2011年 09月 01日
はじめに 今年の3月、香港とマカオを旅行してきた。 8日間せまい土地を歩き回り、「夏休みに、夫を連れてこよう」と思った。 このときの旅行記は、「あなたを香港・マカオに連れて行くよ(インデックスとあとがき)」として最近まで連載していた。 一人旅なので空き時間にはずっと旅日記をつけていて、それをそのまま書き写したため、長い旅行記になってしまった。 今度は、夫に「航空券とステキなホテルとエステをプレゼントするから!」と言ってふたりで行くことにした。 夫は、お正月のバリ旅行(結婚20周年旅行これでどうだバリ&シンガポール・インデックス)の最後に一泊したシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズホテルで、中国人の目を覆うばかりの傍若無人な振る舞いにあきれかえり、「旅先であんな不愉快な思いはしたくない。大丈夫かな俺?」と、直前まで後ろ向きだった。 でもこの人は、たいていのことに最初は後ろ向きで、いざ本番となると意外と人一倍ノリノリになる人なので、連れて行ってしまえばどうにかなるだろう。 今回は旅日記もつけていないし、またも香港なので、写真中心にさっさとすすめていく(つもりだよ!)。 1日目・昼 空港からバス・コートヤード バイ マリオットホテル 羽田発の朝のフライトなら、お昼には香港に着く。 機内でナタリー・ポートマン主演の『水曜日のエミリア』を観て、アル・パチーノの『トゥー・フォー・ザ・マネー』を半分観たところでもう着いてしまった。 夫「おお、二階建てバス!」 私「あの一階建ての小さいバスでもホテルのそばに着くよ。」 夫「うーんあれは……あまりよろしくないなー。大きいバスがいい。」ガキなのかー 空港から市内へは路線バスで入る。 バスターミナルで、初めて二階建てバスを見た夫は興奮して写真をたくさん撮っていた。 ランタオ島にある空港を出発したバスからは、私の好きな、のどやかな山と海の風景が見えているが、海の水がバスクリンを流したようにひどく不気味な緑色で、かなり汚れているのが気になった。 トンネルをくぐるごと、大きな橋を渡るごとに、車窓はどんどん表情を変えていく。 田舎らしい景色はたちまち、生き馬の目を抜くような街の光景へと移っていった。 3月は、帰るときに市内から空港へバスを使ったが、あのときは疲れていて乗った途端に眠りこけてしまったから、こんなふうに車窓が移り変わっていることを知らないままだった。 アラブやイスラエルの砂漠を延々とドライブしたときには、何時間たっても窓の景色が変わらないことがあり、それはそれで得難い体験だったけれど、こんなふうにめまぐるしく目の前の風景が変化していくのを見るのもエキサイティングだ。 羽田空港からレインボーブリッジを渡って都内中心へ……とはダイナミックさが段違いだ。 天気は上々。 湧き上がり飛びすさる雲のかたまりも南国調で素敵だ。 特急列車のエアポートエクスプレスではなく路線バスで市内入りした理由は、バスが好きだからということ以上に、ホテルの目の前に停車するからである。 ゴージャスホテルステイを目標にフォーシーズンズ香港に二泊の予約を入れたが、残念ながら三連泊するだけの財力がないのと、夫に別のエリアも楽しんでもらうことも考えて、前回の最後に宿泊したコートヤード バイ マリオットホテルに一泊だけすることにしたのだった。 いろんなホテルに泊まるのも好きだし。 夫さえよければチョンキンマンションステイも一興かと思ったが、「そんなにがんばりたくない」と言下に拒否された。 コートヤードなら、西環(シンワン)の下町の風情も味わえるし、きれいで機能的なお部屋にも満足するだろう。 夫は、私がもっとボロボロなホテルを一泊目に選んでいると思っていたらしい。 ホテルに入ると、ちょっとびっくりしていた。 「ふーん……(部屋をあちこち見て回る)」 「なによ?もっと安宿っぽいと思ってたんでしょ!」 「うん。」 「私がまさかあなたにそんなボロい宿を選ぶはずがないでしょう。ここのベッド、固さがちょうどよくて寝心地最高なんだよ。ビジネスホテルだからデスクも広いしネット環境ばっちりだし。 窓から海が見えて、いろんな船がばんばん行き交っていておもしろいよ。目の前は食料品の市場だし。インターコンチとかから見るような風景とはちがうけど。」 「へえー。なるほど、おもしろいじゃない。」 長年の付き合いで、どういうことをおもしろがるかは把握してます。 「じゃあさっそく、出歩こうぜ。どこに行くの。」 「まったくガイドブックとか読んできてないでしょう。」 「うん。お任せな感じ。」 まずトラムに乗って、上環(ションワン)まで出て、その辺でちょっと食べて、それから中環(ヅォンワン)までさらに出てヒルサイドエスカレーターでキマリかなあ。そんなのでどう? 「わからん。なんでもいい。行こうぜ腹が減った。香港ドルもないし。」 初トラムも喜んで乗っている。 「上の階に、行ってみたい?」 「行こうぜ。」だだだだだ(駆け上がる) 単純でいいわー。子供といっしょだわー。 トラムの窓からは“さきいかくさい”匂い(上環は乾物屋が集まっている)と、五香粉(ウーシャンフェン)のような匂いが交互に流れ込んでくるが、撮影に夢中な夫は気づいただろうか? 適当に入った麺粥の安食堂で雲呑麺とピータンのお粥を食べたが、判読不能な漢字メニューも「だめだあっ、わからん!」などと言いながらけっこう楽しそうに見ている。 私も漢字メニューはほぼわからないけれど、夫は私がいろんな外国語に通じていると勝手に思い込んでいるので「これはなんだ?なんて読むんだ?」と聞いてくる。 数種類ある麺(米の麺や卵入りの麺など)から一つ選べ、と店主が広東語でどんどん聞いてくるのを遮り、「実物を見せて選ばせて!」と言って厨房まで見に行くのも、「あはは、おもしろいおもしろい。」とめずらしがってついてくる。 こういう店だと食器が衛生的かどうか気になるかなと思ったが、割り切っているらしく平気で「うん、うまいうまい。」と食べている。 行く前は緊張していたくせに、私と一緒なら旅のたいていのことは大丈夫だと思っているらしい。 実に無邪気。 この調子でいくといいが。 (2につづく) 写真中心にさっさとすすめていく……はずだったのに気づけばこんなに書いてるじゃーん……
by apakaba
| 2011-09-01 10:34
| 香港2011夏
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Comments(4)
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minmei316 at 2011-09-02 09:37
え!写真の方、ご主人ですか? わっかいなぁ~~~~
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apakaba at 2011-09-02 15:50
最近は「一番上のお兄ちゃん?」とか言われます。
トホホ。
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ぴよ
at 2011-09-04 09:18
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うーらーやーまーーー!
うちの旦那、香港で下町風の食堂なんぞ入ろうとしても絶対に拒否られるよ。いいじゃん眞紀さんが選んだ店なら小汚い食器でも大丈夫だと信頼されてるだけ羨ましいよ。 うちは逆だな。私が選んだ店は「最も怪しそうで信用ならん」と思われてるw まあ私が旅先でやたらゲテ系食べたがるのも一因だと思うけど(苦笑) ダーリン、確かに長男に激似じゃないっすか!? あ、逆か。長男がダーリンに似てるのかw
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apakaba at 2011-09-05 07:03
ぴよさん、まーほぼ同一人物になってきました(長男)
うちの夫はけっこう柔軟かな。最初の抵抗さえ突破すればあとは楽しがってくれるから楽。 食べるものとかより、人間(東京やシンガポールで見かけた、傍若無人な中国人)におそれをなしていたみたい。 |
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以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
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