あぱかば・ブログ篇

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2011年 10月 10日

夫を香港に連れて行くぞ・10(最終回)

のつづき(第1回はこちら)。

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雨季とは思えないほど好天に恵まれていたが、この朝だけ雨。

4日目 帰国へ
昼のフライトで帰るので、朝はまたまたプールへ。
朝食をプールサイドのカフェでとる。
チェックアウトぎりぎりまで水に浮かんで過ごす。
「すごいぜここから上を見ると。“都会”って感じ!すごい光景だ。」
と夫が言うので、真似をしてメインプールのまん中で仰向けになってみると、本当に、ビルがにょきにょきと林立している。
私は、香港の新興住宅地に屏風のように建ち並んでいる、超大規模マンション群を見ていると、なんとも落ち着かない気分になる。
あまりにも非人間的で……こんな風景の中で、まともな情操が育まれるのか?と、真剣に心配になる。
この辺りのビル群は、それに較べると老朽化もしていないし、景観の面でもだいぶマシだ。



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短い香港旅行の感想を、夫に尋ねてみた。
「思ったより、よかったね。楽しかった。」
と言われて、ほっとした。
「香港なんか全然興味ない。なにがあるの?ちっとも行きたくないね。」
ずっと昔からそう言っていた人を連れて行くことにしたからには、「ほらやっぱり俺は嫌だったんだ」とは思われたくないではないか。

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「都市としての歴史を感じるし、食い物が、なに食ってもうまい。
俺は、シンガポールはダメだった。あの異常な景観は、あれはあれでおもしろさはあるけど、それ以上に、『こんな都会、こんな発展、おかしい』と思った。すごく落ち着かない気持ちだった。
でも香港はもっとこなれているというか……自分の立ち位置が、なんとなくわかるというか。
シンガポールだと、『自分はこれくらいの所得だからこれくらいのふるまいをしよう』みたいな相対化を、まったくできない。
あのホテル(バブルの権化のような、マリーナ・ベイ・サンズホテル)を歩いていても、周りの中国人たちは明らかに俺よりも金持ちだろうに、すごく下品で恰好もひどくて、そうなると自分がどうしていいのかわからない。俺は、混乱した。
でも、香港だと、『だいたい俺は、あのソーホー辺りの白人たちくらいの階層かな。まあまあの所得で、夕方まで働いて、自分らに都合よく帰れるエスカレーターで坂上ってビール飲んで……』という具合に、異国にいても自分のふるまいかたがわかる。それがすごく楽な気分。
貧富の差って……どの国にもあるけど、それがバリ並みに激しいと、もう街を歩くのがつらくなってくるだろ。バリなら、空港に着いたらフォーシーズンズのヴィラに直行して、敷地から一歩も出たくなくなる。
香港も貧富の差はあるけど、バリほど激しくなくて、まあ歩きやすいよな。
成熟した都市という印象を受けたなあ。
まさか俺が香港に行くことになるとは、それも意外にいいと思うとは、自分でも思いがけなかっただけに、おもしろかったね。」

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チェクラップコック空港で、化学調味料無添加レストランの雲呑麺。

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私ならここで「腸粉」を頼むところだが夫の希望を優先。揚げワンタン

夫は、若いころは北方志向が強く、寒い北の大地をめざすような旅が好きだった。
暑い国への旅、アジア圏への旅にはまるっきり興味がなかった。
私がだましだましあちこちへ連れて行くことで、徐々に旅のバリエーションがひろがるようになったのだ。
行くまでは後ろ向きでも、いざ行ってしまえばコロッと宗旨替えして楽しめる人だということがわかっているから、「ええ〜、なんで行くの」と言われても気にせず連れて行っちゃう。
私も、一人旅とちがう発見があって、いい旅行になったな。

(おわり)

by apakaba | 2011-10-10 17:44 | 香港2011夏 | Comments(8)
Commented by ogawa at 2011-10-10 22:04 x
香港旅行記楽しませていただきました。
ご主人の旅先における自分の立ち位置の言葉には、おもわず唸ってしまいました。
香港をこのように、自分の生活と相対化できるのはすごいですね。

私も長年、香港に通って定点観測のようなことをしていますが、ご主人の視点は新鮮且つ面白いですね。

やはり、香港は奥が深い。
Commented by apakaba at 2011-10-11 08:00
旅も日常と同じで、なにもない人間からはなにも(ロクな感想が)出てこないんですよね。
映画を観ても、本を読んでも同じことですね。
夫は、私よりも香港で過ごした日数もコミットメントの深さもまるで少ないのに、ちゃんと見てるところは見ていて、感度の高い人だなあと思わされました。
自分一人だったら、高級スーパーで食材を買うだのオーガニックカフェだのミシュラン三つ星広東料理だのに行くという発想はありませんでした。
彼のお坊ちゃま的発想は、つい貧乏臭い旅にしてしまう私には驚きでした。
Commented by えみぞう at 2011-10-11 23:49 x
一人旅or感性の似た友人との旅をしていると
それはそれで楽しいんだけど、どこかで(世界ってこんなものか)と思ってしまうところがあり、それってどこ行っても似たようなお金の使い方や行動をしてるからなんだなあ と反省。
眞紀さんちの旅行記読んでると、ホテルライフを楽しんだり一歩二歩行動範囲を変えることの大切さを思い知らされます。

しかしいい夫婦だなあ。
Commented by apakaba at 2011-10-12 08:05
えみぞうさん、ありがとう。
なるべく文章量を減らしたつもりだったけどやはり長くなってしまったわ。
長いとなかなか読んでくれる人が少なくてさびしい……

私はめったに人といっしょの旅行をしないのだけど、一人ではない場合は、とにかく完全に相手に合わせるようにしてます。
食事も行動パターンもホテルのセレクトも観光スポットも。
そのほうが、楽しいんだもん。
「へえ!私だけなら考えつかなかったな!」と思うので。
Commented by えみぞう at 2011-10-12 20:26 x
そうかなー。私は長く感じないよ。
眞紀さん文章うまいんだもん。ちゃんとその町の匂いまで伝わってくる旅行記にいつもうっとりさせられます。

次の旅行記がすでに楽しみだー

Commented by apakaba at 2011-10-13 09:33
えみぞうさん、とてもうれしいです!
関係ないけど今「えみぞうさん」と打ったら「笑み像」と変換されて、なんかほのぼの!

次の旅行記は、来月行くバリ&シンガポールです。
ナゼまた行くかというと、友だちの海外挙式に出席するからなんです。
楽しみで気絶しそう。
Commented by ぴよ at 2011-10-13 12:11 x
旅行記脱稿、お疲れ様でした
興味ない人を連れて行くのって本当にドキドキだよね。
私も旦那を1度だけバリ島に連れてったけど、反応が心配だった。
そして思いがけず喜んでもらえると、とても嬉しい。
自分が旅して気に入った場所を、伴侶にも楽しんでもらえると嬉しい。

まーそれにしても三ツ星中華が美味そうで~^^;
最後の晩に食べる、というシチュエーションもいいね。
最初にあんな素晴らしいフルコース食べたら、それこそ街の屋台で
ヘビスープなんて食べられなくなっちゃうわよw
Commented by apakaba at 2011-10-13 22:36
ぴよさんありがとうございます!
そして旦那さんは結局バリを気に入ったのかな?
旅のプランをいろいろ考えるのも楽しいよねえ。

ええ、三つ星中華はスゴカッタです。
彼はつねに気まぐれなので、言うこともすることもコロコロ変わるけど、いつどう転んでもいいように、一通りの衣装はそろえて旅行してます。


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