あぱかば・ブログ篇

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2011年 04月 28日

あなたを香港・マカオに連れて行くよ・8

香港

3月17日つづき。(前回分はこちら。スタートから読まれるときは第1回分からどうぞ)

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エレベーターから降りたところ。

香港情報サイトで、なんの変哲もないビルの一画に信じられないような光景(=ワイナリー)が!というようなことが書いてあるのは読んでいたけれど、そして写真も載っていたけれど、いざ本物のまごうかたなき変哲のなさを前にするとやっぱりちらっと躊躇する。
ぜんぜん関係ないけど躊躇という漢字を手書きで書けたことに自分で感動する。
手で文章を長く書くということを絶えて久しくしていないので、忘れてしまった漢字がどんどん出てきて悲しくなる。
手で長文を書くのはなかなかの試練だ。

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うえええ〜。どこがワイナリーじゃ!



管理人がいたので、ワイナリーのあるフロアを尋ねて、いよいよ階上に上がってみた。
ひとけがなく、床がところどころびちょびちょと濡れていたりして、なんとも寂寞たる雰囲気に満ちている。なんでこんなところに来ちゃったのかという不思議な気持ちに我ながらなる。

そもそものきっかけは、「地球の歩き方」の巻頭地図にここの名前が載っているのを見つけたことだった。
香港の気候は、ワインを熟成するのにとても適しているのだという。
ぶどうを栽培することはできなくても、ワインを造ることはできるという発想はおもしろいと思ったし、それをビルの一画でやっているということ、オフィスのようなドアを開けたらまるっきりの別世界がそこにはある!というドラマチックさにも興味を惹かれた。

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ここか?ここなのか?!

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あれ?サイトで見た写真とちがう?でもワインを取り扱っていることは事実らしいぞ

オフィスらしきところのドアは開かれていて、中にはどっさりとワインの入った段ボールの箱があり、おじさんがそれをあちこちに動かしているところだった。
カウンターがあって眼鏡の若い女性がひとりで座っていた。
カナダ人がオーナーだと聞いていたので、いたのがチャイニーズの女の子だったのは意外だった。
彼女は私の来訪に驚いている様子だった。
「今日の午後、ここに来る予約をしていました」と告げると、「今日は試飲などはありませんよ。見学してワインを買いに来たのですか?」と(いうようなことを)言う。
醸造所のほうを見学したいとお願いすると、快く承諾してくれた。

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チラ見えの状態

ここは倉庫兼事務所のようで、醸造所は廊下をはさんで向かい側の部屋を使っているらしい。
彼女がその部屋のドアを開けて、ぱっと明かりをつけると、サイトなどの写真で見ていたのとまったく同じ、ホンモノの醸造所があった。
だが写真からはわからないことがあった。
樽の香りと、ぶどうの香り、そして湿気。
それらがぴたりと肌に吸い付いてくるような場所だ。
胸に香りを吸い込むと、「またひとつ、香港のおもしろいスポットに来られた」と自然ににんまりしてしまう。

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見てー!ほんとにワイナリーがありました!ここで試飲会も開くという

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セミロングのストレートヘアの事務員さんは、ここで造っているさまざまなワインの種類について説明してくれた。
自分の好みを告げ、ワインを3本買う。
「自宅では、赤ワインでシラーズをよく飲んでいます。重めでフルーティーな香りが好きです。そんなイメージに近いものはどれですか。」
「わが社のカベルネはスムースです。一方、グルナッシュで造ったものは、2010年のボトリングで新しめですがすでにタンニンはこなれ、熟成感たっぷりです(というようなことだろうと推測)。」
「では、そちらをください。」

もうひとつ、デザートワインも買ってみることにする。
3種類あり、ひとつはストロベリーのような風味、もうひとつはりんごのような風味、さらにはチョコレートやムースのような重めの風味、と言われて、迷わず最後の重そうなのにした。
ちなみに彼女はストロベリー風が好みとか。
会えたのは、カナダ人ではなくチャイニーズの女の子だったが、彼女の掛け値のない真面目そうな態度に心打たれたし、商品にプライドを持っていて、なにより適切で愛情のこもった説明に感動した。
飲んでもいないのに買うのは冒険だが、ここを応援したいという気持ちの表現として、計4本買った。

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ステキなカウンター。これは赤ワイン

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細長いのはデザートワイン

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樽でロゴマークをかたどっている

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First and Only Winery of Hongkong という言葉に胸を熱くする

去りがたく、すばらしいひとときであった。
だが当然の結果ながら、この買い物により私の荷物は以後絶望的な重さとなる。
でも後悔はしないのだ。
もしかしたら空港に売ってるかもしれないけど、いいのだ。

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(おまけ)

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手にマメを作りながら運んで帰ってきました

につづく)

by apakaba | 2011-04-28 19:06 | 香港マカオ2011 | Comments(8)
Commented by ogawa at 2011-04-28 21:56 x
香港でワイナリーですか・・・これは面白い。
ビルの一角というのも香港らしいけど、なるほど葡萄はできないけど熟成はできる発想はすごい。

しかし旅の序盤からすごい買い出し量ですね。
でも、このくらい小さなワイナリーだと空港の免税店では扱っていないでしょう。

で、お味が気になるところ。
いかがでしたか?
Commented by apakaba at 2011-04-28 22:19
ogawaさん、ここは本当に、おもしろかったし感動しました。
「香港」は実に多面的です。
これからまだまだ、驚きの香港にお連れします!

グルナッシュの赤は、最初「甘い?フルーツっぽさが強すぎる」と思ったのだけど、時間が経つにつれいい感じのもったりした重たさに変わってきて、毎度ながら赤ワインの奥深さを楽しみましたよ。
ほんとはogawaさんにも一本買ってきてあげたかったのですが、なにしろ両方の親に配るだけでもいっぱいいっぱいで。
ご自分で、いつの日にか訪れてください!
オススメ!
Commented by suze(mon) at 2011-04-28 23:37 x
香港にワイナリーがあるとは、初耳でした。かなり興味深い話です。しかも雑居ビルの中とは、如何にも香港らしいですね。
なるほど、ぶどうジュースをバルク買いして、熟成だけ香港というわけですか。それでも一定以上の質を確保しているようで、驚きです。いつか試飲に行ってみたいものです。
他にも軽便鉄路の旅といい、かなり深い香港ですね。
Commented by apakaba at 2011-04-29 00:51
suzeさん、香港に8日間も行ってなにするんだ?って思われそうだけど、ざくざくと行きたいところが出てきて、駆けずり回っていました。
でも国土(というか)がせまいし鉄道やバスが発達しているから、旅しやすいですね。
メールで予約すると、週末には試飲会があるらしいです!
ライトレールはかわいい電車でしたよ。
Commented by グッドバランス at 2011-05-05 07:25 x
え? 今回の旅は8日間? でまだ、序盤の序盤(>_<)
さて、ワイン通の友人が「今後はワイン市場の中心は中国になる」と言っていましたが、まさにその一翼を担うワイナリーですね。
しかし、ワインや、ペット(犬とか)は、身や心に余裕があってこそのもの。香港の奥深さを感じますね。
Commented by apakaba at 2011-05-09 08:54
第8回レス。
グッドバランスさん、そうなんです。
私は、ふだんはミツユビナマケモノのように怠け者なんですが、旅では別人格になってとんでもなくアクティブなんです。
ふつうなら2,3日に分けるような強行スケジュールもどんどん組んでしまいます。

中国本土で、にわか成金な人々がすばらしいワインを捨てるように飲み尽くしてしまったら悲しいなあ。
でもきっと真のワイン好きもたくさんいることでしょう。
それに期待します。
Commented by nokorakuda at 2011-07-19 11:31
こんにちは。
33回もの長い旅行記完結おめでとうございます。達成感あるよね!
すみません、今日は台風で交通が寸断され臨時休業。久しぶりに時間があってパソコンを立ち上げたので今更ですが2回目から一気にここまで読みました。
面白いですねー。路線バスの旅。その本、本当にいいですね。そして日本での病弱さと別人のような動きにびっくり!
で、数々の面白い行き先は・・・その本や歩き方などに書いてあるのですか?
香港は未踏ですし、今はもうこういう旅はできないのでなんとも悔しい気分ですが、私もあと15年ぐらいしたらまた自由に旅ができるかも・・・想像できないけど。
またこの先が読むことができたらコメントしますね。
Commented by apakaba at 2011-07-19 18:44
nokorakudaさん、前の分にコメントくれてありがとう。
そして長たらしい旅行記を読んでくれてどうもありがとう。
こういうのって、はっきりいって、流行らないよねえ……わかっちゃいるけど書くのをやめられない。止まらないんだもん書くのが。

私ってほんとに旅になると別人になるんだわ。
だからいつものなめくじ同然な私しか知らない人は想像できないと思う。
(そして一人旅なので別人の私を見る人はいない)

本とネットを毎日毎日ず〜〜〜〜っと見てはおもしろそうな行き先を決めていきました。


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