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あぱかば・ブログ篇

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2004年 10月 04日

ハンセン病

「アキタコマチ」と「コシヒカリ」を連れて、ミスタードーナツへ。
席をどこにしようかと、子供より先に店の奥まで見に行くと、元ハンセン病患者らしい男性が座っていた。
両手がなくなっていて、手首までしかない。
でも化膿しているとかいうことはもちろんなくて、つるんときれいに完治している。
インドでよく見かけていたから私は驚かないが、彼に近い席にすると、子供たちが、目は口ほどにものを言いそうだなあ。
数秒迷い、彼から離れた席を選んだ。

でも、ドーナツの砂糖まみれになった手と口のまわりを洗うため、お手洗いに立たせるとき、そっと子供たちに言った。
「奥の席に、手のない人がいるの。絶対びっくりした顔をしたらダメ。でもちょっとだけ見なさい。あれは病気なの。あとでその病気の話をするから。」
ふたりとも真剣にうなずき、言われたとおり、ちらっとだけ視線をおじさんの手首に向けた。

本当に言い方は悪いけれど、日本にいて元ハンセン病患者の患部を目にするなど、めったにない機会だ。
人で一杯の店内で過ごす、おじさんの態度。
付き添いの人の接し方。
レジの女性の対応。
ふたりは短い時間にいろんなことを見て戻ってきた。

帰りの車の中で、ハンセン病の話をした。
どんな病気か、どんなふうに苦しんできたか、最近では政府がどう対応しているか。
初めてインドに行ったとき、さっきのおじさんとおんなじ手首の物乞いから、私の腕を、ぐいっと棒のような手首で押されて、声も出ないほどびっくりしたことも話した。
「アキタコマチ」は、最後に表情がほぐれて、
「さっきのおじさんさー、おつりもらうときに、“ちょっとここ(腰につけた袋)へ入れてくれる、手がこれだから”とか言ってたよ。ふふ。たしかに手に載らないもんねえ。」
と可笑しそうに言った。
元患者がいてボクがいて、ということが自然に身に付けばいいと思う。

by apakaba | 2004-10-04 00:10 | 子供 | Comments(2)
Commented by occo at 2012-12-06 17:28 x
わたしが子どものころ、その隔離病院がありました。ハンセン病とかじゃなく昔の呼び方。当時の知識から抜け出し、常識的に対応できるようになるまで、かなりの時間がかかりました。
Commented by apakaba at 2012-12-06 18:30
昔は癩病と呼んでいましたよね。
私も、ほんとはその呼び方のほうがしっくりする世代です。
やはり、患部や病状を直に見ればビックリするのが当たり前の反応だし、簡単にうつると言われていれば恐ろしいのは当然だったと思います。
若いうちにいろんな国を旅行して、ハンセン病や奇形の人をいっぱい見ました。
乙武さんみたいな体の人が木で作ったスケボーに器用に乗っていたりするのをしょっちゅう見かけたりすると、平気になりました。
イスラエルの死海で、全身がハンセン病で崩れてしまっている人が、死海の水で療養しにきていました。
日本ではまだあんなふうに海パン一丁で出歩く雰囲気はないですが、きっとだんだんそうなっていくと思いたいです。
そのための、子供への教育です。


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