あぱかば・ブログ篇

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2012年 06月 21日

胡蝶の夢ひらひら台北 3.夜市をハシゴしながら

2.一人旅のできる女の子のつづき(1.はこちら)。

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「コシヒカリ」の大好物はイカだ。
台北ではあちこちでイカをあぶる匂いがしていて、娘はいちいちフラフラと吸い寄せられてしまう。
イカは消化が悪くてお腹が変に膨れるので、ふだん食事の前にはあまり食べさせない。
でもまあ、旅先だから好きにさせるか。



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華西街観光夜市の門。思ったより人出が少なく、拍子抜け

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人出が少ないからちょっとヒマ

屋台のおばさんがあぶっているのを、「うわあ〜、あぁーん!」と悶絶しながら待っている。
「ああっ、くるくる丸まってきたのを、もう一枚の網で押さえつけて、まんべんなく火が当たるようにしてるんだ!すごい!」
イカのことになると真剣そのものである。
肉まん大好き、イカ大好き、安上がりでけっこうだが、私としては、せっかくの女同士の旅なのだからもう少し乙女な食べ歩きを想像していた。
台湾名物タピオカドリンクとか〜。
マンゴー載せかき氷とか〜。
娘もそういう甘いものはもちろん好きだが、肉まんやイカのほうがもっと好きなのだ。
なにより、ダウンのコートを着て震えているのに、冷たいドリンクだのかき氷だの、考えたくもない。
夜市をハシゴしてみたが、本来なら夜市の華であるはずの冷たいものの屋台は、どこもまるっきり売れていなかった。

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それでも娘は根性でスイカジュースを飲んでいた

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おおっ、キンマだ!やっぱり日本じゃないなあ。私が興奮していると娘は不思議がる

はじめに行ったのは龍山寺のそばの華西街観光夜市である。
娘は私の旅の話を聞いて「ヘビとかカエルとか食べてみたい!」と、ずっと言っていた。
この夜市は売春街(今はないらしい)の近くにあって、精力をつけるという名目のもと、ヘビやスッポンを出す店が並んでいる。
だが、ここへたどり着く前にさんざんイカを食べて、案の定お腹が膨れてしまった娘は、
「うーん、お腹が空いてない。今日はいいや……」
と、あっさりあきらめてしまった。
何ヶ月も前から、これらを食べさせてやろうと楽しみにしていた私は、甚だ失望した。
「だからいつも言ってるでしょう!イカなんか食べてるからいけないの!」
と言ってやりたいのをグッとこらえる。
私は旅先では決して人とぶつからないようにしている。
それというのも、親子・友達・夫婦、今までいろんな相手に、旅先でつい語気を荒げて、気まずくなった経験があるからだ。
しかも、初めての“自分の自由にしていい旅行”で、毎日「勉強やったの」「ていねいに歯磨きしなさい」「姿勢が悪いよ」「もっと早く起きて支度しないと」と怒られつづけている母親から、ふだんと同じように怒られたら、気分がしぼむだろう。

「しょうがないねえ。じゃあ、さすがに夕飯がイカだけってわけにはいかないから、なんかテキトーなものを食べ歩きして、今夜は済ませちゃおう。」
「えっ、いいの?(私はふだん食事や栄養バランスにとてもうるさいので、にわかに信じられない様子)うん、そうしよう!わたしまた肉まん食べたい!」
ええーまたですか……

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MRTの自動券売機から私のプリペイドカード(Easy Card)が出てこなくなったので、駅員さんが直しているところ。彼とは日本語でなく英語で会話する。若者には英語中心

MRTに乗って士林観光夜市へ移動する。
ここは台北一の規模と集客力を誇るらしい。
そぞろ歩く人々の顔は、屋台のライトに照らされて、ピカピカとしている。
だが、たしかに食べ物にはあれこれ目移りするものの、売り物はとてもではないが財布を開けたくなるようなものではない。
誰が部屋に飾るのか疑問を感じる飾りの壁掛け。
かわいくもかっこよくもないプラスチックのおもちゃ。
派手なだけのデザインのTシャツ。
万国共通、どこへ行っても土産物の市場はこんなものだが、ここも安っぽさが目につく。

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大粒タピオカ入りドリンクの屋台を、娘はほんもののカエルの料理が出ると勘違いする

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ガイドブックで見て娘が絶対食べたいと言っていたいちごの飴がけ。見てのとおりの味だが食感がいい。ウマイ。ただしいちごの新鮮さがすれすれだったりする

金魚すくいが好きな娘は、ここではエビ釣りをやっていた。
釣ったエビはその場で焼いて食べられるというのだが、とうてい食べる気になれない、グッタリしたエビたちである。
エビの放された水からして、すでに妙なにおいを発している。
釣れてしまったら食べるべきかなあと考えていたが、ボウズであった。

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メチャクチャ盛り上がる人々

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大人気のフライドチキン「豪大大雞排」。名前から想像がつくとおり、薄いがばかでかいフライドチキンを立ち食いする。下拵えをする当番→揚げる当番→スパイスを振って袋に入れお金を受け取る当番、の3人で大行列をさばく

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下拵え当番の彼はとても疲れている模様

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マスクをしないとくしゃみが出ちゃうのだろう。スパイスをかなり効かせている。たしかにおいしいが、二人で分けても胸焼けしてきた。日本人の団体もたくさん並んでいた

ごくごく小さな行動半径ながら、初めて一日台北を歩いてみて、私は“なんともいえない不思議なところだ”という感覚にとらわれる。
ここを訪れる外国からの観光客の「ほとんどが日本人」だということ。
台湾は日本びいきだとか、日本語で不自由なく旅行ができるとか、話には聞いていた。
しかしここまでとは思わなかった。
夜市を歩く外国人で、日本以外の国からの旅行者は、いるにはいるがごくわずかだ。
台湾の人々も、「外国人観光客≒日本人」と心得ている。
サービス業に就いている人で日本語を流暢にあやつる人の割合は、私が今まで行ったことのあるどの外国よりも、比べものにならないくらいに高い。
これほどまでに、日本を第一のお客様としている国があったとは。
日本人など見たこともなく、英語が一言も通じないような国を歩いたこともあるが、そのときは“日本はまったくマイナーな国だ。そして英語がまるっきり役に立たない場所も、いくらでもあるんだ”という、居住まいを正すような感覚を持った。
台北を歩いて、これと正反対の方向の、しかし同じくらいの驚きを覚える。
地理的な近さと歴史的な縁の深さにより、台湾は私の想像を遥かに超えて、日本を見つめている国であった。
旅には、遠いほど価値があって近いと価値がないなんてことはまったくないんだなあ、という思いをまた新たにする。

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4.金瓜石と、犬写真につづく)

by apakaba | 2012-06-21 10:42 | 台北2012 | Comments(6)
Commented by もりりん at 2012-06-22 03:12 x
ううう。名文。ひさびさに、言葉が胸にくるっていう経験をしたぞ。
Commented by apakaba at 2012-06-22 08:02
キャアアーありがとうございます!
「こんな長く書いておもしろいのかなあ」と、すでにやる気ダウン気配でしたがすっかり書く気になりました!
Commented by ぴよ at 2012-06-22 23:09 x
ここまでとりあえず一気読みしたわ。
台湾(台北)には、かなり昔に一度行ったきりです。
お仕着せツアーで当時の自分の目的は「ハードロックカフェ台北店に行く」という事だけだったので(HRC台北店は既に閉店)
ほとんど思い出がない状態なので、かなり新鮮な気持ちで本旅行記を楽しませてもらってます。

こーやってフリーな台北旅行記を読むと、自分も久し振りに行きたくなっちゃうなー。
旅行記の魅力ってココだよな。読んで「ああいいなーココ、自分も行ってみたいなー」って思えるのが最高に楽しいんだよな。
Commented by apakaba at 2012-06-23 06:59
お久しぶりにありがとうございます!
やっと初日が終わったのだけど、やったことといえば肉まんとイカを食ったくらいで……観光も超お決まりのことしかしてないので、たぶんかなりツアー以下の行動半径です。
フリーに動いているだけで楽しげに見えるんだよねえ。
しかし、フリーダムな娘には参ったわ。
(昼も夜も、翌朝も肉まんとか……)
Commented by atsuko(克林) at 2012-06-25 00:05 x
マキさんの視点がさすがで楽しい!!

最近は日本人観光客よりも中国人観光客の方が多いみたい。
マナーが悪いから大嫌いとお店の子が言っていました。^^;
Commented by apakaba at 2012-06-25 16:50
atsukoさん、atsukoさんのグアム旅行記で、「グアムの旅行者は日本人ばかりで、観光収入は日本人に頼っているから、日本人がグアムに行かなくなると死活問題になる」と書いていたでしょう。
あれを読んでけっこう驚いたのだけど、台湾もきっとそうなんだろうなと思いながら歩いていました。
香港・台湾・韓国と、日本から近い旅先だけど、今は圧倒的に韓国が人気だもんね。
台湾もガンバロー!
しかし娘は肉まんとイカばかり食べていて、せっかくの台湾料理をほぼ堪能できず、私は失望してます……


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