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あぱかば・ブログ篇

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2011年 04月 11日

今年の桜を見て思ったことなど

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土曜の朝、京都へお花見に出かけた。
震災以降、私がどんよりしているしていることをネット友だちが心配して「東京を離れて関西へ来たら」と言うので、急に行ってみた。

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遠出しなくても、桜はもちろん、うちの周りにもどっさりと咲いているが、「東日本大震災」の名が示すとおり、東京までと東京以西の地では、被災者気分の度合いがはっきりとちがうようにかねがね感じていたので、その様子を見てみたかった。

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話題はやっぱり震災のことに集中していたけれど、街の節電ムードや物資不足でなにかと暗い東京と、のどやかな観光地の京都では開放感がちがう。
余震がないのもナイス!
「わあーきれい!」「まあーステキ!」「ここ、ここからの景色見て!カンゲキ!ほんとにステキねえ〜!」とはしゃぎ合うおばさん観光客の声が、なんともいえず耳に心地よい。

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京都にいる間、ずっと、ひとつの歌が頭から離れなかった。

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今は“桜ソング”というジャンルがあるのか?
桜の季節に聴きたい曲という人気投票も毎年あるようだが、私にはソングではなくて和歌が思い出される。

例年思い出すのは、超有名な歌ばかりである。
こんな日記も、書いたことがあった。

一人で立つ歌・立たない歌。「世の中に たえて桜のなかりせば」

花を詠む。ゆきくれて木のしたかげを宿とせば(旅宿花)

国文科卒の習性で、毎年これらの歌が自然と思い起こされるのに、この春はひとつも浮かんでこなかった。
やはり私の精神状態は、ふだんどおりの春を迎える気分とは遠かったのだな。
かわりに浮かんでいた歌は、

さざ浪や 志賀の都はあれにしを 昔ながらの山ざくらかな(千載66)

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泣ける……心にずっしり響く。

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後鳥羽上皇は体言止め

こんなことを、夫婦で語らったこともあった。

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“さざ浪”は、ぽちゃんぽちゃんと琵琶湖に打ち寄せる小波じゃなくて、あの海岸、あの砂浜、あの岸壁に打ち寄せるしずかな波になり、“あれ”てしまったのは志賀の旧都ではなくてあの街やあの街。
平忠度が見ていた戦乱は、今の東日本と変わりがない。
そして桜前線だけが、いつもの春と同じにわけへだてなく列島を北上していく。

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やっと読書を再開した。
前から思ってはいたことだが、やっぱり人間、勉強をしなくてはいけないぞ。
震災や原発事故や、きのうの都知事選の結果など、いろいろ大きなできごとを見ていて、今ほど強く思ったことはない。
勉強(計算とか漢字練習とかのことじゃないよ。それも大事だけど、本を読んで知識を得て、人と建設的な議論をして、判断力を養うという意味)を怠ってきた人間は、なにかよくないことがあると、自分ではなく人のせいにする。
文句ばっかり言ってなんにも引き受けない。
考える力をつけなくては!
そのためには、まず簡単な本でもいいからいろんな本を読もう。
震災前に読もうとしていてそのまま放り出してあった『アメリカン・デモクラシーの逆説(岩波新書)』を新幹線の往復に読んでいた。
たくさん本を読むことを決意した!

by apakaba | 2011-04-11 11:15 | 国内旅行 | Comments(8)
Commented by kaneniwa at 2011-04-11 13:00
京都の桜の写真をありがとう。
やっぱり自分が生まれ育った京都の桜は
たとえ今年は直に目にすることができなくても、
こうして写真で見るだけでも感慨深い。

私も本を読みたいと思っています。
ただ、いちばん読みたいものは
これから出てくる物語。

そして、読んでいるものは何度か読んできた古典。
感じてくるものは以前と変わったり、
変わらなかったり。

BYマーヒー



Commented by apakaba at 2011-04-11 18:41
マーヒーさん、実は往きの新幹線の中で、読書もしたけどそれ以上に旅行記執筆に勤しんでしまって、めずらしく電車酔いをしてしまいました。
それで写真がぜんぜん撮れずヘボヘボです。
私も、どんな名所の桜よりも、自分の家から徒歩1分の、神田川遊歩道に咲きそろう桜が一番好きです。

リアルタイムにとんでもないことが刻々と起こっていくと、活字に印刷されたものを読むことができなくなってきますね。
どんどん情報が流れてくる画面のほうに集中してしまって、もう見たくなくなってもやっぱり画面を追ってしまう。
周りの書物が、一気にみんな色あせて見えてしまう。
この1ヶ月はそうでした。
「こんな本を読んだからって、なにになるんだろう?」と無常の気分にとらわれてしまい、こつこつと読みつづけることを放棄してしまうの。
それではダメなんだと、ようやく理性的になってきました。

そして、はたと立ち返ってみると、古典が持つあまりの力にただ圧倒されてしまいます。
Commented by ogawa at 2011-04-11 23:23 x
土曜日は、京都に来ていただき、どうでしたか?
「揺れない」京都で桜と、美味しいゴハンを楽しんでもらえたでしょうか。

東日本は、復旧までこれからだと思いますが、まずは一人ひとりの意識からですよね。

眞紀さんが、今回の京都行きで少しでも元気になり、日常に戻る元気が出たのであれば、お誘いした甲斐があります。

私が撮った9日の桜は、こんな感じです。
http://eurasia-walk.sub.jp/kokunai/2011sakura/2011sakura2.html
Commented by apakaba at 2011-04-11 23:41
こちらこそ、すっかりお世話になりました!
娘が最後ののれそれの写真を見て、「わーなにこれ、おいしそーう!」と興味津々。
こればっかりは、なかなか食べることができないもんねえ。

余震アンド物不足アンド節電な、暗い東日本ですわ。
でもべつに、東京は被災したわけじゃないしな。
話していて強く感じたのは、やはり東と西というのは、はっきりと分かれているなあと。
東北と東京が、意外と濃く結びついていることも、関西とはかなりかけ離れていることも、よくわかった。
それも収穫でした。
Commented by ぴよ at 2011-04-12 23:35 x
関西の桜は、それはそれは清々しく楽しめた事でしょう。
この全く震災の影響のない名古屋ですら、ほんの少しの地震が
あっただけで、まるで自分達も震災被災者の仲間のような顔で
やたら「自粛」「自粛」と声高になっていて辟易している所ですよ。

毎年「満開の桜」を目にする度に梶井基次郎の
「櫻の樹の下には屍躰が埋まってゐる!」
という一文を思い出す(と言うかそれ以外思い浮かべられない)
私には、文学等を語る資格などなく・・・くすんくすん(涙
Commented by apakaba at 2011-04-13 08:43
ぴよさん、ogawaさんと話していたのは、東京には東北出身の人がたくさん住んでいて、関西へは東北の人はほぼ住まない。
東北と東京の結びつきは、関西と較べて非常に強いのだろう。
だから東北の不幸は東京も背負い込みやすい、とかそんなような話。
まあ注目されないけど東京近郊も、浦安とか茨城とかかなりつらい話になっているんだよね。
やはり「東日本」なんだな。
ほんと、東日本の人間は、余裕があったら関西方面へ遊びに行くといいと思う。

文学って普段はなんにも役に立たないけど、ごくたまに、心に力をくれるものだと思うわ。
きのう私が「この春は、毎年浮かぶ名歌じゃなくて“さざなみや”ひとつだけがしきりと浮かんできたんだ。」と夫に言うと、「“詠み人知らず”のな?(ニヤリ)」「そう“詠み人知らず”の。(ニヤリ)」「平家のなかでも、忠度都落ちは泣けるよな。」「うんあれはいいね。」と話していました。
傍から見たらキモい夫婦だよ。

きっとそんな会話しても、「震災に遭った人には平家なんか関係ないし役にも立たない」のだろうけどね。
Commented by ノースカグ at 2011-04-24 05:11 x
apakapaさん、はじめまして。東京生まれ、ニューヨーク在住のノースカグと申します。もう何年もこちらのブログを愛読させていただいています。ネット上で発言する習慣のないもので今まで黙っておりましたが、今日はなぜか思い立ってカミングアウトです。

apakabaさんの知性、言葉に対する愛情、家族との生き方などは私の理想の体現です。どういうわけだか小学二年生のときから結婚に対して恐れを抱いていた私にとって、apakabaさんは貴重なロールモデルになっています。

これからもずっと更新を楽しみにしています。
Commented by apakaba at 2011-04-26 11:42
ノースカグさん、コメントありがとうございます!
最近、コメント少なめでけっこうやる気なくしがちな日々だったのですがすっかりやる気が出ました。とてもうれしいです。

NYはいつか行ってみたい場所のひとつなのですよ。
仕事が落ち着いたら行きたいなあ。

私は、結婚が平均からすると早かったので、今になって思うとガキのくせに結婚してしまうというのは、意外と後悔するヒマもなく突っ走れるのでかえっていいのかもしれません。
とはいえ、小2からとなると……それはかなりさかのぼりますよねえ。
いろんな人生を垣間見ることができるのがブログのいいところですね。

これからもお気軽に書き込んでください。
しばらく香港つづきですが一気呵成にいってしまおうと思ってます!


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