2006年 12月 05日
↑ アリーナの会場内にはグッズ売り場がなく、外だけなので、大行列。 私はお土産には興味ないので買いませんでした。 キヨシローにジョン・カビラ、トータス松本、ジャミロクワイ、ジョニー・デップ、ペットショップボーイズ、ダライ・ラマさん、ガンバの宮本も、声の好きな人はたくさんいるが、世界で一番声が好きな人を一人だけ挙げろといわれたら迷わずボノだ。 20年来、変わらずにボノを挙げる。 高校生から大学生のころまで、いろいろなライヴにたびたび行っていた。 高校生だと授業中にチケットの発売開始時刻になってしまうので、授業を抜けて公衆電話で涙ぐましく予約したり。 しかし、大学4年生のときを最後に、ライヴにはばったり行かなくなってしまった。 就職や結婚などで自分が忙しくなったせいでもあるし、どうしても行きたいと熱望するほどのライヴがなくなってきたこともある。 17年前の1989年、大学4年で最後に行ったライヴ、それはU2の東京ドーム公演だった。 ボノは当時29歳、水も滴る……といった形容がぴったりはまる色男ぶりで、ステージで唄う彼は気が遠くなりそうなほどにセクシーだった。 唄いながら一曲の間に衣装を脱いでいき、別の衣装に袖を通して着替えていくパフォーマンスには悶絶のため息。 大御所B.B.キングがゲスト出演して、若いボノとがっちり組んで厚みのあるステージだった。 あのときのボノは、今年46歳。 さあ、どうなっているか…… 「やっぱりなあ、会いに行くのはボノだしなあ」と思って私はかなりおしゃれをして行ったのだが、周りのお客さんたちは、勤め帰りのスーツ姿や、フリースなどのリラックスした姿。 最大収容人数30000人以上を誇るさいたまスーパーアリーナが超満員だ。 圧巻だった。 ↑ まだ席が埋まる前。 超満員といっても、あまりあこぎな入れ方はしていなかったので、実際は1万から2万人くらいかな。 17年ぶりに見たナマボノは、「あれ、少し太った?」「まあ46だもんな、おっさんになったからなあ」と一瞬思うが、あとは驚きの連続、驚きっぱなしの2時間超のステージだった。 声が、絶好調じゃないか。 DVDのシカゴでのライヴ映像よりも、ずっとずっと声が伸びている。 しかも唄えば唄うほど、曲が進むほど、さらに声が出てくる。 驚異的な人だ。 演奏が完璧なことにもまた驚く。 ライヴ演奏だとどこか荒くなったり、走ってしまったりするバンドもあるが、寸分の狂いもなし。 歌も演奏も、モノが違う。 捨て曲ナシ、MCも最小限で次から次へと曲を繰り出してくる。 観客を休ませないためにはもちろん自分も休まない。 数万人をグイグイ引っ張りつづける。 うわあ、このバンド、ほんとに超一流だわ。 ボノの声は、声量たっぷりで十分に伸びているけれどところどころに鼻にかかったようなかすれが混じり、それがそれぞれの歌にたまらないほどの豊かな表情を生む。 微妙な陰影がつくのだ。 怒りや、傷ついた気持ち、欲望の激情、うきうきした気分、生きることを悲しみ、また受け入れる……人生のあらゆる陰影が、あの声から生み出される。 あの声が、いろいろなところへ連れて行ってくれる。 たとえば名盤『Joshua Tree』から『Where The Streets Have No Name』や『I Still Haven't Found What I'm Looking For』が唄われると、イスラエルのネゲヴ砂漠を疾走しながらこのアルバムをかけていたことを思い出した。 『With Or Without You』では大学生のころ、一人で夜中にクルマに乗って唄っていたことを思い出した。 もしかしたら、17年前のライヴでは、私はU2のなにもわかっていなかったのかもしれない。 ただカッコよさに酔い、ステキステキと思いこんでいただけだったのかもしれない。 でも、もしかしたら、ボノが聴く人をどこかへ連れて行くような声を出せるようになったのは、年月のおかげなのかもしれない。 歌が、昔よりうまくなっている。確実に。 この日のライヴの前日、彼らは大阪にある安藤忠雄設計の“光の教会”を見学したそうだ。 「安藤さんはすばらしい建築家であり、闘魂を持った人です。光の教会の意匠にとても感動しました。」 とボノが言っていた。 彼らも、日々なにかに触れて感動しているのだ。 光の教会には行ったことはないが、芸術を志向する者にとってインスピレーションを受ける場であることは間違いないだろうと思う。 安藤建築ファンでもある私としてはとくに心に残るエピソードであった。 もっと、もっと、聴いていたかった。 永久に終わってほしくない夜だった。 ホンモノのボノに向かって「ボノー!ボー、ノー!」と呼びかけ、手を振って、あの声に合わせて声を出して唄って……ライヴでしか絶対に得られない快感だ。 また来てほしい。 うちの子供たちも、親の影響でぼつぼつU2を聴き始めているけれど、今のように最高潮に唄えるU2のライヴに行けることは難しいかもしれない。 早く生まれてよかった。 U2と同じ時代に生きられて、なんて幸せなんだろう、と思っていた。 U2について、過去に書いた記事は以下のとおり。 ボノの子供を一万人生みたいわ!とあるファンは叫んだそうな 円熟していく歌声 ボノには声。私には肝臓
by apakaba
| 2006-12-05 23:29
| 歌舞伎・音楽・美術など
|
Comments(18)
Commented
by
キョヤジ
at 2006-12-07 20:19
x
サンデイ・ブラッディ・サンデイの途中で鉢巻を締めたとか。
やはり漢字で・・・(以下略)
0
Commented
by
apakaba at 2006-12-07 21:15
鉢巻きはヤンキー風(日の丸の旗も掲げてあるし。)だけど、 COEXISTと大書されていて。
Cが三日月(イスラムってことかなあ)、Oは太陽、Xはユダヤ教の六芒星、Tは十字架をかたどっていたなー。 coexistは「共存」という意味だそうでスクリーンに漢字で「共存」と書いてあってちょっと気恥ずかしかったな。 まあ、メッセージ色の強いバンドなんで。
Commented
by
K国
at 2006-12-08 08:00
x
U2はデビュウの頃から好きですが、曲名を憶えているのは「ウィズオアウィズアウトユウ」くらいで、先日買ったCDも黒赤のドーナツ模様の盤
出だしの曲が昔の「ユーキープミーハンギングオン」にチョット似た やつ、車で掛けっ放しに聞いているので曲は覚えてますが 題名が出てこないし、曲名だけ聞いても何のことやら でも、あの搾り出すようなしゃがれた声イイですね
Commented
by
apakaba at 2006-12-08 08:12
赤黒のぐるぐるした模様は、いつもスターウォーズエピソード1の悪い奴を思い出します(わかるかなこのたとえ)。
1曲目はvertigo、とっても派手でライヴ向きの、ぎゅっと惹きつける曲ですね。 私が行ったのは来日最終日だったので、この曲をはじめと最後と、2回やってくれました。 やはり千秋楽は格別です。
Commented
by
メリー
at 2006-12-08 12:04
x
なんかいつになく、アツイ文章ですね。
感激・感動したという気持ちが、ひしひし伝わってきますわ。 U2は、あんまり聴かなかったなぁ~。。。 ボノは、46歳なのね。おない歳だわ。。。 きっと、45歳超えると、なにか吹っ切れるのよ。( ̄▽ ̄)ウハハ
Commented
by
apakaba at 2006-12-08 12:14
ほんとかいな>45歳超え説
ライヴはとっても好きだったのに、17年も行っていなかったからカンゲキもひとしおだったのね。 でも風邪引いてしばらく書けず、欲求不満でした。 コメント少ないのがさびしいけどやっぱりそのときの感動を書いておくのは楽しいわよ。
Commented
by
Morikon
at 2006-12-08 18:25
x
U2かぁ、アルバムは『Joshua Tree』しか
知らないので、語る資格あるのか微妙(笑) そういえば、ここ8年ほどはプロのLIVE、行ってないなぁ。 マキさんのBLOG読んで、久々に耳が痛くなるようなヘヴィロック、 生で聴きたくなってきた。 最後に行ったのがVAN HALENだったのか、 はたまたBON JOVIだったのか、もう覚えてない。 いや待てよ、チャゲアスかドリカム、マライアキャリーだったかも、 ヘヴィロックじゃねーじゃん(笑)
Commented
by
apakaba at 2006-12-08 18:29
Commented
by
ぴよ
at 2006-12-09 02:54
x
わー
何とMorikon師匠と同じく、U2のアルバムはJoshua Treeしか 持ってないんですよ。 でも若かりし頃(←禁句?)に好きだったアーティストと共に成長し、 そして成長した自分が更に成長したアーティストのライブに行くという 幸せを噛み締めている眞紀さんの熱い思いが伝わって来ましたよ。 ぴよがボーカルの声に惚れたのはQueenのフレディ・マーキュリーでした。 彼の生の声が聞きたい、聞きたいと切望していたのに 遂に生声を聞く事もなくこの世を去りました(涙) フレディが亡くなった翌日はショックで会社休んじゃったもん。
Commented
by
Morikon
at 2006-12-09 10:44
x
好きになった頃、既にサミーヘイガーだった(苦笑)
彼のVo.も悪くないけど、DAVE LEE ROTHの 色気のある声・歌唱と比べると、明らかに分が悪い。 好きなアルバムはデビュー作かな。 全曲を通しての、あのドライブ感はサイコー♪ ぴよさぁん、来週、QUEENでも一緒に歌いますか?(微笑)
Commented
by
apakaba at 2006-12-09 11:12
U2レスつづき。
ぴよさん、Joshua Treeは名盤なので、あれひとつでもかなりお腹いっぱいですよね。 長く生きているのは価値あるものだと思ったよ。 フレディの声は唯一無二って感じの声だったねえ。 Morikonさん、ははー炎の導火線(どうなのこの邦題)ですか。 デイヴ・リー・ロスがカバーしていたカリフォルニア・ガールがとても好きだったな。ビデオも。
Commented
by
喜楽院
at 2006-12-10 04:21
x
眞紀さんがライブレポ書くとこうなるのか。
要点のみビシビシ突いてて小気味いいです。 こうでなくちゃいけません。 U2は全く聴いていないのでサッパリわからないのが残念です。 (おいおい。) U2は、メリーさん同様の世代である私もそうなのですが、 時代の上で何かしら、いつもいつもすれ違ってきたような気が します。今度聴いてみます。いえ、今日、聴いてみます。 Morikon様、ぴよ様。 「クイーン152曲ほぼ全曲制覇、10時間カラオケマラソン大会」を 1月に都内・某カラオケ店で、ヨパライのコアなクイーンファン、 約10~15名前後を集めて開催する段取りを組んでいます。 私は初期のナンバーを中心に20曲ほど歌うつもりでおります。 でも、「喜楽院」は決して「キラー・クイーン」を歌わないのよ。^^
Commented
by
ぴよ
at 2006-12-11 08:06
x
>喜楽院さん
「クイーン152曲ほぼ全曲制覇、10時間カラオケマラソン大会」 ・・・そ、そんな素晴らしいイベントがっ!羨ましいっ!! ぴよの周囲には意外にQueenファンって少ない。 カラオケでたまに歌うけど、反応薄いんだよなぁ(薄涙) どーして「キラー・クイーン」は歌わないんでしょ?何か思い入れが? ぴよは「手をとりあって」が好きなのですが、カラオケに入ってる事が 少ないのでまず歌う事はないです。 ボヘミアン・ラプソディとか伝説のチャンピオンとかWe Will Rock You 辺りが皆さん定番なんでしょうか。
Commented
by
喜楽院
at 2006-12-11 11:25
x
>ぴよ様。
コメント有難うございます。 「キラー・クイーン」は難しいからです。(キパーリ) バックに、百戦練磨のコーラスが2名いないと 曲になりません。^^; 田舎のカラオケ店ではクイーン曲、多い所でもせいぜい 30曲くらいです。「’39」「ラブ・オブ・マイ・ライフ」「ジェラシー」 あたりの好曲以外は、大変残念なことに、ぴよさんから挙げて 頂いたような聴き飽きた曲ばっかりなのです。 「フェアリー・フェラーズ・マスター・ストローク」や 「マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン」、 「ブライトン・ロック」に「リリー・オブ・ザ・バリー」 「ロング・アウェイ」に「グッド・オールドファッションド・ラバー・ ボーイ」等々の、ある程度マニアックな、玄人ウケする曲に なりますとですね、悲しいかな、東京さ迄、出て行かないと 歌うことができないのです。(TT)
Commented
by
apakaba at 2006-12-11 16:26
Commented
by
apakaba at 2006-12-11 16:56
おっとところで喜楽院さん、要点ビシビシありがとうございました。
これからも突いていきたい所存でごじゃりまちゅう
Commented
by
喜楽院
at 2006-12-11 17:58
x
Commented
by
apakaba at 2006-12-11 21:12
病気になったらネットから消える、と決めているので、書いているということはもう大丈夫の証なのです。
どうもありがとうございました。 |
アバウト
以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
ご案内
直島の旅行情報 blog links (エキサイトブログ以外) 彼の地への道すがら 三毛猫日記 ムスリムの女たちのインド 王様の耳そうじ 細道 紀行地図へと続く道。 「いい子」をやめたら人生がきらめく! greenmanbaliの日記 すきなものだけでいいです Avance(アヴァンセ)でいこうっ ライオンシティからリバーシティへ カテゴリ
全体 映画・ドラマ 歌舞伎・音楽・美術など 生活の話題 子供 国内旅行 旅行の話 ニュース・評論 文芸・文学・言語 健康・病気 食べたり飲んだり ファッション ベトナム2023.3 ソウル2022.11 思い出話 サイト・ブログについて 1990年の春休み 1990年の春休み.remix ver. 香港・マカオ2006 シンガポール2010 直島旅行2010 バリ&シンガポール2011.1 香港マカオ2011 香港2011夏 バリ&シンガポール2011.11 台北2012 家族旅行香港マカオ2012 ボルネオ 台湾2013 ヨルダン・シリア1998 イスラエル1999 エッセイ フランス インド2000 香港2013 スコットランド 大腸がん闘病 ソウル2023.1~3 シンガポール2023 台北旅行2023 未分類 最新のコメント
ライフログ
お気に入りブログ
Tatsuo Kotaki 草仏教ブログ ガタム ( ghatam ) 子供部屋 紅茶国C村の日々 梟通信~ホンの戯言 みんなのヒンディー語教室 勝手に僻地散歩 Atelier Kotaro SALTY SPEEDY シニアバイクマンⅡ FC2ブログに移転しました 旅行・映画ライター前原利... 塩と胡椒 いいあんべぇブログ 折原恵のニューヨーク写真... ブログパーツ
以前の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||