2007年 07月 11日
メイク・サム・ノイズ—キャンペーン・トゥ・セイヴ・ダルフール—を、今すぐ買ってくれ。 アムネスティやらアフリカ難民人道支援なんてうさんくさい? チャリティーは歌手の売名? 今さらイマジンなんて偽善的な記号は、恥ずかしくって? オーケー、そんな御託はあとにして、とにかく聴いてくれ。 お・ど・ろ・く・ぜ! 冒頭、ややロック調で書いてみたが、このアルバムは本当に、期待以上のものを聴かせてくれる。 スーダンのダルフール地区で起きている民族闘争による人道危機を世界に伝えるため、「メイク・サム・ノイズ(声を上げよう)」という目的で作られた、世界のトップアーティストによるレノンのカヴァー・アルバムだ。 個性の力が、せめぎ合い、決して譲り合わず、しかし調和している。 まず、レノンの、楽曲の質の高さを今さらのように見せつけられ、はっとする。 各アーティストによる、レノンの解釈のちがい。 同じ曲が何度も歌われているのに、同じ曲とは思えないほどだ。 そして、レノンを唄っても、一から十まで、“その”アーティストががっちり際だっている。 楽曲で存在が霞むということがない。 アヴリル・ラヴィーンのしっとりした『イマジン』。 女らしさにあふれ、うっとり聴き惚れてしまう。 エアロ・スミスの『ギヴ・ピース・ア・チャンス』、スティーヴン・タイラーがうれしそうに張り切っていること。 ジャック・ジョンソンが『イマジン』を唄うと、ハワイの乾いた風が吹く。 グリーン・デイは『ワーキング・クラス・ヒーロー』でズドドドっとあくまで暗い情念を燃やしてグリーン・デイらしく仕上げてきたし、U2とデュラン・デュランの『インスタント・カーマ』のまったくちがうサウンドを聴き較べるのも愉快だ。 力があるって、こういうこと。 聴きながら、杉本博司の写真展に行ったときのことをしきりに思い出した(感想記事こちら)。 彼が撮った代表作のひとつに、20世紀の代表的な建築を無限大の倍の焦点で撮影した《建築》という一連の作品がある。 世界の有名な建築物が、大ぼけで写される。 大ぼけ写真の意図はなにか。 「真に力のある造形は、大ぼけにしてなお、オリジナリティーを保ち、残り続ける。」ということなのだ。 たしかに、大ぼけ写真の中でも、サヴォワ邸はサヴォワ邸であり、グッゲンハイム美術館はグッゲンハイム美術館であり、大阪の光の教会は光の教会でありつづけていた。 これらの写真を見たときと同じ感動がある。 レノンの力と、各アーティストの力と、両方ともがくっきりと残っている。 チャリティーとかなんとか言う前に、音楽好きなら買って損なし! i Tunesミュージックストアで買うと、オマケに何曲かついてさらにお得。
by apakaba
| 2007-07-11 17:32
| 歌舞伎・音楽・美術など
|
Comments(8)
Commented
by
メリー
at 2007-07-11 18:03
x
へぇ~ 結構な豪華アーティストが、カバーしてるんやね。
マキさんがそこまで絶賛するとなると、ちょっとキョーミ出てくるな。
0
Commented
by
apakaba at 2007-07-11 19:50
ゥオッケエエエエエエエエエエイ!
Commented
by
ogawa
at 2007-07-11 22:46
x
Commented
by
apakaba at 2007-07-11 22:53
ィエエエエエエエエエエエエエエエエエエース!
Commented
by
満腹ボクサー
at 2007-07-11 23:20
x
金子勝先生もジョン・レノン命だそうな。
>12月8日は私にとって特別な日だ。 >1941年のこの日に、真珠湾攻撃で太平洋戦争が開戦した。 >1980年のこの日にジョン・レノンが凶弾に倒れた。(『月光仮面の経済学』) >俺は尊敬する経済学者ってほとんどいないんだけどジョン・レノン命なんで(『ミュージックマガジン』2004.2) >(ヴェトナム戦争の)最後の局面でジョン・レノンが「イマジン」や「ハッピー・クリスマス」を歌ったことというのはすごく大きかった。(『ミュージックマガジン』2004.11) 「メイク・サム・ノイズ」については、今度会った時に言っておくよ。いつになるか分からないけど。
Commented
by
apakaba at 2007-07-12 07:13
現在活躍中のミュージシャンのことを知っていると、さらにおもしろいんだけどね。
レニー・クラヴィッツやグリーン・デイの自前の曲と、レノンを唄うとこうなる……みたいな較べ方もおもしろいし。 金子勝氏の本は、うちにもいっぱいあります。 夫がだいぶ持っているね。
Commented
by
K国
at 2007-07-12 07:14
x
イマジンはLP持ってました。鐘の音から始まるマザーから、心落ち着くLPですね。
ジョン、レノンが好きで12月8日にはショックでした。
Commented
by
apakaba at 2007-07-12 08:16
私は、世代的にはだいぶずれているのでリアルタイムではまるということはなかったし、今も詳しくないですが、このアルバムを聴くと、いろんな人の手を経て、アレンジされて唄われても、なおもとの歌の力を感じることができます。
|
アバウト
以前はエイビーロード「たびナレ」や「一生モノ https://issyoumono.com/」などでウェブライターをしていたが今は公立中学校学習支援教員のみ。 子供のHNは、長男「ササニシキ」(弁護士)、次男「アキタコマチ」(フランス料理店料理人)、長女「コシヒカリ」(ライター・編集者) by 三谷眞紀 カレンダー
ご案内
直島の旅行情報 blog links (エキサイトブログ以外) 彼の地への道すがら 三毛猫日記 ムスリムの女たちのインド 王様の耳そうじ 細道 紀行地図へと続く道。 「いい子」をやめたら人生がきらめく! greenmanbaliの日記 すきなものだけでいいです Avance(アヴァンセ)でいこうっ ライオンシティからリバーシティへ カテゴリ
全体 映画・ドラマ 歌舞伎・音楽・美術など 生活の話題 子供 国内旅行 旅行の話 ニュース・評論 文芸・文学・言語 健康・病気 食べたり飲んだり ファッション ベトナム2023.3 ソウル2022.11 思い出話 サイト・ブログについて 1990年の春休み 1990年の春休み.remix ver. 香港・マカオ2006 シンガポール2010 直島旅行2010 バリ&シンガポール2011.1 香港マカオ2011 香港2011夏 バリ&シンガポール2011.11 台北2012 家族旅行香港マカオ2012 ボルネオ 台湾2013 ヨルダン・シリア1998 イスラエル1999 エッセイ フランス インド2000 香港2013 スコットランド 大腸がん闘病 ソウル2023.1~3 シンガポール2023 台北旅行2023 未分類 最新のコメント
ライフログ
お気に入りブログ
Tatsuo Kotaki 草仏教ブログ ガタム ( ghatam ) 子供部屋 紅茶国C村の日々 梟通信~ホンの戯言 みんなのヒンディー語教室 勝手に僻地散歩 Atelier Kotaro SALTY SPEEDY シニアバイクマンⅡ FC2ブログに移転しました 旅行・映画ライター前原利... 塩と胡椒 いいあんべぇブログ 折原恵のニューヨーク写真... ブログパーツ
以前の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||