2005年 12月 24日
私のメインサイトの掲示板は、常連さんの平均年齢が高い。 年寄りは気が早いというとおり(常連に対してなんという態度)、すでに今年を振り返る書き込みが出そろってしまった。 私も、今年読んだ本のベスト10でも書いてみようかな。 順位はつけず、10冊選んでみよう。 しかし、みんなのいうとおり、ネットやると本を読まないなあ。 この10冊!を選ぶのが、10年くらい前ならあっという間だったのに、今日一日考えてしまったよ。 ではいってみよう! 1・・・ モーターサイクル・ダイアリーズ (チェ・ゲバラ 著) 映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」を観て、本を買った。 このブログにも2回記事を書いた。 今日は同名の文庫本を買いに走った。 映画と本との邂逅 2回もここでチカラの限りフィーチャーしたので、いうことなし。 ゲバラは名文筆家だった。 2・・・ チェ・ゲバラ伝 (三好徹 著) 私が読んだのは、義母が持っていた1971年の初版本だったが、いまは新装の普及版が出版されているのね。 昔の本だったので活字がおそろしく小さく詰まっていて読みにくかったけれど、中身もやっぱりぎっちり詰まっていた。 あの破天荒な明るい旅人が、革命家へと変貌していき、やがて斃れるまで。 南米をいまだ覆う腐敗と貧困を思うとむなしい。 けれど、革命とか、ゲリラとか、暴力はいやだとか、知りもしないでシャットアウトする前に、なぜ殺し合うか、なぜその手段に出るのかは、とにかくきちんと知るべきだ。 その意味で、ゲバラの死後40年近く経った現在でもなおすべての人間が、この本を読むべきだと感じた。 私の生まれた年、生まれて数日後に、彼は射殺されたんですね。 3・・・ ダ・ヴィンチ・コード(ダン・ブラウン 著) ま、ミステリーなんで。しかもベストセラーなんで。 おもしろいに決まってるということで。 読みながら早くも、主役のラングドン教授がアタマの中でトム・ハンクスになっていて、来年公開の映画をすでに観てしまったような幻惑にとらわれた。 ミステリーだから内容は語らずにおくが、訳がうまいと思った。 文末ひとつとっても、状況や話者に応じて「××してる」と「××している」を使い分けるなど、ほんのちょっとした差異化をさりげなくこなす、こういう訳者は好き。 4・・・ 苔のむすまで(杉本博司 著) 杉本博司 時間の終わり この記事を書いてから、本を読んでみた。 両手を広げるくらいに大きな、彼の作品である写真を前にして立ったときの、ズキズキくるような高揚感——とはまたべつの、心にすーっと沁みていくような、しかし沁みていく途中でこつんこつんと刺激をくわえられているような。 身体(しんたい)に訴える人なのだ。 “アーティスト”という「日本語」が大ッ嫌いだが、彼には最大限の尊敬を込めて、artistと呼びたい。 5・・・ ムスリムの女たちのインド(柴原三貴子 著) これは“今年の本”として絶対に出さなくっちゃねえ。 不肖ワタクシのお友だち(だと思う。私がそう思ってるだけかな?)柴原さんの作品。 たまには本気でブックレビュ〜!の記事を読んでくださった方が多数いて、これをきっかけとして本を買った方もたくさんいて、「いや〜今年はワタシ、いい仕事しちゃったなあ」な気分。仕事じゃないんだけど。 あらためて書く必要もないので、まだブックレビュ〜!を読んでいない方は、ゼヒ読んでね。 ……なんか長くなってきたので、残り5冊は次回! (ついでながら、ここにリンクを張った過去の記事は、どれも相当の自信作です。ゼヒ読んでください。)
by apakaba
| 2005-12-24 22:36
| 文芸・文学・言語
|
Comments(13)
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与太郎
at 2005-12-25 14:46
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私も読んだ本のあらすじ、著者、出版社、値段、整理番号を読書専用のブログを作って記録しています。これは人に見せるためではなく、自分がその年にどんな本を読んだのか、どういう内容であったのかを忘れないため、要するに自分の備忘録として付けています。幸いそのブログは本の表紙を貼り付ける機能もあるので、表紙の絵も貼り付けてそれを読んだときの思い出を引き出しやすいようにしています。
今年から始めたばかりだけど、年末にはその年の事件、自分の周りに起こった事件なども簡単に記録して、自分の生きていた時代を思い出せる日記とできないかなと言うつもりで書いています。 日々、雑事に追われてしまうと自分の歩んできたことがどの時点で何をしたのかはっきりしなくなるので、日記とは又違った、年記(そんな言葉はないが)としてまとめておくのも悪くないかなと思っています。
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ogawa
at 2005-12-25 17:42
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モーター・サイクル・ダイアリーズ以外は私も読みましたね。
チェ・ゲバラ伝は相当昔ですが・・・読むのに難儀した記憶があります。 「苔のむすまで」は先日買いました。 六本木ヒルズで見た写真展の衝撃が忘れられませんので関連して。 柴原さんは・・・一人でも多くの人が買ってくれて良かった。 私もblogで、今年のベスト10をアップ予定です。 何するかは見てからのお楽しみということで、「本」ではありませんよ・・・念のため。
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apakaba at 2005-12-25 18:12
与太郎さん、議論ブログもやっていると書いていたことがありましたが、本のブログもつけているんですか。
私は、若いころは読み終わった瞬間に裏表紙の見返しに日付を書き込んだものですが、とっくにそんなこともしなくなりました。 でも、いつごろの自分がどの本を読んだかって思い出したいときがありますね。与太郎さんの試みは、とても共感できます。
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apakaba at 2005-12-25 18:26
ogawaさん、チェ・ゲバラ伝を読んだとはうれしいですね。
難解というわけではないんだけど、とにかく長いんですよあれ。 ゲバラが日本を訪問して、広島へ行きたいと希望したエピソードとか、当時の日本人たちが、ゲバラがいかにすごい革命家かをまったく認識していず、援助の申し入れに対してひどく冷たくあしらった場面がとくに印象的でした。 初めて「ゲイシャ」を見た時の感想とか……あれから40年ちかくたっているのに、真に優れた人間はあいかわらず報われず、世界はよくなっているように見えないというのが、読んでいてとてもむなしかったのです。 つづく。
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apakaba at 2005-12-25 18:28
つづき。
「苔のむすまで」はね。六本木ヒルズの展示に、キャプションと呼ぶには長すぎて、解説と呼ぶには謎すぎる、彼自身の言葉がかかっていたでしょ。あれを読むうちに、彼は文章も相当イケてるにちがいない、次は彼の文章世界を見てやりたい、と思ったのですよ。 あの展示、「あなたがいま目にしているものは、本当に本物か?」という問いを、つねに突きつけられていた気がしませんか。 それに対するひとつの「答え」として、写真展示と対になって完成している本のような印象を受けました。 だから写真のような、一瞬の「ズキッ」とくる感じはないんだけど。 順番としてはやはり彼の写真を見てから、でしょうねえ。 柴原さんの本については、本当にお世話様でした。 ogawaさんの人気にかなり頼らせてもらったと思います。 幸運でした。 あれーなんだか真剣に語っちゃった。 そちらのベスト10もたのしみにしています。
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ogawa
at 2005-12-27 17:40
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後半のベスト5も読ませていただきました。
マニアックな本もあり学者系の人たちの著書もあり、 眞紀さんの好みがよくわかりました。 振り返って自分自身が1年間で読んだ本は何だったのだろうか? あれ読んだ、これ読んだとはあっても印象もしくは記憶に残っている 本は何冊あるかな。 そういう事を思い出させてくれるベスト10でした。
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apakaba at 2005-12-27 18:08
作家はよほどの力のある人の作品でないと、読む気がしません。
学者の専門書はだいぶ好きですね。 しかしこの企画、読む人はどうだかわかりませんが、自分としてはかなりやってて(書いてて)楽しかったですね。 毎年恒例にしようかな。そうすると1年間がんばって読書しそうだしね。
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ssnostalgia at 2005-12-28 09:00
「モーターサイクル・ダイアリーズ」は私はダメだった、、笑
雰囲気やイメージなど目指していたものが良かったのだけど、最後に「ハンセン病」が出てきたときに一気にさめてしまったんだ。 ゲバラと誕生日が同じで好きな人の一人です。あまり知らないけど。笑
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apakaba at 2005-12-28 11:24
ssnostalgiaさん、やっぱり?!私も、あの川を泳ぐシーンはかなりいらなかったです。ゲバラの書いた旅行記には、あんな話は入っていないんですけど、どうして入れたのかなあ。旅行記ではハンセン病の施設も、さらっと通り過ぎる旅の一こまだったのに、すごく大きく扱われてしまっていたんですよね。ちょっと、バランス崩していましたね。
サレス監督という人が(とってもハンサム)、「ゲバラ」に入れ込みすぎなのかも。 とりあえず、旅行好きの人間にとっては、かなり旅ゴコロをかきたてられる映像でした。素直に、旅立ちたくなる。 伝記を読むと、ゲバラは不世出の人物でした。 「テロリスト」というレッテルひとつで語ってはいけないのですね。
三谷さんの05年ベスト10に入っていたことを今、発見!!喜んでいます。もちろん三谷さんは友達です。そして、「ムスリムの女たちのインド」の宣伝部長です。今年もよろしく!
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apakaba at 2006-01-06 18:09
私のシバは柴です(爆笑)。部長、よろしく!三谷さんのベスト10を読みながら、私ももっと本を読まなければ!と思いました。
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apakaba at 2006-01-06 23:06
あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!!!!
パソコン、リインストールですっかり赤ちゃんに戻っちゃって……言い訳言い訳。 シヴァリンガのシヴァってことでひとつ、いかがですか!やけくそ! |
アバウト
以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
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