に向いてる。(笑) 働かないのか?
Commented
by
apakaba at 2010-05-12 21:36
多分、ホーカーズとかに較べて、すごく一般的な味なんだと思う。
(なにしろジントニックしか飲んでないからワカランが) このホテル、コーヒーのマシンがあって飲み放題なのが気に入りました。 でも現地の人がかならずたむろしていたな。 働かないのは、きっと休みの曜日がバラバラなのではないかと(一応、好意的に解釈!)
あはは、やっぱり“家族”に視線が行かれるようですね。
確かに、アジアを旅行した時、ホテルだけでなく、空港や駅にも“乗客”以外の人がやたらに多い気がします。 写真には月の形がちゃんと出ていますね。 性能の良いカメラを持参されたのですか? それとも、ISO感度を下げ、白トビを避けた?
Commented
by
apakaba at 2010-05-15 22:37
第11回レス。
撮っているときは無意識にいろんな人物を撮っているのだけど、そう見えるかな? カメラはNikonD70です。 これがくせ者で、だいぶ古くなっていてほとんど使っていなかったためにすねたらしく、100カットほどデータが吹っ飛びました。
Commented
by
ぴよ
at 2010-05-17 00:00
x
カヤトーストに挟んである黄色いモノはチーズじゃなくてバターだと・・・っ!?
あ、有り得ないバター率(滝汗) ヨーダの3枚上の画像(男2人)の余りにも目付きの悪い男がっ! 小学校の同級生に激似!!目眩する程似てる!! 目付きの悪さまで似てるもの!まさか私の同級生じゃないわよね?(んな訳ねーよ。笑)
Commented
by
apakaba at 2010-05-17 08:28
ぴよさん、シンガポールにコメントうれしいです(写真載せて無反応ってさびしいので)。
カヤジャム、おいしかったです。 バターを食っているような気もしなくもなかったが。 目つきの悪い男は、どう見てもインド人だと思われ……その同級生はインド系なお顔だったのか。 |
アバウト
以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
ご案内
直島の旅行情報 blog links (エキサイトブログ以外) 彼の地への道すがら 三毛猫日記 ムスリムの女たちのインド 王様の耳そうじ 細道 紀行地図へと続く道。 「いい子」をやめたら人生がきらめく! greenmanbaliの日記 すきなものだけでいいです Avance(アヴァンセ)でいこうっ ライオンシティからリバーシティへ カテゴリ
全体 映画・ドラマ 歌舞伎・音楽・美術など 生活の話題 子供 国内旅行 旅行の話 ニュース・評論 文芸・文学・言語 健康・病気 食べたり飲んだり ファッション ベトナム2023.3 ソウル2022.11 思い出話 サイト・ブログについて 1990年の春休み 1990年の春休み.remix ver. 香港・マカオ2006 シンガポール2010 直島旅行2010 バリ&シンガポール2011.1 香港マカオ2011 香港2011夏 バリ&シンガポール2011.11 台北2012 家族旅行香港マカオ2012 ボルネオ 台湾2013 ヨルダン・シリア1998 イスラエル1999 エッセイ フランス インド2000 香港2013 スコットランド 大腸がん闘病 ソウル2023.1~3 シンガポール2023 台北旅行2023 未分類 最新のコメント
ライフログ
お気に入りブログ
Tatsuo Kotaki 草仏教ブログ ガタム ( ghatam ) 子供部屋 紅茶国C村の日々 梟通信~ホンの戯言 みんなのヒンディー語教室 勝手に僻地散歩 Atelier Kotaro SALTY SPEEDY シニアバイクマンⅡ FC2ブログに移転しました 旅行・映画ライター前原利... 塩と胡椒 いいあんべぇブログ 折原恵のニューヨーク写真... ブログパーツ
以前の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||