2012年 04月 19日
高校入学当時は、友達に誘われてベースを弾き始めた「アキタコマチ」だったが、すぐやめてしまった。 楽器の代わりにカメラを持って、友達に呼ばれてライブハウスでの写真を撮り、バンド仲間ではだんだんと彼の撮った写真が評判になって、そのうち「チケット代はいらないから自分たちを撮って」と頼まれるようになった。 お金をもらわないからバイトではないけど、チケット代は2000円くらいはするので、まあ、子供にとって損ではない話だ。 先週、滋賀の友達のメリーさんが吉祥寺にやってきた。 メリーさんがアシスタントを務めている、ミュージシャンのマーティー・ブレイシー氏のライブがあるためだ。 マーティーのバンドは一流のプロばかりだから是非来て!とメリーさんに言われ、 「『アキタコマチ』に写真を撮らせよう。高校生の演奏とはレベルが段違いということもわかるし、友達を撮るのとオトナのプロを撮るのとでは、緊張感がぜんぜん違う。いい経験になる。」 と考えた。 吉祥寺のライブハウス「サムタイム」で、一部・二部とツーステージぶっとおしで聴いた。 マーティーのバンド The Edge は、ずっと聴きつづけていたくなる名演だった。 いい音を出す人は、写真にするのに“いい瞬間”をいっぱい持っている人であり、とくにマーティーはどう撮ってもいい顔をしている。 「アキタコマチ」は、カメラ3台を用意して張りきって行ったものの、会場の撮りにくさ(ホールの真ん中にバンドセットがある・まったくライトの当たらないメンバーがいる・客席との距離が近過ぎてお客さんの迷惑にならないように動き回ることが至難・しかも満員御礼)に意気消沈。 「こんなんじゃ撮れない……」と、しばらくふてくされていたが、そのうちに 「たいていの人は、こんな撮りにくい会場じゃとっととあきらめちゃうけど、それでも(写真の)うまい人は、きちんと撮るはず。オレもがんばる。」 と宣言して、果敢にアタックし始めた。 「構図、構図がすべてだ。こういう暗い場所だと、ついつい明るさばかりを気にしちゃうけど明るさにこだわってたらなんにも撮れない。劇的な構図。」 そう、いい瞬間をモノにするのは、ほんのちょっとの図々しさと、針の穴を通す(ここから撮れる!という)ポイントの見極めの早さ。 ふてくされていては、なんにも撮れません。 計400カット以上撮り、自分で厳選してメリーさんにデータを送っていた。 感心したというかあきれたのが、彼はちゃっかりiPadを用意して来て、ステージ前にメリーさんに挨拶しに行って、すかさず 「僕はこういう写真を撮れます(=だから今日の写真も、どこかで使ってください)。」 と、今までの友達のライブ写真をプレゼンしていたことである。 オトナ相手に、まだ17歳だよ。 こういう商才は、私にはないなあ〜。 会場にはプロカメラマンもいて、その人の写真はあとで見たらやっぱりスゴカッタ。 「なんだ、これじゃ無理だ。オレの写真なんか使ってもらえるわけがない。」 だが、翌日に写真を見たときの夫の言葉には感動した。 まずプロのほうを見せると、 「ふーん、こりゃプロの機材だから当たり前だよ。中望遠で寄って。100万円くらいするだろう、太刀打ちできねえよ。」 そのあと、「アキタコマチ」のを見せると、 「よく撮れてるぜ。お前、負けてねえよ。この辺、すげえキレイに出てるよ。」 (いや、負けてるのに……)「お父さんはやさしいね。」と二人で苦笑した。 より難しい場所で撮ることも、オトナに臆せず自分から動くことも、同じ条件下で撮った自分より格上の作品を見て反省することも、子供には全部が大事な勉強だ。 それは、写真以外のこと、たとえば彼がめざしている料理の世界でも共通することである。 日曜の朝、「アキタコマチ」の行きつけの美容院から電話がかかってきた。 「あれ?今日、息子が予約してましたか?」 「いえ、予約ではなくて、『アキタコマチ』くんに用事があって。」 担当美容師の女性が、来月、シュウウエムラのヘアメイクコンテストに参加するため、ヘアメイクしたモデルさんの撮影を頼みたいとのことだった。 モデルは美容師さんの友達で、モデル事務所所属の女性らしい。 あいつ、いつの間に美容院にもiPadを持ち込んでいたのか。 「アキタコマチ」のライブハウス写真は、こちらです。 ライブハウスで撮影する(ブログ・子供部屋) 二つのライブの画像をたくさんアップしています。 是非ごらんください。
by apakaba
| 2012-04-19 11:01
| 子供
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Comments(8)
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Morikon
at 2012-04-19 12:12
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ちょっとは参考になったみたいだね、
というか超えられちゃったかな(苦笑) LIVEの写真って「寄ってなんぼ」だと、 個人的には思ってる。 だからプロにありがちな 「大砲みたいなレンズで撮ったの」って 画一的で嫌いなのだ。
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apakaba at 2012-04-19 12:20
もちろん、4トラベルのあのライブ写真を見せてから撮影に行きましたよー。
前半の友達ライブは色彩を出しててMorikon風かも。 後半はオトナ相手でオトナな感じにしようとしたのかな。 大砲レンズねえ、あれば頼り切りになっちゃうもんね。 許される限り、自分の足で寄って行きたいよね。
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Amano
at 2012-04-19 22:30
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メリー
at 2012-04-19 23:09
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どもども!たいへんお世話になりましたー!!
ほんと、たいしたもんだよ。 てか、私はアキタコマチ君の作品を、ギャラリーで観たことがあるから、信頼してましたよー。 きっとイイのを撮ってくれると思ってたので(お世辞じゃなく、本音です)、ipadで見せてもらわなくても、もらっちゃおう!と決めてたもん♪ 反対に、「使わせてもらってイイかな?」と聞かないと!ともね。 なんといっても、さすがogawaさんの一番弟子やもんね。 ミュージシャンって、基本的にナルシストだなーって思うので、カッコ良く撮ってもらえると、すんげー喜ぶのよ。素直にね。 Marty は、アキタコマチ君の写真全部を、自分のPCに保存したよ。 それから、ここの文章を読んで、「イイおかーさんだね」って言ってた。 マキさんは私のランチにも付き合ってくれたし、ほんと、ありがとうー!
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apakaba at 2012-04-20 16:46
Amanoさん、私はカメラも写真もわからないけど、きっと人物写真をモノにするのも、ちょっとだけ図々しくて、あと一歩、近くに踏み込むタイプなんだろうなと。
慎み深く人の後ろにいれば振る舞いとしては品はいいけれど、できた写真はつまらないもの。 人物は難しいですよね〜。
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apakaba at 2012-04-20 16:51
メリーさん、メリーさんが声をかけてくれたおかげで、こういう楽しいチャンスを得ることができました。
ほんとにありがとう。 それに、ランチでたわいな〜くだらだらしゃべってるのも楽しかった! 私は今まで仕事の前に一人でさっさとランチにすることばかりだったから、奥さん同士のランチとかもめったになくて。 マーティーも喜んでくれてうれしいです。 また聴きたいわー!
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ぴよ
at 2012-04-22 09:34
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私も人物撮るの苦手・・・
あ、いや、得意な被写体なんてないんだけど、人物は特に苦手という事よ(滝汗 いやぁ~。アキタコマチ、どんどん色んな事を吸収してるんだねぇ。 私がかつて見た彼の写真とはまるでかけ離れてるわ。 玄人はだしというのか、でもプロはもっと機材に頼るもんね そういう意味ではプロより魂がこもっているというのか。 その被写体をカッコよく撮ってあげよう!っていう心意気を感じる 写真ばかりで感心しましたわ。
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apakaba at 2012-04-22 16:15
ありがとうありがとう!
若いっていいよね。 でも、若くてもなんにも吸収できない子もいるから、やっぱりあの子は写真が好きなんでしょうね。 私はヘタなのに人物を撮りたいタイプ。 でも人物は知らない人だと悪いし、知ってると照れくさいよね! |
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以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
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