あぱかば・ブログ篇

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2011年 06月 24日

あなたを香港・マカオに連れて行くよ・27

香港

3月21日つづき。(前回分はこちら。スタートから読まれるときは第1回分からどうぞ)

めざすシナゴーグは、「歩き方」の地図では通りの名前も記されてあったりなかったりなので、なかなか着かない。
加えて坂道つづきで、クタクタになってきた。ヒイヒイあえぎつつ、こんなんで本当に見つかるのか?大丈夫なのか?と心配になる。
人通りも非常に少なく、車がたまに通るくらいである。いわゆる閑静な高級住宅地に入ってしまった。超高層マンションもなくなって、落ち着いた街並み。落ち着いたというより、さびしい。人がいれば道を聞けるのに……

時折、犬の散歩をさせている人を見かけるが、皆どう見ても飼い主ではなくて使用人というか散歩させ屋である。
香港のお金持ちは犬を自分で散歩させないのだな。きっとエサも使用人がやるのだろう。
それじゃかわいがるだけか?なんのために飼っているんだろう。犬だって言うことをきかなくなるのではないのか?
などとさまざまな疑問を抱きつつ、シナゴーグをさがして歩きに歩く。
なんと長い一日なのだろう。



ゆるい上り坂の途中、カーブした道の先に、それらしき建物が闇に浮かび上がっている。
あれか?あれなのか?疲れたけど足早に近づいていってみた。

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閑静すぎ。しかし遠くに見えるそれっぽい建物!

やっと見つけた。しかし、門が厳しく閉ざされており、そばに寄ることができない。
建物は丘陵地の途中に建っていて、私のいる道路よりも一段下にあるため、見下ろすようなかっこうになり、足もとまで近づいて見上げることができないのである。
石造りの建物の窓からはあたたかそうな灯がもれており、それを見ていると、遠く苦しい旅の果てにここまでたどり着いた行き倒れ寸前の旅人のような気分になってくる。
なんとおめでたい妄想癖の私。
だが、その後あたたかく迎え入れられるという空想はしぼんでいった。
この門はぐる〜りとどこまでもシナゴーグを取り囲んでいて、まったくどこにも入り口がない。ためしに一周してみたが無駄足だった。
そっけない外観ではあるが、やはりここまで来たのだから入りたい。たいていそっけない外観の寺院は中が美しく飾られているものと決まっている。香港のユダヤ人が、どんなふうな場所にいるのか、見たい。

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ぐるぐると執念深くまわっているうちに、隣に建つ高層ビルから、もしかしたらシナゴーグに通じる入り口があるのかもしれないと思ってきた。
なんのビルだかわからないが立派な車寄せがありガードマンが何人も常駐している。
そこへ入っていき、警備員室へ行ってみる。
ガラス張りの警備員室があり、その隣(外)にもガードマンが立っていて、玄関に入っていく人間をチェックする。金属探知器もくぐるのだ。一体なんのビルだ?
不審に思うができるだけ無邪気な旅行者を装い(実際無邪気な旅行者なんだが)、外のガードマンに
「すみませーん。あのー、この隣のシナゴーグを見学したいんですけど〜。門があいてないんですが、こちらのビルの側から、入り口はありませんか?」
と、笑顔いっぱいで尋ねてみた。

すぐに通してくれると思ったら大まちがいで、若いガードマンは、にこやかで紳士的な態度ながら「それはできません。」と言う。

「えっ、どうしてですか。」
「ここは一般の方は入れないんですよ。」
そうなんですかー!えええー!
がっかりだわー……!
私の落胆ぶりを見て、彼は
「あなたはユダヤ人ですか?」ちがいます。
「あなたは香港在住ですか?」ちがいます。
「なぜ香港にいるんですか?」観光です。
「あなたがこのシナゴーグを見たい理由はなんですか?」
私は……建築に興味があって、いろいろな宗教建築を見るのが好きなんです。
モスクやキリスト教会や……いろいろ旅行して、いろいろな宗教建築を見ています。
「ほほう〜。パスポートを見せてください。」
若いガードマンは、終始にこやかであり、これだけ質問されても不愉快な感じは受けなかった(イスラエルの空港職員みたいな印象)。
私のことを、あやしいと疑っているようでもなかったし、できれば協力してあげたいが、という気持ちも感じられた。
しかし決まりは決まりであり、彼がいくら私を信用してくれてもそれはまた別の問題であるらしかった。
彼はガラスの中にいる年かさの人々と何度か相談していたが、
「今夜はもう中へ入れません。明日の朝8時から夕方6時の間に、シナゴーグへ電話をかけて、見学の予約を入れてください。」
と言い、電話番号を書いた紙切れをよこした。彼にこれ以上食い下がってもムダなようだった。

そうこうする間に、何人ものキッパ(ユダヤ教の男性の小さな帽子のようなもの)を頭に載せたユダヤ人たちが、このビルへ入っていく。
ウワアここにいたのか香港のユダヤ人は!
ガードマンに、
「ところで、このビルはなんなんですか?オフィスビル?レストランやショップが入っているの?」
と尋ねてみると、
「いや、ここはレジデンスです。」
「ユダヤ人専用ですか?」
「そういうわけではないです。」
でも、これでいっぺんにわかった。
この、やたらと厳重に守られた設備が。
ユダヤ人居住区か。金持ちユダヤ人たちは、この一画にかたまって住んでいるんだな。
堅固な守りの中で。ほんとに彼らって、どこに行っても同じだな。
パリのユダヤ博物館でも、異常な警備体制だったもん。なにをそこまで怖がっているのか。
こんなふうにしているから世界中からきらわれちゃうのにね。

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待ってろよッ

頼るのはこの紙切れ一枚になってしまったので、今夜のところはおとなしく退散することにした。

しかしまだ寝てしまうには早すぎるし、ホテルの中で過ごしているのもつまらない。
あともうひとふんばりしよう。

28につづく)

by apakaba | 2011-06-24 22:48 | 香港マカオ2011 | Comments(0)


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