あぱかば・ブログ篇

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2011年 06月 28日

あなたを香港・マカオに連れて行くよ・29

3月22日つづき。(前回分はこちら。スタートから読まれるときは第1回分からどうぞ)

次の目的は、マンダリンオリエンタルホテルの「ピエール」でランチにすることだ。
敬愛するピエール・ガニェール氏の一つ星レストランである。
マンダリンオリエンタルにひとりで宿泊するのはあまりに高いからせめてランチだけでも。

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ホテルのロビーは好みがわかれるところだが、わりと好きな雰囲気




香港の高級品を紹介する惹句として、最も使い古しの言葉は“香港マダム”であろう。
“香港マダムもお気に入り”“地元の香港マダムもよく利用するとか”。
だが私はその“香港マダム”なるジャンルの女性を今まで一度も見たことがない。
香港マダムというのは、本当に香港に棲息しているのか?
彼女らと私の動線は、いつ、どこで交わるのだろう。
もしかしてそれは、「ピエール」だったりするのではないか?
そう思っていたのだ。

ずっと履きどおしだったプーマのスポーツシューズをプラダに替え(このためにもう一足持ってきた)、MTRで中環(ヅォンワン)に出て、マンダリンオリエンタルへ。
ここはイメージしていたとおりの雰囲気。
ロビーが必要以上にだだっ広いことがなく、黒や木の色のシックな内装だ。
そして最上階のレストランは、これもイメージとぴったりの「ピエール」である。
あまり華美にしない、シンプルでシャープなつくりだ。
もうちょっとやりすぎると一昔前の日本のバブル時代みたいなウソくささになるがそこはきちんと高級感を保っている。
パリ本店にも行き、青山出店時代にも通い、青山を立ち退いてANAホテルで復活してからも行き、香港でまで……これじゃ立派な追っかけだわ。
ANAホテルで思ったことは、味はもちろんいいがそれに較べてサービスがボンクラすぎて、トータルで考えると高く感じてしまうということだった。
だから「もうガニェールはいいね」と夫と話していた。
でも香港でなら、また話は別だ!

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ピエールのイケてるエントランス

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私のテーブルについたお給仕は、若い広東人(に見える人)で、小栗旬に実直さを加えたような感じである。
「小栗旬+実直=最高」の彼に、食前酒としてホワイトミモザを頼むと、彼は知らなかったので、グレープフルーツの果汁を足すのだと教えてあげた。
彼はひとつ勉強になったとばかりにうれしそうだった。
ホワイトミモザも知らないのはやや問題だが若い(そして小栗旬+実直な青年な)ので、まあいい。
「ありがとう、私はこれが好きなの。」
「そうなんですか。よかったらもう少し果汁を足しましょうか?」
などと、会話のすべり出しも上々である。

なぜか私はもう一人の誰かを待っているものと勘違いされていて、ピエール・ガニェール名物のどっさりのアミューズグルが、ふたつずつ並んでしまった。
はじめは何の気なしに食べていたが、途中で「あれ?なんで2倍あるの?」と気がついた。
どうして最初から気づかないのだろうか。
ほんとにバカだ。
「あのーアミューズがふたつずつ来てるけど、誰も来ないんですよ。私、ひとりなの。でも食べちゃった、途中まで!」
と訴えると、
「そうだったんですか?気になさらず、どうぞ全部召し上がってしまってください!」
と言われ、ありがたくペロッと食べてしまう。
「こんなにアミューズいっぱい食べたらお腹いっぱいになっちゃう。」
「もうお腹いっぱいですか?」
小栗旬に実直さを加えたようなお給仕と会話するのは楽しいので、ついホワイトミモザにつづけてワインも飲んでしまう。

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すべてふたつずつだって、見ればわかるよね

そして、隣のテーブルには、まさしく私が思い描いていたのとぴったり一致する、幻の(?)“香港マダム”がいたのである!
やっぱり、彼女らはいるところにはいるのである。
50歳くらいの女性二人連れで向かい合っており、ふたりともテーブルにスマホを置いて、時折電話でしゃべっている。
ひとりは黒髪を日本でいえばモダンガール風に短く整え、目の周りを黒のアイラインで一周かこんでいる。
もうひとりは顔は見えないが、耳たぶには特大の真珠のイヤリングがさがっている。
ふたりともいかにも高そうなスーツを着ていて、ひっきりなしにしゃべっていて、メートルドテル(ヨーロピアン)が
「ようこそ、毎度ありがとうございます。本日のコースのご説明をいたしましょうか。」
とおもむろにやって来ると、
「あらー待ちくたびれたわよ。一体いつ来てくれるのかと思った。早く来てくれなくちゃメニューが決まらないじゃないの!」
と親しげに叱りつけている。
ああ、そのひとつひとつのディテールのなにもかもが、“香港マダム”であった。
うわーやっぱりいたんだ。ここにいるんだ。
と、また大きな目的をひとつ達成したような気持ちになった。

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アーティーチョークに目がないの

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メインはトリのシチュー的なモノに、炊き込みごはんみたいなものがついてくる。
トリュフ出血サービス中


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昼間なので食前酒とワインでやめておく

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この寒天のシートはガニェール氏が気に入っているらしい

料理は、メインはとりたてていうこともなくわりと平凡だった。
デザートの、ピスタチオのタルトレットのようなものは、彼の得意の、寒天を使ったシートで、ピスタチオのソルベを巻いてあり、きゅうりの小さい角切りが散らしてあった。
甘みのないメロンというか、歯ざわりの楽しさを足しているのだろう。これはちょっとおもしろかった。

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このまま住んでもいいくらいのステキなトイレ

お客は欧米人中心で、この人たちはどこに住んでいるのだろうとか思った。
総じて楽しいランチだった。
名残惜しい思いで、マンダリンオリエンタルをあとにする。
だが私にはまた次の予定が待っているのである。

30につづく)

by apakaba | 2011-06-28 16:53 | 香港マカオ2011 | Comments(2)
Commented by Akiko at 2011-07-02 11:19 x
いよいよグルメな香港、と思ったらピエール・ガニェールのレストラン!カエルから星付きレストランまでw 一人旅でもプラダの靴を持っていくような発想、自分にはなかったなぁー。いろんな楽しみ方がある、そんな旅は見習いたいです。
この旅行記、まだ行ったことはないながら香港のイメージが変わります。シナゴーグはイスラエルに行ったマキさんならではですね。
Commented by apakaba at 2011-07-04 14:35
Akikoさん、ピエール・ガニェールの追っかけなもので……(軽いウソ。そんなに行ってません)
靴はつねに一足か二足、替えを持っていくようにしてます。
だから私はあまり筋金入りのバックパッカーってほどでもないんだな。
短くても、バラエティーに富んだ旅のほうが好きかな。

神戸でもシナゴーグをさがしたし、クセみたいなものです。
南インドのコーチンで美しいシナゴーグのなかに入って以来、できるだけ接近を試みています。


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