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あぱかば・ブログ篇

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2004年 11月 10日

おれおれ詐欺に関して、いたずら電話の思い出

『おれおれ詐欺』が、また手口を変えてきたらしい。
東京都内の子供のいる家庭に身代金目的の誘拐を装った電話をかけるという被害が、10月中旬ごろから増えているというネットのニュースを、今日読んだ。
犯人が子供の声をまねて「助けて」だの「首を絞められて痛い」などと訴えることもあるという。

しかしほとんどは、親が途中で嘘だと見抜き、身代金(といっても、100万円くらいといやに安いお値段。なんとか用意できてしまう金額)を振り込むことはないらしい。
きのうまでに、すでに300件以上の報告があるという。
なんというか、『おれおれ詐欺』も末期的だなあ。
高校生くらいのイタズラもけっこう混じっていそうな気もするなあ。

ニュースをネットで読みながら考えていたら、ちょうど下校してきた娘が「がっこうからのおしらせ。」と言って、プリントをランドセルから出す。
今日、とうとう娘たちの小学校の家庭にも、上記のような電話がきてしまったと書いてある。
「お宅の子供を預かっている」という脅迫っぽい言い方だったらしいが、親が小学校に問い合わせて子供が学校にいることを確認し、事なきを得た。

うちはなにしろ、日中は3人とも現在のターゲットである“都内の学校”に通っているから、電話の来る確率も3倍。
うちにもかかってくるかな、からかってやるのに、なんて言ってる人もいたけど、私は『おれおれ詐欺』の電話を、取りたくない。
そんな卑劣な奴の声なんかを、耳に入れるのも嫌、記憶の片隅にも、残したくない。


私がなぜそういう電話に強い拒絶感を持っているかというと、幼いころのいやな思い出があるからだと思う。
父が亡くなったあと、まだ30代だった母はいたずら電話に悩まされた。
奥さん、奥さん、夜がさびしいでしょう、はぁ、はぁ。はぁ、はぁ。
というような電話で、母はたまりかねて警察へ連絡し、警察官が家に来た。
だが、脅迫のような言葉を言ったり、母がノイローゼになるとか倒れるとか、病院に入るようなことにまでならない限り、あえぎ声だけでは逆探知したり逮捕したりはできないのだということだった。

うちに電話してくる人たちに、二度鳴らして切りもう一度かけ直すという合図をお願いし、警察が貸してくれた録音装置をつけて、変態の声を録音しつづけた。
そのなかにひとつでも脅しめいた言葉が入れば、すぐ行動できる。
しかし男はあえぎながらいやらしい言葉を並べるだけなので、結局警察はなにもできずに終わった。

高校生だった姉には、“男ってこういう奴もいる”という怖さを知らせるために、母は録音した声を聞かせたという。
幼い私には、決して聞かせなかった。
でも、最後の電話の最後の部分だけ、私は聞いてしまったのだ。

警察からは「決して逆上して怒鳴りつけたりしてはいけない、危険だから」と注意されていたのに、母は疲労がピークに達して、とうとう「バカ!いいかげんにしろ!」と怒鳴ってしまった。
しつこい割に案外気の弱い男だったらしく、母の怒声のあとはぴったりと電話が止んだのだった。

録音テープを、もう大丈夫だろうということで、皆で聴いた。
「バカ!いいかげんにしろ!」
は鮮明に入っていて、大音量で再生された。
一同が思わず笑った。
小学生の私もそこにいていっしょに笑ったけれど、母が思わず怒鳴る直前の、男の息、奥さん奥さんという呼び声、それもわずかに耳に入った——。


気の弱い変態と、人の弱みにつけ込む犯罪者、やることにちがいはあるけれど、両方ともこちらの耳に声を残し、記憶にいやーなものを残す。
さほどではなくても、自宅にいると、強引な勧誘の電話などもとらなければならない。
電話って、けっこう存在が犯罪的だ。

by apakaba | 2004-11-10 00:49 | ニュース・評論 | Comments(0)


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