あぱかば・ブログ篇

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2011年 04月 18日

あなたを香港・マカオに連れて行くよ・2

3月16日つづき。(第1回分はこちら

香港空港に、5年ぶりに降り立った。
降りたときにはかなり気が晴れていた。
見回してみると、私のような日本人観光客はあまり多くないようである。
安くて近くて旅しやすい国だと、今は台湾と韓国にすっかりトレンドがうつってしまったように思う。

どうしても、チャンギ空港と較べてしまうが、やっぱりチャンギに較べたらどこも見劣りするよねえー。
しかしこの空港に前に来たことをまるっきり覚えてないのはどういうわけだ。あまりの記憶力のなさにガクゼンとする。しかしお土産だけは抜かりなく買う。
降りたばかりの空港でイミグレに直進しないでいきなり免税品を買うのは初めてだが、決まっているものならその方がらくだ。
夫に、約束していたビオテルムの化粧品を買った。

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エアポートエクスプレスで空港から市内へ。九龍(カオルーン)で降り、無料循環バスに乗り換えた



ところで、そもそもどうして旅先を香港・マカオに選んだのか。
もとをたどれば、ロッテの「全プレ」だった。
済州島二泊三日の旅に応募してB賞(きっと全員当たる)となり、いい機会だからと義母を誘ってみたが多忙とのことで断られた(その話は→B賞、どうでしょう義母の子育てに書きました)。
私は、B賞はたんなるきっかけで、どこかに旅行に行けたらいいなーと思っていたので、甚だがっかりした。
一度タビゴコロに火がつくと、止められない。
「どこか行きたい!ふんぎゃ〜〜〜!」と暴れて、夫の承諾を得た。

近場でどこか……と検討していた矢先、たまたま本屋で手に取った一冊の本で、完全に心が決まった。
『香港 路線バスの旅(横の「ライフログ」にリンクあります)』というその本の、「清水湾」の章の書き出しを立ち読みで読んだとき、その名文ぶりに驚いた。

この地名は裏切らない。クリアウォーターベイ、清水湾は、英語でも中国語でも水の澄んだ湾だが、その名のとおりの浜がそこにはある。九龍から山を越え、森の中を走った先にある奥深い湾は青く澄んでいた。そしてこの91番のバスを終点で降りると、きれいな海、それだけがある。

しびれたね。
香港のバスと香港への愛があふれていて、すっきりと無駄なく、読む者を楽しい旅のあこがれへといざなう。すばらしい書き手だ。
絶対に行ってみたい、と思った。この本のとおりにバスの旅をする、ということをテーマにしたらどうだろう。
この本に書かれているバスで書かれているルートを走り、カーブひとつひとつ、次に見えてくる右と左の風景ひとつひとつを、まさにそのバスに乗りながら確認していく旅というのは?
そこまで考えたら興奮でなにも手につかなくなったというわけだ。

人のたどった道を行くのはつまらない旅だ、とはよく言われることである。
ガイドブックに書かれているとおりの予定を組んでそのとおりに旅をすることなど、ハプニングがなく、感動も生まれない、ということも、言い古されている。
でも、探検家じゃあるまいし、人のたどっていない旅なんてあるわけがないし、第一私は、ガイドブックというものが大大大好きなのだ。
「ササニシキ」に、
「ガイドブックを読むと行った気になって、実際に見ても“あーこんなもんか”とつまらなく感じると言われているじゃない。」
と言われたことがあるが、私はそのようながっかり体験というのはほぼない。
読めば読むほど行ってみたくてたまらなくなるし、行けば行ったで“なんだガイドブックのとおりか”と思うことはまずない。よきにつけ悪しきにつけ、実際の体験はそのときその場でしか起こらないものだもの。

私は、この本の筆者の、香港に対する深い愛情を現地で感じたいし、バス路線を徹底的にたどる旅をしてみたい。
こんなに事細かに書いているのに、ざっと目を通しただけでは本当にこの本を読んだことにはならないと思う。

と、そうはいっても紹介されているすべての路線を制覇できるわけがないので、4本に厳選し、そのページのコピーをとって持ってきた。
これ(本をたどる)の他にも、いくつか目標を立てていたのでその都度書いていく。

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マイラヴ、チョンキンマンション。大きなビル群なので全景を撮るのは無理

いろんなレベルのホテルに泊まることも、私の旅ではよく実践していることだが、今回は、まず初めに重慶大厦(チョンキンマンション)である。
空港のあるランタオ島は、こんなに自然がいっぱいでのどかだったっけ、とエアポートエクスプレス(空港から中心部への特急列車)の中で思っていたが、すぐにいわゆる香港らしい風景がやってきた。

チョンキンでは階段で上り下りができるところを第一条件に決めていた。
安宿やさまざまな店の集合体であるこのぼろぼろな雑居ビルは、5年前に香港に初めて行ったとき、私がほぼ唯一、心の底から「好きだ」と思えた場所だった。
上階に宿を取ってしまうと、エレベーターがつねに大混雑していてなかなか部屋に上がれないし、それよりも火災が起きたときに自力で逃げることができないのは、絶対に嫌だ。
若いころから、一人旅で安宿泊まりのときは、避難路が確保されている宿にしか泊まらないことにしている(加えて、どんなに暑い旅でもパンツ一枚で寝るというようなことはしない。なにかあったときにすぐ逃げられる服装で寝るようにしている)。

情報サイトなどで評判のいい、「ドラゴンホテル Dragon Hotel」にした。
思ったより料金が高いので、「ドラゴンイン Dragon Inn」ではなく、Hotelのほうだと思われる(同一経営者が同じフロアに低料金のInnと、ビジネスホテル並みの設備のHotelとを経営している)。
きれい!ピカピカ!設備はいいし、オーナーさんはすっごく感じよくやさしいので実に満足である。
ここに決めて本当によかった。

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日本人には今一つ理解に苦しむ内装

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ここがマイルーム!

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窓はないので(窓に見えるモノは開かず採光もゼロ)、明かりを消すと真の闇

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バスルームはピカピカです!必要以上にクリアな緑色のフロア。シャワーを浴びているとカエルか池の魚になった気分

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なんと石けん・歯ブラシ・シャンプーまでついている(持参したから使ってないけど)

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この明かりが大変不気味で気に入ったのだが入室直後にバチンと音がして切れてしまった。

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到着して部屋に入ったらブリキのポットにお湯を入れてくれた。ジャスミンティーのティーバッグもくれた。しみじみウマカッタ

レセプションにいるマダムは、よく情報サイトに上げられている写真よりも、だいぶお歳を召していて太っていた。
英語があまり上手ではないがにこやかで、私のことをショッピング三昧のOLかなにかと思ったらしく、
「あなたはたくさんショッピングをするでしょ。買ったものがいっぱいになっても困らないように、広いお部屋がいいわ!」
と、抜かりなくグレードの高い部屋をすすめてきた。
ショッピング三昧のOLではないのだが、その部屋が気に入ったので決めた。
宿帳に記入しているとき(なつかしの分厚い手書きの宿帳!)、マダムは、私が日本から来たと言うと、地震は大丈夫なの?と聞いてきた。
マダムの書く漢字は私よりずっと美しく、マダムの手によって私の名前がさらさらと青いボールペンで書かれると、自分が美しくなったような感じがする。

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ここは、テレビドラマ『深夜特急'96』で大沢たかお氏が滞在していた宿としても有名。“大沢たかお宿泊部屋”は今でも日本人女性の聖地。ポスターでも色男健在です

従業員かマダムのご主人かよくわからない(おそらくマスターだろうがこづかいさんのような風情)小柄なおじさんがまた非常に感じよく、人懐こい笑顔で英語もマダムよりうまい。
マンション内に山ほどある両替商のなかから、いいレートのところをいっしょに歩いて見つけてくれた。
そしてその両替屋の女の子が、すごく可憐でドキドキするほどかわいい。なんかいいことばかり。
あの子はアラブ系というか、ハーフのように思えるがどうなんだろうか。

アラブといえば、チョンキンマンションはまったく私のふるさとのように、しっくりとなじむ。
早朝から深夜までたむろしている、見渡す限りのインド・ネパール・パキスタン・アラブなどの人々、そして黒人。
色が黒くなきゃ出直してこい!って感じだよ。
広東語じゃなくてヒンディー語やアラビア語で話したくなる!
ここに一歩入ると香港であることを忘れるが、香港というコスモポリスならではのダイナミズムだ。
ここに来れば、周りの人々がみんな私の味方であるように思えてくる。その感覚を信じきっては危険というのはわかっているが、まー結局、私は有色人種が好きなんだよね。

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非常口の裏階段。エレベーターは大混雑しているのでこればかり使う

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とはいえ4階(表記では3階。1階はグランドフロアとして数える)まで階段の上り下りをするのは、運動不足の身にはきつかった

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配電盤?オブジェにしか見えないのだが

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なにしろボロボロだ!

昔から異国の中の異教徒や、文化が入れ子細工になっている場所に引き寄せられる。
無料循環バスを降りてから、ここをさがして歩いているときにインド人の客引きにも会ったが、「もうチョンキンの中のホテルに予約をしているの」とウソを言うと、親切にもここまで案内してくれて去っていった。やさしい……こういうとき、インド本国だったら絶対に「そのホテルはつぶれたぞ。もっといいホテルへ連れて行く」とか言って食い下がるのに!
あーなんて心地よいのか。
味方に囲まれている感覚。
チョンキンは、一言で言って「さいこうだ!」
非常に快調な旅の滑り出しとなった。

につづく)

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おまけ

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夫へのお土産。国内での取り扱いが中止されたビオテルム プール オム

by apakaba | 2011-04-18 10:30 | 香港マカオ2011 | Comments(4)
Commented by ぴよ at 2011-04-18 12:58 x
すげーホテル!^^;
外観見て一瞬ギョッとしたけど、確かに中は案外キレイね。
部屋のライトが昭和時代の連れ込み宿風なのが笑えるw

まーでも私はこのホテルに泊まる勇気はちょっとないなぁ~
誰かと一緒だったら泊まれるけど、1人で泊まるのはキツいわ・・・
Commented by apakaba at 2011-04-18 13:10
ぴよさん、「世界の仰天すさまじく不潔な安宿」なレベルから見ると、快適そのものです。
私も若かった時代とはちがって、やっぱり快適さは重要だわ!
この年で水シャワーとか絶対に嫌よ。

私は、逆に「一人だとヒドイ宿も楽しい、二人ならちょっとステキなほうがいい」と思うタイプ。
でもこのあとの宿は右肩上がりになります!大人になったわ
Commented by kaneniwa at 2011-04-18 21:02
私も1984年、
この重慶大厦(チョンキンマンション)
には2回、逗留していました。
香港往復チケットで日本から出て、
香港でビザを取って
九龍鉄道で中国の広州に入り、
青海省など1ヶ月半中国を旅行して
上海から船でまた香港に戻ってきたら
「まだ重慶大厦に住んでいた」
という奴にも会いましたし、
中国で会った奴にここでバッタリ会った
ということもありましたね。
いろんな人種で。

私はブロックと宿名は忘れちゃったのですが
(懐かしいので検索しまたが、思い当たる宿名は
 出てこなかった)
私も階段で上り下りしていたので
「6階だった」 ということは
これはなぜか覚えているんだなぁ

BYマーヒー
Commented by apakaba at 2011-04-18 22:04
マーヒーさん、九龍城砦なきあと、ここが最後の砦(なんの砦でしょう……)という感はありますね。
宿に関しては人それぞれ、いろんな考え方があると思うけど、私はやっぱり(襲われることもないとは思いつつも)、女性の一人旅では身の安全確保は大事だなー。
そうなるとセキュリティーのしっかりした、避難経路の確保できるところになりますね。
チョンキンマンションはほんとに性に合います。


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