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あぱかば・ブログ篇

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2007年 01月 23日

1990年の春休み.50 ふたたびのインド篇

<初めて読まれる方へ>
この旅行記は、私が大学卒業旅行でタイ・インド・パキスタン・ネパールを一ヶ月半まわっていたときの日記を、不定期に載せているものです。文章(註・レート換算含む)はすべて22歳当時のままです。
前回までのあらすじ
ぼろぼろの夜行バスでカジュラホへやってきた。宿でラケシュと名乗る日本語が堪能なインド人に出会い、行動を共にする約束をした。

2月23日(つづき)
 部屋に戻ってから、久しぶりの大洗濯をした。外はポカポカとして、見上げるほどの高さのブーゲンビリアが満開で、すっかり南国気分である。いい気持ちになり、徹夜のくせにまるで眠くなくなっていたので、そのままお昼を食べに出かけた。

 パンジャブという名前の店で、チャーハンと焼きそばを頼む。
 ごはんがめずらしくポロポロでなくしっとりしている。おいしかった。
 店を出るとすぐに、頭の上から「一緒に飲みませんかあ。」と声をかけられた。
 二階建てのこの店は屋上もレストランで、ビールを囲んだ日本人の若者がそこからふたりで手招きしている。一見したところ好みのタイプでもないし、あーめんどくさい、と思いつつも、旅の情報を得られるかもしれないので、今出たばかりの店に戻って一緒に少し話した。
 その席に、ラケシュの弟だという少年が混じっていた。
 「この子さあ、結構おもしろいんだよ。」
 と紹介されたが、私は一目で気に入らんと思った。何となく裏のありそうな、抜け目なさそうな印象を受けたからである。
 「俺たちこれから宝石見に行くんだけど、一緒に来てくれない?この子のお兄さん(ラケシュの兄でもある)が宝石屋をやってるからって誘われてんだけど、やっぱ女の人がいないと……、高く売りつけられそうでさあ。」
 なんかとっても頼りない人たちなのである。宝石には興味がないけれども、つきあって見に行った。
 兄はラケシュにそっくりであった。日本語もなかなか巧みだ。しかし弟同様、まったく好きになれない。てことはやっぱりラケシュも悪者なのかな?

 穴蔵のような狭くて蒸し暑い店のなかに、一時間もいてしまった。私たちはすっかり白けていた。
 どれも粗悪で、ぜんぜん買う気になれないものばかりなのに、若者たちは「彼女に買っていきたいなあ、ねえどう思う、これなんか……。」とか言ってさんざん迷い、当然ながらラケシュの兄に執拗に迫られて困っている。よくもあんなちゃちで細工の悪い石を4万円だのなんだのと言えたものである。
 結局高すぎて、彼らには手が出なかった。

 そうこうしているうちに、ラケシュ本人がその店にひょっこりとやって来た。
 私たちが日本人と4人で連れ立っているのを見て、露骨にイヤな顔をした。
 「日本人は群れたがるからイヤなのねえ。」
 とか言っている。べつに私たちはのべつ日本人同士でくっついているわけじゃない!ちょっと不愉快だったが、いい潮時だとも思って彼らと別れ、宝石屋を出た。
 ラケシュは暇らしく、これからバイクで案内をしてくれるという。三人乗りで寺院(*1)を見学することになった。

*1・・・カジュラホ観光は、950〜1050年に築かれたヒンドゥー教とジャイナ教寺院の見学が目玉、というかそれしかない。寺院群は西群・南群・東群と三つに分かれている。周辺はのどかな農村。

1990年の春休み.50 ふたたびのインド篇_c0042704_2232143.jpg


カジュラホは田舎。池で水浴び(沐浴)をする人がいた。


 せっかくバイクがあるので、一番遠い南群へ足を伸ばした。
 広々とした田圃ばかりの景色が続く。よい気分である。しかしなんとなく、心おきなく楽しめない。なぜだろうか?
 3人でしゃべるにつれ、そのわけがだんだんはっきりしてきた。
 ラケシュは初めに会ったときから、ヒロのことを異常に気に入っていて、私などいないかのように振る舞うのである。あーあまたかよ。この旅行でこういう目に遭うのは、一体何度目でしょうか。アタシってつくづく人気がないわね。そりゃヒロに較べて顔も愛想もよくないけどさー。いい加減ぐれるよホント。
 それにしても奴の態度はあまりにも露骨であった。
 たとえば私がなにか言ってラケシュがげらげら笑ったあと、「あーホントおもスィろいねえ、ヒロミちゃんは。」いつの間にかヒロが言ったことになっていたりする。ヒロは私がのけ者になっているということにまだ気づいていないようで、「ラケシュってお兄さんみたい。」とか言ってすっかりなついていた。

 つまらん。つまらないぞ。

by apakaba | 2007-01-23 22:09 | 1990年の春休み | Comments(8)
Commented by Morikon at 2007-01-24 01:01 x
あぁ、これは面白くないよね、
消えられるものなら消えたい気分。
インド人に限らず、我が国にも
こーいう自己チュー男(最近はオレチンと呼ぶらしい)は
少なくないわけだが。
例えば飲みに行った時でも、
ひたすら自分のことばかり話したりして。
オレはアンタのトークショーの客じゃねーっつーの(苦笑)
Commented by apakaba at 2007-01-24 10:24
このあと、数回にわたって私がずーっとむくれてます。
オレチンてなんですか。チンて。ああ、バカチンとかのチンかな?
なんかMorikonさん、よほどトークショー飲みでイヤな目に遭ったようで……??ダイジョブか?
Commented by Morikon at 2007-01-24 13:24 x
あ、コレ最近のことじゃないので心配なく@トークショー。

「オレチン」は「俺様プラスぼくちん」から来た言葉です。
どういう人物像かというと、中田英寿・ホリエモン・小泉純一郎
などの名前が挙がってました。
全員、友達少なそう(笑)
もちろん、多けりゃイイってもんでもないですが。
Commented by apakaba at 2007-01-24 16:03
中田の地球4周分の旅についていきたかったなぁ……
Commented by ミケ at 2007-01-24 18:46 x
「オレチン」・・なるほど~(^^)

ラケシュとこんな展開になるとは。
そんな露骨な男イヤですね、黒い気持ちになってしまいそう。
Commented by apakaba at 2007-01-24 18:54
モテモテ女とのふたり旅ほど人格が曲がる旅はありません。
Commented by のこのこ at 2007-01-26 03:28 x
面白いなあ。
インドのバスの突起やフレームの痛さ
あのひだまり、大きなテーブル
久々の満足できるシャワー
みんななつかしい。
似たような感じの宝石屋に付いて行き身におぼえのない20万円のカード請求がきたことも。他ガイドをしたがる輩で日本人とつるむのをいやがるのはかなりタチの悪いやつなことが多かったり。
だいたいもっともらしく卑猥な話を説明し、露骨に相方の友達にばかり優しくしているとは!

まあこのきな臭い展開の続きが楽しみですわ。(ニヤリ)
Commented by apakaba at 2007-01-26 07:51
のこのこさん、読んでくれてありがとう。
なつかしー感じでしょう。ほんと、ワタシも書いてて切ないわ。
でもまだ2月23日分で50回かー。
帰国は3月12日だから……ま〜だまだだわ……


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