人気ブログランキング | 話題のタグを見る

あぱかば・ブログ篇

apakaba.exblog.jp
ブログトップ
2016年 09月 25日

FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園

会期終了してだいぶ経ってしまったが、去る8月26日、「FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園(公式サイトこちら)へ行ってきた。
私のブログを読んでくださったネイキッドの方が、ご招待してくれたのだった。
「ぜひ、我々の仕事も見てください」というお誘いに甘えて、東京ミッドタウンへ行ってみた。

FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園_c0042704_16213424.jpg


恥ずかしながら、ネイキッドという会社も、その事業についても寡聞にして知らなかった。
「ネイキッドは映像やインスタレーション プロジェクションマッピングなど 人々の体験をデザインするクリエイティブカンパニーです」とホームページにあるとおり、空間演出でのエキスパートらしい。
たしかに、うん、モノスゴク、イケてた。


FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園_c0042704_16235444.jpg

インスタで撮影した写真を、スマホからこの大きな画面に飾っていくことができる。



FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園_c0042704_16382613.jpg

プロジェクションマッピングを、花に当ててさらに立体的に見せている。
プロジェクションマッピングは平面的な対象を考えがちだが、ここまで凹凸の激しいものに大胆に当てていくのはおもしろいし、美しいと思った。


FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園_c0042704_16440007.jpg
水の中から水面を見上げているような気分になるが、枝(?)を揺らすと、雨粒のような水滴の波紋が葉の裏側に映る。

ひとつの大きな会場を区切って、いろいろな空間演出を次々と見せる。
各コーナーには、そのイメージにぴったり合う香りを流している。


FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園_c0042704_16564983.jpg

あまり注意を払われないところに、鳥の影が映りこんでいく。


FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園_c0042704_17023790.jpg

ここだけは会場のオリジナルな香りとは異なり、高田賢三のパフュームが使われている。
中央には、切り絵で繊細な葉が。


FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園_c0042704_17061093.jpg


「バニヤンツリー」に使われているのは、「未来紙」(とネイキッドの方が呼んでいた)という不織布。

この他にもたくさんのコーナーがあるが、ひとつの大きな会場に入り組んで並んでいるので、少しずつ他のコーナーが見えていて、全体の景色に影響しあっている。
遊園地に来ると、しばしばこういう風景がある。

ネイキッドの方が懇切丁寧な解説をつけてくださったおかげで、だいぶ舞台裏というか、ふつうの来場者が知らない仕掛けなどを教えてもらえた。
多くの人が見落としてしまいがちなところでも作り込んでいて、それを「実はここにこんなモノを映しています」とか、「実はこのコーナーの木はほんものの木を使っています」「これはここにセンサーが仕込んであります」と教えてくれる。
そうやって見ていくと、たしかに大変な人材と技術を駆使して、この空間を作り上げているのだとわかる。
しかし、多くのお客さんはそんなことを知らない。
自分の感じられる範囲で、自分たちなりに楽しんでいる。

ネイキッドは、その方針として、極力説明を排除して、見る人の感性に依存し、言い方を変えれば感性を信じて、種明かし的な説明がなくてもビビッドな体験となってくれることをめざしているとのことだった。
「説明はダサい」と切り捨てることで、お客を選別しているように思えるが、会場を見回す限り、来場者(ほぼすべてが女性!)の表情は皆幸せそうである。


FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園_c0042704_19321690.jpg

いかにも女性に受けそうなイベントだな……少しもちゃちなところがなく、隙間なく美しく、隅々まで幸せな感覚が満ちている。
物販コーナーも、女性の購買意欲にマッチしている。
さほど高くなく、気の利いたものだけが売られている。
うーんこれはモテそう。
代表の村松亮太郎氏が、やたらと男前なことが、会の成功を約束している感じ。


FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園_c0042704_22054865.jpg

メディアに出ているどの写真を見ても、隙なく色男だもんね。
たぶんこれだけのステキ空間を緻密につくりあげるのだから、相当の美的センスとカリスマを持った人なんだろうなとは想像がつくが、「モテそうな感じ」という直感は、おそらくこの村松氏の発するオーラによるものではないかと思った。

インタラクティブなデジタルアートというと、まずチームラボが浮かんでしまうが、ネイキッドがめざしているのは、チームラボとはまったく別のものだ。
両者を引き比べることには意味がない。
チームラボが「日本」「教育」に鋭く切り込み、古典への志向を明確に打ち出して、それをデジタルで表すことに徹底的にこだわっているのに対し、ネイキッドにとっては、デジタルはひとつの手段であり、美しいこの世の楽園を現出させるためには、アナログ的な手法もどんどん取り入れる。
たとえば、イミテーションの木にほんものの熱帯植物が混じり込んでいたり、切り絵しかり「未来紙」しかり、質量を持った「ほんもの」と、光や音や香りといった質量のないものをまじえて置くことで、その区別は曖昧になる。
多面的に快楽を引き出す。
チームラボが、見つめていると胸を締め付けられるような切なさが込み上げてくるのに対し、ネイキッドはその逆に、ひたすら胸の締め付けから解放され、快楽で満たされる感覚になる。

「FLOWERS BY NAKED 魅惑の楽園」は、東京では終了してしまったが、10月からは沖縄で開催されるようだし、東京では「SWEETS BY NAKED(公式ページこちら)」がスタートしている。
ああ、またも女性に大受けしそうなイベントなんですね。
映像(ましてや写真)ではネイキッドの魅力をうまく伝えきれないので、空間演出の最先端の仕事を知りたければ、会場に行ってみるしかない。
テクノロジーとマニュファクチュアの融合で、幸福感が呼び起こされる。


by apakaba | 2016-09-25 22:54 | 歌舞伎・音楽・美術など | Comments(0)


<< 歌舞伎座秀山祭九月大歌舞伎、昼...      一応、誕生日ディナー >>