あぱかば・ブログ篇

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2011年 09月 04日

夫を香港に連れて行くぞ・2

のつづき(第1回はこちら)。

1日目・夜 中環のモスク・オーガニックカフェ life
短い日程だから、3月の一人旅のときのように、あそこもここもと欲張ることはできない。
香港のエッセンス(のひとつ)を感じられる場所は……もう夕方だし、近いところでヒルサイドエスカレーターか(ヒルサイドエスカレーターの写真はこちら。後述のモスクの、ショックを受けた写真もあり。かなり暗くてこわごわ)。
「ササニシキ」も「ヒルサイドエスカレーターが、とくによかった」と言っていたし(その話)。

思ったとおり、夫は「へえー」「はあー」と感じ入りながら、急坂を埋めるミニバスの行列やエスカレーターや、覆いかぶさるような坂の上の高級マンション群をカメラに収めていく。

私のひそかな目当ては、3月に来たときにすっぽりとシートがかぶさっていた、あのモスクはどうなったのかということを確かめたい、ということであった。
このモスクは清真礼拝堂というモスクで、5年前に初めて香港に行ったときにたまたま見つけ、ビルの谷間に咲く可憐な花のような印象を受けていた(その写真)。

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「ここにねえ、モスクがあるんだよ。でも5ヶ月前にはシートかぶってたから、もしかしたら取り壊されてるかもしれない。ちょっと入ってみよう?」
3回香港に訪問して3回とも同じモスクに行ってみるとは、我ながらイスラームが大好きだねと思いつつ、きれいに直していたのかそれとも取り壊されたのか、ドキドキ、緊張する。




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やったああ!
ちゃんと、ありました!
そして、ボロかった白いペンキが、愛らしいペパーミントグリーンに塗り直されていましたー!

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前回の姿がショックだっただけに、すっかりきれいになって青空にますます照り映える小さなモスクを
見上げているだけで、自然とにっこりしてしまう。
夫には私の感慨はなんのことやらわからないだろう。

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1915年建立とある。
『This mosque was rebuilt H.M.H. ESSACK ELIAS of Bombay. Foundation stone Laid 15th April 1915. By NAKODA SULEMAN CURIM MAHOMED.』
の文字が読める。
(イギリスの植民地としての)香港の歴史とともに、このモスクの歴史はあったのだなあ。

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夕飯をどこにしようかさんざん迷って、夫の希望でソーホーのもっともにぎやかな交差点あたりで考えることになった。
陽が傾くにつれ、中環(ヅォンワン)での仕事が済んだ在住の白人たちが、オフィスのきつすぎる冷房を除けて着込んだ長袖シャツと上着姿のまま、この界隈に続々と繰り出してくる。
その様子にしばし見入っていた夫は、「この暑いのに、なんで長袖なんだ?」「なんつう(人の)数だ……」とうめいている。
「またここに来てみたいな!」
とも言う。
私が
「夜遅くなればなるほど、道路をふさぐほどガイジンがあふれてくるよ。グラス持って立ち話してる。」
と言ったため、そのものすごい活況を見てみたくなったらしい。

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とりあえず、今は涼しくて静かなところで……と、オーガニック&ベジタリアンカフェのlifeという店に入ってみた。
適当に飛び込んでみた店だったが、味の良さと店員さんたちの感じの良さに加え、しゃれているのに温かみのある店内の雰囲気にすっかり驚いてしまった。
外の度はずれなにぎやかさとは別世界である。

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オーガニックビールはキンキンに冷えていて、コクたっぷり、ウエイターのお兄ちゃんの注ぎ方もうまい!
お料理はベジタリアンといっても完全にベジメニューだけということではなく、チーズなども使うが、ベジカフェを標榜するだけあって野菜の分量が非常に多い。
サラダは新鮮でぱりぱり、ピザも予想以上の味だ。
外からちょっとのぞいただけでは空いているように見えたが、いざ入ってみるとほとんどが予約席であり、飛び込みの私たちはルーフトップテラスに案内された。
だんだんと暮れてゆく空は、見上げたところで超高層ビルに細かく切り取られていてわずかしか見えない。
何度見上げても、息が詰まる香港中心部の空の光景。
雄大な自然も好きだし、同じくらいに猥雑な街の景色も好きな私には、香港はこれまでの旅先のなかで最も楽しくて楽しくない場所なのだ。

「マシンで走ってるヤツがいるぜ。」
斜め向かいのビルの少し上の階はフィットネスクラブであるらしく、白人たちがせっせとランニングマシンで走っていた。
「なるほどねえ。金持ちは坂の上に住んで金融機関で働いて、フィットネスやって、夜はここらあたりでビール飲んでるわけだな、わかりやすい構図だぜ。あはは。」
夫は香港で最も白人比率の高いこのエリアの図式を、おもしろがって眺めていた。
たぶん、“思ったよりいいじゃん。香港。”と思ったのだな。
香港に来てまだほんの数時間だが、次から次へと初めてのこと——「二階建てバス!トラム!食堂の麺と粥!意外ときれいなホテル!ヒルサイドエスカレーター!モスク!かっこいいオーガニックカフェ!意外とイケるオーガニックビール!注ぎ方がうまい兄ちゃん!」すべていいことづくめだ。

ビールのあとに頼んでみたグラスワインは、ひとつはシラーズそのものという味だったが、もうひとつのスペインワインは、刺激的な風味がする。
「ん、なんだろうこのスパイシーな感じ?んんんー?」
私が不思議がると、夫は一口飲んでみて
「……これは、アレだ、香港の、街の、あのホラ、匂いがするぞ。」
「ええ?ああ、五香粉?」
トラムの窓から流れ込んでくる匂い。
香港の匂い。
撮影に夢中で、彼は香港のあの匂いに気づいていないかもしれない……と思っていたが、言わなくてもちゃんと、感じていたんだね。
プライベートツアコン1日目の出来は、満点です。

につづく)

by apakaba | 2011-09-04 22:30 | 香港2011夏 | Comments(2)
Commented by ogawa at 2011-09-06 21:59 x
5年前のモスクがこのようにキレイになっていたのですか。

私も6年前にこのモスクを撮った写真を探し出して比較しましたよ。
ちょっと感動しました。

SOHOの雰囲気も良いですね。
やはり香港は多面性を持つ、旅行者にとって刺激的な街ですよね。
Commented by apakaba at 2011-09-06 22:21
ogawaさん、何度も同じ国、同じ場所を訪れることの意味は、時間の流れを目にすることなんだとこのとき実感しました。
ナンテ大げさだけど、そこはタビビトのセンチメンタルさで。

夫はソーホーをことのほか気に入ったみたいです。
気に入るだろうなとは思ったけど、何度も行きたがりました。


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