あぱかば・ブログ篇

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2011年 11月 09日

媒体に乗せられよう!〜秋の京都 その1 西芳寺

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日々目にする、メディアからの“どこかへ行こうよ”の手招き。
たいていは目の前を流れ去っていくだけだが、ばらばらな情報が自分の中でカチリカチリと音を立てて嵌まるような感触のあるとき、できるかぎりそれに従うことにしている。

facebookの旅関係ページで見かけた京都の世界遺産。
病院の待合室かどこかでぱらぱら見ていた、ちょっと前のHanakoの京都特集。
友人が編集に深く関わっていた、京都のガイド本。
六本木の森美術館の一隅で見た京都の写真。

紅葉で大混雑する直前の京都へ、一泊で行くことにした。
写真を載せながら、行き先を選ぶきっかけとなった媒体を紹介していく。



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“妙 衆”とあるが右から読む。衆妙門

facebookのあるページで、「おすすめの世界遺産を教えて」という問いかけがあった。
いろいろな国の有名観光地が挙げられているなか、京都の西芳寺(通称・苔寺)を薦めている人がいた。
これまで何度か京都に行っていて一度も興味を持たなかったのに、そのときは「行ってみよう」と思った。

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写経をする本堂

でも実は、行く前から、かなり気分を害していた。
だって、往復はがきで拝観を事前に申し込まねばならず、冥加料(みょうがりょう)3000円もするなんて!
般若心経を写経して、説法を聞くことがお庭拝観の条件なのか。
写経をするための細筆も持ってこいとな。

ここは昔は無料で入れたのだが、苔を荒らす拝観者がいたため、“やむをえず”有料にした、と人に聞いたが、私にはわだかまりが残った。
いまどき、往復はがきとか。
いくら苔のメンテに費用がかかるといっても、3000円って……スカイツリーじゃあるまいし。
そして実際に行ってみての、あの無愛想で高飛車な態度。
般若心経のレッスン用紙みたいな紙を配る受付の女性も感じ悪いし、案内の男性も感じ悪いし、口のきき方を知らないというか!
お寺にいた人で感じのよかったのはほんの一人か二人だった。
ぜんたいに漂う、“見せてやってる”的態度!
“天下の世界遺産だもんね”的態度!
感じ悪いお寺って京都でも東京でも、どこでもあるのだけど、ここも感じ悪かったなあ。
写経の途中で般若心経をみんなで唱えるのだが、それもいきなりスタートして形式的でちっともありがたく感じられない(気分を害したので最初から最後まで私は黙っていた。成仏できないわね)。
キリスト教会でも礼拝のときは讃美歌がいきなり始まるけど、これまで行ったことのある教会が当たりだったのか、ひとつの歌を歌うことによっての一体感はきちんと感じられた。
ここの読経と説法は、まるっきり形骸化しているように感じてしまったな。
お庭は噂にたがわずすばらしかっただけに、残念である。

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苔は光を受けると輝く

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最初から悪口ばかり並べてしまったが、まわりを見回すと、そう思っているのは私だけのようで、皆おとなしく、きまじめに写経をしている。
願い事も書く欄があり、私は「こんなとこに願い事なんか書くか」と空欄で出したが、提出(提出とはいいませんね。本尊に奉納、ですね)するとき、ちらちらのぞくと、皆さんの用紙には「家内安全」などと記されていた。
成仏をあきらめ、乱雑な字であっという間に写経をやり終えてしまった私は、まだ正座している人々の間を縫って、本堂のなかをぶらぶら歩き回っていた。
腰パンからチェーンなどぶら下げているような男性が、目を見張るほど美しく几帳面な字を書いていたり、筆ペンを使っている人もいたりして、善男善女を観察するのはおもしろかった。
こういう局面では、あらためて自分の小ささを思い知りますね。

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ひとくちに苔といっても120種類がここにあるという。目を近づけるとどこか遠い星に降り立った気分だ

本堂の襖絵は堂本印象だった。
黒と金を大胆に使った現代抽象画的なものが端にあり、中央の伽藍のほうは、青・赤・金などでにぎやかに彩られたイメージ画みたいな襖だ。
ポップで楽しげな襖絵に囲まれていると、むしゃくしゃしていた気持ちが晴れ渡ってくる。
タイトルは『遍界芳彩』という。
世界にあまねく、芳しいいろどりは存在する……か。ナイスタイトル。
西芳寺の“芳”にもかかっている。
皆、熱心に下を向いて写経をして、奉納をし終えるとそそくさと苔の庭園へ移動してしまい、堂内を自由に歩いて襖絵を見ているのは私だけだった。
庭園はもちろんよかったけれど、もしもあそこで襖を見ていたら、それぞれの胸に残るこのお寺の思い出も、少しちがうものになったかもしれないと思った。

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ガイジン観光客は苔をなでまわしていた。なにするんだヤメロー。そんなことするから、冥加料が高くなるんだ……

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好印象と悪印象が半々だった、西芳寺。
「まあいいかな」っと思える高い秋空



その2へつづく)

by apakaba | 2011-11-09 10:25 | 国内旅行 | Comments(2)
Commented by kaneniwa at 2011-11-10 14:59
ここはスティーブ・ジョブスも生前に何度か「お忍びで」訪れています。
ここが有料化されたのは私が高校生の頃からですが、
ドナルド・キーンさんの証言によれば
戦前はほとんどの寺院が有名・無名に関わらずに
拝観料などとらなかったのはもちろん
(お賽銭や懇志を受け付ける場は当然あった)
24時間出入り自由であるところがほとんど。

あの竜安寺で月に照らされる石庭に
留学生時代のキーンさんが見ほれていている時
気がつくと傍らにお茶が置いてあったとのこと。

未だに拝観料を取らず、京都の安ゲストハウスには
「ここが待ち合わせに最適」 と書いてある
東本願寺に是非ともご参詣ください。

なお、飛び地境内地となりますが
「渉成園」 も是非とも見ていただけたら幸いです。
比叡山と東山を借景にしていたものが
今はラブホを借景にしているのがちょっと残念ですが。

BYマーヒー
Commented by apakaba at 2011-11-11 08:32
マーヒーさん、コメントありがとうございます。
ジョブズのことは知りませんでした。そうですね禅寺ですもんね。
私には、残念ながら幾度か「口のきき方を知らないなあ」と思ってしまいましたが、英語ならそんな微妙な問題も気にならないでしょうし。

京都は、何度行っても行き尽くすことがなく、楽しい観光地です。
でもそれだけに嫌な面も見ることになります。
次回いつになるかわかりませんが、オススメの二つは行こうと思います!


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