あぱかば・ブログ篇

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2012年 03月 16日

着物を着るとこういうこともあるのだ

今日は娘の中学の卒業式でした。
娘はまだ2年生ですが、私は今年度のPTA役員で来賓として出席するのです。
来賓というよりむしろ接待のお手伝いで、待合室で近隣の学校の先生や町内会の方々へお茶やお菓子を出したりします。

私は、今後なるべく多くの機会を捉まえて着物を着たいと思っていて、今日もさっそく無地の着物で行きました。
まだ一人で着ることができないので、隣りに住む母に着付けてもらいました。

母は着付け教室にかよったりもせずに昔から自分で着ています。
そのため、タオルなどを巻いて体型を補整することを不自然で窮屈だといって嫌い、紐類もあまりぎゅうぎゅう締め上げません。
仕上がりの見た目重視のプロが着せるより、着るほうはずっとらくちんですが、その分、少ししわが寄ったり、着崩れもしやすいのです。
着崩れたらその場でそのたびに直せばいいだけのことというのが母の持論です。

登校し、来賓の待合室でお茶出しをしていると、藤色の無地の着物に黒い紋付きの羽織を着た老婦人が入ってきました。
町内会の重鎮の女性のようです。
その方は、私を見るとご自分のバッグも置かず、席にも着かずに、まっすぐ私のところへ突進してきました。
そしていきなり
「あなたね、これじゃダメよ。」
と、私の帯やお太鼓や伊達締めなどを、片っ端から直し始めました。
「せっかく着物を着ているんだから。これじゃ見ちゃいられない。」
と、見ず知らずの私の着崩れをすごい勢いで直してきて、私も周りの役員メンバーもビックリ仰天しました。
着物の老婦人Aとほぼ同時に入室してきた洋装の老婦人Bも、つかつかと私と老婦人Aのところへやってきて、
「あらAさん、あなたもお好きねえ。あなたはもうベテランだからね。見てられないんでしょ。」
と言いつつ、ぴったりと寄り添い、ぎゅうぎゅう締め上げている姿をおもしろがって見ているのです。

そうする間にも、いろいろな来賓の方が見えているのに、非常に恥ずかしい思いをしました。
でも老婦人Aがせっかくやってくれているから……、
「いや〜ありがとうございますー!」
とお礼を言いつづけました。
たしかに、母がやってくれたらくらくな着付けより、多少お腹が苦しくなったものの、見た目はすっきりしました。

老婦人ABのおふたりは、並んでお茶を飲み始めました。
しかし、着物の老婦人Aの目が、するどく私の手元を見張っているのです。
なんだろう、私のお茶のいれかたが気に入らないのかしら?
少しすると、洋装の老婦人Bがいつの間にか私の背後にまわっていて、
「あのねあなた、老婆心ながらいうとね、着物のときは、指輪と時計ははずすものですよ。そのことをあのかた(老婦人A)がとっても気になさっていてね。」
と、こっそり教えに来たのです。

あのするどい視線は、“ほんとに近ごろの若い人は情けない(どうも私も「若い人」に分類されているらしく何度も「若い人」と言っていた)。着物のときは全部はずすってことも知らないんだわ。ああ、着物を着る資格ゼロね。”ということだったようです。

「私も茶道をやっていたので、一応それくらいは知っていますが……いまどきそんなこと言ってる人はいませんよ。」なんて言い返すことなどできるわけがなく、地域の方のいうことははいはいと聞いておこうと、すぐに指輪も時計もバッグにしまいました。
そのあとも老婦人Aはずっと私の手元をチェックしていて、満足したみたいです。

着物を着るということは、ああいう人々のチェックの目にさらされることなのだ、と実感して、なんというか、ありがたいようなメンドクサイような気分になりましたよ。

卒業式じたいは、寒かったこと以外、平穏でしたけどね(今朝の気温は−2度。早く春になって〜)。

by apakaba | 2012-03-16 23:37 | ファッション | Comments(10)
Commented by kaneniwa at 2012-03-17 01:41
まずは
「老婆心」そのものの行為にお礼を言えたあなたはエライ!

この手の人に 
「わかっています」
などと言っていれば
「かわっていることをなぜ実践しない?」
と言われるだけだ。

BYマーヒー
Commented by kaneniwa at 2012-03-17 01:41
フォーマルなスーツのポケットのフラップ(ふた)は
 室内のフォーマルな場では内側にしまっておくべきですよ」
と注意する人には
まだ会ったことがないけれども、
(このマナーには流派みたいなものもあるし)
時計や指輪よりも着物の歴史の方が古いので
後付ルールではあるが
(若干カジュアルであろうとも)お茶を出す場では
道具を傷つける可能性を排除するために時計も指輪も
外すことは、間違ったことではない。

私にもたっぷりある「老婆心」には
自分でも十分気をつけているつもりなので、わざわざ
注意したりしないだけ。

私なら着物を着ているというだけで
まずはホメるが(そうでなければみんな着物を着なくなる)
「老婆心」に執念を燃やすことが身についている人がいるほど
面倒くさい面も含めて民族衣装であるということだと思う。

パロンドール授賞式に澤穂希が着物で出席し、
メッシと並んでも澤の方が輝いていたのは痛快だったが、
あれがもしもヘボ着付けだったらすぐにスイスのチューリッヒの
会場に抗議の電話をかけるという老婆心がほとばしったかもしれない。


BYマーヒー
Commented by kaneniwa at 2012-03-17 01:48
あ、最初のコメント 「かわっている」 と書いちゃった。
「わかっている」 でした。

BYマーヒー
Commented by banana at 2012-03-17 08:31 x
着付けというか着こなしというか、まあ、どう見えるかというポイントは大切ですね。バリでは祝い事や儀礼のときには、ふだんよれよれの格好している連中でもしゃきっと「民族衣装」を身につけるけど、着こなしはひとそれぞれ。もっぱら若いコたちが(男も女も)いかにカッコよく見えるかに工夫こらしてますよ。日本の着物の着付けもTPOでバリエーションがあると思うのですが、男の着物では落語家さんたちの着こなしかたが好きです。
Commented by minmei316 at 2012-03-17 09:25
着物の着付けは、スレンダーでもダメ、ボンキュッボンのナイスバディーでもダメ、一番良いのは中年のふくよかでずん胴な体型が、しっくりときて着崩れもしにくかったりします。
だけど、たまに見かける年輩の方で普段からお着物を着ていらっしゃるであろう着こなしは、確かに痩せた体にシワをよせて着ていても、それはそれで、お顔のシワといっしょで長年の苦労を背負ったその方の人生を物語っているようで逆に味わい深く感じます。
だから若くてきれいな(apakabaさんも)人にはそのシワがまだ似合わないのだと思います。

着物の着付け、美しく、しかも苦しくなく楽に着せることは
わたしの永遠のテーマです・・・・
Commented by 那由他 at 2012-03-17 11:29 x
黒い紋付きの羽織、なんか懐かしいです。
私が子供の頃は、入学式、卒業式では、
お母さん達がよく着ておられましたが、
最近は、帯付きが多いように思います。

「小さな親切、大きなお世話」のような気もしないでもないですが、
基本的に「好意」なんでしょうね。
素直に好意の行為(洒落じゃないですよ)を
礼儀を持って受けられたのですね。よかったです。
和服老婦人も、もう少し想像力を働かせて、着方を直す場を、
ちょっと人目につかないところでされればよかったのですが。

洋装老婦人の「老婆心ながら」、真面目な一言なんですが
そこはかとない可笑しみを感じました。
「老婆心ながらときりだす老婦人」なんて川柳になりそう。
(可笑しみを感じるのは、私だけ?^^;)


Commented by メリー at 2012-03-17 13:56 x
今回のコメント、ぜんぶ深~いなぁ・・・

私も、特に澤選手の授賞式の時には、
この着付けをした人、もちろんプロだろうけど、ヘタなことはできないし、名誉とプレッシャーで大変だったろうなーとか、それこそ、余計なお世話で心配したりして・・・

那由他さんのおっしゃるように、できれば人の着方を直す時には
ちょっと人目を避けるくらいの気配りは必要だわねー。
でも、そんなとこにわざわざ連れて行かなくても、こんなもんは
ちゃちゃっと直せるのよ!!っていう自信もあったのか。。。

少々シワが寄ってても、楽に着られることにこしたことはないけど
やっぱ、フォーマルな場所での着付けは、バッチリきめた方がイイよね。
ブランドのドレスでも、しわくちゃに着てたら、ちょっとぉー。。。って思うし。
ほんで、普段着としての着物なら、髪も自分で簡単にアップでも良いけど、
フォーマルなら、美容院でセットしないと、アンバランスになったりするし。。
TPOだな~ うん   ただし、金はかかる!!! (-ε-)b"
Commented by apakaba at 2012-03-17 15:04
皆さま>(スミマセンいきなりまとめレスで)
私みたいな、着物が素人で年齢だけはいってしまっているのは、ほんとの若い子よりも始末に負えないところがあるんでしょうね。
「年寄りのいうことは聞く」ものだと思っています。
少し怖くておせっかいな年長の人と交流するのも、地域社会が生きてる証拠だし。

着物は洋服とは比べものにならないほど、強い愛情をもっている人が着ていますよね。
なかなかにプレッシャーですわ。でもあたし負けない。
Commented by ぽぽらん at 2012-03-18 16:47 x
通りすがりの者です。
この「お直しおばさん」を否定するコメントがないのにびっくりです。
私だったら、「人様のお召し物に許しも得ずに手をかけるなんて、どういうお育ちなのかしら。汚い手で触らないでいただけるかしら?お振舞いから察するに、ご両親は売春婦とスリあたりかしら。ほほほ」位は言うなあ。もう少し常識のある相手だったら後半は別の言回しにするけど。
この土人おばさんは親切なのでも着物が好きな訳でもありませんよ。「私は着付けができる(本人の中ではこの程度の事が上流なつもりなんでしょ)」「私は礼儀に詳しい」どちらも妄想ですが、それを他人に見せつけて、人に恥をかかせ、意地悪をする事で自分の立場を上げようとする下劣な根性の持ち主なだけです。
なぜか事が着物となると、この手の無礼者に毅然と対応する人が少ないのは残念な事です。
Commented by apakaba at 2012-03-18 17:38
ぽぽらんさん、ご訪問ありがとうございます。
コメント、過激で痛快です!
失礼といえば失礼な好意ですものね。
あ、好意って書いちゃった。
好意からでも失礼な行為ですね。
せめて更衣は更衣室ででも……(ああ無駄にすべっています)

しかし私は、そこまでやり返してあつれきを生むこともないかと判断しました。
本当にまるっきりの通り掛かりにそんなことをされたらびっくりしますが、地域の重鎮と学校PTAとなると、立場も、周囲との関係も微妙になってきますし。

やはり、モノを対等に言うには、こちらにも力がないといけません。
今回の場合、当方にあまりにもその力がなかったことが、ぽぽらんさんにふがいなく映ったなによりの原因だと思います。

そのためには、一日でも早く、着付けの力をつけなければ!
ぽぽらんさんみたいにカッコよく言い返すのは、そのあとです。
というわけで、今日から特訓スタートしました(今日のブログを見てくださーい)


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